第74回:ウィズ/アフターコロナの国際協力NGO ~現状と今後の課題
●日時:2022年2月8日(火)16時00分~17時00分
●場所:WEB 会議(Zoom)
●参加団体:16 団体(運営 7 団体含む)
●参加人数:26 名(運営スタッフ 13 名含む)
1.情報提供
〇浜田氏(RSY):
「ここからの集い」Voicefrom3.11「ことば」から紡いだわたしたちの宣言という講演会がある。東日本大震災から 10 年を見据え、2 年前から被災避難者、被災者、ボランティア活動経験の ある支援者に呼びかけ言葉を集めてきた。2 月 11 日開催するのでご参加いただきたい。レスキュースト ックヤードはこの Voicefrom3.11 の実行委員長や会員としてずっと関わってきている。
企画の詳細:https://voicefrom311.net/info/2021/12/1464/
〇小池氏(よだか総研):
愛知県の愛西市の議員が政治倫理審議会にかけられているという件がニュー スになっているが、審議の対象になってるのは以前おたがいさま会議にスピーカーとしてご参加くださった吉川光子さんである。この件で取材をして記事を書いている関口さんもおたがいさま会議のコアメンバーである。関心のある方は経緯をご覧いただき、署名を集めているのでご検討いただきたい。
・関口氏の記事:https://news.yahoo.co.jp/byline/taketosekiguchi/20220207-00280989
・署名 URL:https://chng.it/kDbS4pdpMS
〇佐藤氏(弥富防災・ゼロの会):
吉川さんの件は NPO あるいは市民活動を愚弄する許しがたい事件である。議会を正常化せよという請願をぜひ出していただきたい。議員がNPOに対して日頃抱いている誤解が噴出した典型的な事例であると思われる。
2.話題提供
■テーマ
『ウィズ/アフターコロナの国際協力NGO ~現状と今後の課題』
(熊澤友紀子氏:認定NPO法 人アジア車いす交流センター(WAFCA)事務局長)
〇自己紹介・団体紹介
・国際協力をしている団体がコロナ禍で活動を続けていく中での現場感や活動事例などをご紹介したい。私自身は愛知県出身で愛知県の大学を卒業した後中学校の教員をし、その後 NGO の職員に転職した。 教員から職員になるまでの間に留学を経験し、また今の団体のタイの現地職員として現地で採用され 就職したので合計 15 年程海外にいた。海外勤務後 2019 年 5 月から日本に戻り働いているが、帰国後 すぐにコロナになりこの 3 年間はコロナやカルチャ―ショック等に苦戦しながら仕事を続けている。
・NPO 法人アジア車いす交流センターは英語名の頭文字で WAFCA(ワフカ)と呼ばれている。愛知県にあ る NPO で、1999 年に株式会社デンソーの創立 50 周年を記念する社会貢献事業として愛知県刈谷市で 設立された団体である。車いすや教育の支援活動を通じて、アジアの障がい児を取り巻く社会課題の 解決に取り組んでいる。課題としては、車いすがないので外出できない、外出できないから学校へも 行けない、教育を受けていないので安定した仕事に就き自立した生活ができない、また車いすがあっ ても、学校や自宅の周りを自由に行き来するような環境がない、などがある。
・解決のために、まずは体や用途に合わせた車いすの提供活動に取り組んできた。車いすで学校に行ける子供たちに対しては教育支援として奨学金の提供や進学相談を行い、学校にバリアフリーのトイレ を設置するなどしている。またそういった支援を受けて学校に行ける子供たちを集め、キャンプやセ ミナーを開催して人材育成を行っている。
・体に合わせた車いすの提供というのが私たちの活動の特徴であり、資源の少ない国で、マニュアル車 いすを提供するための WHO ガイドラインにある 8 つのステップに沿ってサービスを提供している。ま ず一人一人から申請を受け、体のサイズや介助者をチェックし診断して車いすを発注する。組み立て る過程で体に合わせてフィッティングを行い、同時に自走や介助の方法のトレーニングを行い、1 ヶ 月後、半年後、1 年後と続けてフォローアップもする。何か問題があればまた最初に戻ってこのサイ クルを繰り返すことで、一人一人に寄り添った車いすとサービスを提供することを目指して、現地で活動している。
・現在事務所があるのはタイとインドネシアである。中国の雲南省でも一部活動しているが事務所はな く、現地にコーディネーターがいて障がいのある学生が通っている学校との交流をメインに、奨学金 や車いすの支援を行っている。
・コロナの状況は、インドネシアで 1 日新規に約 3 万人、タイで約 1 万人の感染者が出ており、年明け から感染者数が増えてきて、日本とあまり変わらない状況である。インドネシアに関しては、1 万 3000 以上島があるので、検査数も十分ではなくこの数字以上の感染者が見込まれている。各国の多少の制 限はあるが、現地の活動はストップせず続けることができており、今年の年間目標は達成できる見込 みである。なお中国雲南省ではほとんど感染者は出ていない状況である。
〇緊急支援の増加
・我々の車いすや教育支援はいわゆる緊急支援ではなく開発支援であり、支援した結果が 1 年、5 年、10 年と長い目で見て成果が評価される。しかし我々のような開発支援の団体が続々と 2020 年度から 緊急支援を行っている。我々も緊急物資の支援を 2 年連続でクラウドファンディングを利用して行っ た。既存のネットワーク、我々であれば車いすを送るために築いた現地の教育省や社会省等の事務所、 学校やクリニック等とのネットワークがあり、緊急物資として食料品や衛生用品等を送る際、草の根 の情報で支援先を見つけ、贈呈することができるということは我々の強みである。
・我々は 2 年間で合わせて 600 万円以上をクラウドファンディングや助成金、寄付金を活用し、タイで 約 280 世帯、インドネシアで約 770 世帯に支援をすることができた。コロナが長引いているので、緊 急支援というよりも、通常の活動として車いすや奨学金に加えて生活物資の支援を今後も続けていく のか、それとも従来の活動に力とお金を注いでいくのか、その選択が今後の課題である。
〇海外駐在員の帰国、ローカル化の加速
・我々は去年の 2 月を最後に、一度も海外の現場には行けていない。そのような状況に伴い国際協力のNGO ではローカル化、現場は現地スタッフ、その国の人がローカルマネージャーになって活動してい く状況が加速していくと言われている。我々の団体はコロナ禍の 1 年前に設立 20 周年を迎えた。そ の 20 周年を機に、コロナとは関係なく日本人の駐在員がゼロになり、私も帰国して現在はそれぞれ の国のスタッフがマネージャーとして活躍している。
・20 周年を機に、長期ビジョンとして 2030 年のグループビジョンを作成し、その成果をどのように評 価するかという指針を策定した。それをグループ全体で確認しながら、日本の役割としては、そのよ うな大きな方向性だけを示し活動の成果を評価することが求められ、運営に関してはすべて現場に任 せるという関係性ができていたので、予期せずコロナになり、丸 2 年我々が現地に行くことができな くても活動が止まらずに継続できている。2030 年までのビジョンを実行するための安定した財源を毎年確保できるのかというのが課題である。
・評価についても、アンケート等を実施して定量的にいろいろなレポートを作成することができるが、現地で直接インタビューすることは難しいので、クオリティの高い評価をすることができるのかということも課題である。
〇ICT の活用
・これから国際協力 NGO のスタッフ、日本のスタッフが現地に赴く仕事は必要最低限になっていくことが予想される。2020 年度、2021 年度と丸 2 年、一度も現地に行かずに運営できてしまっているので、 オンラインでできることはオンラインでやっていくことになると思っている。例えば、我々の車いす を受け取る子どもたち、姿勢のサポートが必要な障がい児というのは、脳性まひとか重複障がいとか 障がいの重い子が多い。そういう子たちでも楽しめるようにということで、理事長をはじめ取り組ん でいるのが、車いすダンスの普及である。
・毎年インドネシアに行って講習会を開催したりしていたのだがそれができなかったので、去年今年と 車いすダンスの講習ビデオを制作して、その講習ビデオを見ながら練習して踊ってみた動画を YouTube にアップしてもらい、その動画でコンテストを開催した。その表彰式をグローバルフェステ ィバルという形で、生配信してライブで開催した。日本から 3 チーム、タイから 6 チーム、インドネ シアから 35 チームが参加、金賞を受賞したのはタイのチームだったが、そういった形での交流と、車 いすダンスを絡めたオンラインでの活動をこの 2 年行ってきた。
・他にも、大学生とのコラボでバリアフリーを学ぶ絵本を制作して、それをオンラインで多言語による 読み聞かせを行ったり、日本で寄付をしてくださった方の車いすの贈呈式をオンラインで行ったり、 オンライン家庭訪問と言って、タイやインドネシアで障がいのある子どもたちが家庭でどんな生活し ているのか、オンラインで日本から見せてもらうなど、とにかくいろいろな取り組みをオンラインで 毎月実施している。
・またタイやインドネシアでは国内でも移動制限があり、例えば首都のバンコク、ジャカルタから県外 に出られなかったりして、車いすの寄贈やの教育支援活動の一部を現地でもオンラインで行っている。 車いすのフィッティングの仕方を、バンコクのスタッフが地方の県の理学療法のスタッフにオンライ ンで伝えるとか、奨学金の贈呈式をオンラインでやろうとか、いろいろと試行錯誤している。
・また最近は、車いすの改造や大きなセレモニーの実施にあたって、それを Zoom で中継してそれまで 会場に来られなかったような地方の人、県の子どもたちや先生、保護者の方にも見てもらうことがで きるよう、ハイブリッドでの開催が多くなっている。
〇国内事業へのシフト
・海外の支援だけではなく、国内でも何かしら活動やっていくべきではないかという議論が起こっている。WAFCA の場合だと、事務所の隣に車いす病院というものがあり、中古の車いすの点検や修理、清 掃、販売などを手掛けている。現在 20 人ぐらいがボランティアとして登録して活動してくれていて、 その収益を海外の車いす支援に充てるという事業である。ここコロナ禍にあって、2 年で活動もどん どん大きくなっていて、これ以外にも日本で核となるような活動を考えた方がいいのではという意見 も理事からあがっている。
・他の団体、大きいところなどは海外事業部に加えて国内事業部をつくって、ずっと海外支援をやって いたところが東北の被災地の支援をするなど、どんどん変わってきていると感じている。ただ、これ については WAFCA として理事会とか事務局でしっかりした議論が必要だし、定款の変更も考えなくて はいけない。難しいところがあるが、日本で支援してくださる方のお話を聞いていると、手応えが欲しいというか、自分の手で支援したいけど現地にはいけない、日本で何かに参加できて手応えがほし い、そういう活動がある方が共感が得られやすい、という話もあって、我々としてもそういう議論を しているところである。
〇優秀な人材が国際協力 NGO 業界へ?
・優秀な人材が国際協力 NGO 業界に流れてきているのでは?との話がある。WAFCA では、ユースグループという学生チームをオンラインで結成し、チャリティ商品やオリジナルのロゴをみんなで制作して 実際に販売したり、有料のオンラインイベントを学生メンバー自身が企画し実施して、その収益を寄 付に繋げてくれたりということを行っている。
・今までなら、私たちのような愛知県の小さな団体のことを全く知らなかったような、コロナ禍でなか ったら留学したりいろいろと世界に羽ばたいていったのではないか、と思われる学生たちが、オンラ インでどんどんメンバーとして参加してくれて活動してくれている。
・課題としては、給料の面など、NGO で仕事として長く働けるか、定着できるかというところがある。 〇企業との連携が加速 ・今後企業との連携がどんどん加速していくのでは、とも言われている。我々は設立母体が企業ということもあり特殊かもしれないが、その設立母体であるデンソーのキャンペーン「SDGs ワンアクション」 と WAFCA への寄付を組み合わせて、毎月の給与と年 2 回の賞与の下二桁の端数を給与天引きで車いす の寄付にする、というプログラムを昨年スタートさせた。現在までに 780 名の方が賛同してくれてこ のプログラムに参加している。デンソーには何千人、何万人といるので、まだまだ認知度は足りない が、デンソーの方と話していると企業がドーンとお金を出すというよりも、社員 1 人 1 人が、ワンア クション、何かしらの活動に参加するという、そういう手応えを感じたいという意見をよく耳にする。 そういうところが企業と連携するカギになってくるのではと思っている。
・デンソーのハートフルメニューについても紹介したい。デンソーの社員食堂でチャリティ対象メニュ ーを食べると 1 食当たり 10 円が寄付されるという活動を行っていて、11 月 12 月の 2 ヶ月分合わせて 100 万円を、インドネシアでバリアフリーのトイレを設置するための寄付金としていただいた。企業 としては、チャリティメニューを食べるとか、何かのボランティアに参加するとか、そういうアクシ ョンに社員が参加できることを求めているのかな、と感じている。
3.ブレイクアウトルームでのディスカッションを終えての質問・感想など
〇鈴木氏(デンソー):このコロナ禍の中で ICT を活用していろいろと取り組みをされているということと、現地に行けない分、何か違った試みをやっているところ、国内の取り組みにおいてはやりがい や手応えが感じられるように進めているところなどが素晴らしい。その中でお聞きしたいのが、緊急 物資支援時の草の根での情報収集のお話について、現地の障害をもった方々の困りごとやこんな物資 が足りていないという情報収集はなかなか難しいと思うが、どのようにして話を聞かれたのか。
→〇熊澤氏:具体的に言うと、タイであれば障害児の療育センターを通じて車いすの贈呈をしている。センターでは職員が家庭訪問をして障害児の支援をするのが普段の活動であり、そういった全国の センターに声をかけて、経済的に困っている子どもを、あるセンターでは 20 家族とか、ここでは 10 家族とか、というようにピックアップしてもらっている。インドネシアも同じように地域の団体 とか社会局などの事務所とか、そういうところから情報をもらっているほか、インドネシアは車い すを贈呈している子どもたちすべてをデータベース化していて直接電話することができるので、車 いすのフォローアップ調査する中で、困っているという声があれば把握することが可能となっている。このように、普段の車いすの寄贈でお付き合いのあるネットワークから草の根に情報収集しており、政府の支援と違ってすぐに支援を届けられるという強みは民間の NGO にあると思う。
〇野川氏(名古屋市社会福祉協議会):我々のグループでは、WAFCA について、現地に駐在員がいるのは 非常に賛同できる仕組みだという感想や、コロナ禍でなかなか現地に行けてない現状がある中で、タ イやインドネシアのような深刻な地域のニーズをつかみきれるのだろうかという意見があった。また 熊澤さんは 10 年以上タイにいたので現地のニーズをよく知っていて、現地で活動ができない事情が できてしまったので半ば強制的に日本に戻らざるを得ない状況になってしまった、という話題提供も あった。WAFCA の会員数は非常に多いけれどもほぼ 90%がデンソーの社員で、WAFCA の取り組みを詳しく把握していない会員さんもいて、今後そこに力を入れて伝えていきたいというような話があった。
〇齋藤氏(名古屋市市民活動推進センター):団体の成り立ちについて。そもそも団体側の設立ときに、単にデンソーの動きがきっかけで設立したのか。支援している国についてはなぜそこになったのか。 また学生との連携の話があったが、学生がそういうことに参加するというのはトレンドとして増えて いるのか、逆に減りつつあるのか。そのあたりをお聞きしたい。
→〇熊澤氏:まず設立の経緯について、確かにデンソー発の取り組みである。障がい者支援をしている団体は身内にそういう方がいるとか、そうしたきっかけで始まるケースが多いと思うが、そうい う意味で WAFCA は特殊で、民間企業が主導して設立されたという経緯はすごく珍しいと思う。タイ やインドネシアでの活動を行ったのも、例えばタイはデンソーが初めて海外で生産拠点を設けた国 で、インドネシアは二番目。それぞれ生産拠点のあるところで活動しており、事務所も現地ではデ ンソーの工場の敷地内にある。賛否があると思うが、一応理事会が会社から独立した意思決定機関 として活動を行っている。それから学生をどうやって取り込んでいくかについて、これについては 元々コロナの前から課題と言われていたことで、WAFCA ではデンソーでリタイアした方など 60 代、 70 代の方が支援者の中心で、10 代 20 代の人はほとんどいなかった。これを何とかしたいと理事会 からも言われていて、一昨年、コロナ拡大期と同時期ぐらいに新卒を 1 人採用し、若いスタッフが 同年代の学生を巻き込んで、学生の交流会であったり学生向けの説明会やイベントを開いたり、そ ういうことに 2 年間取り組んできた成果であると思っている。
→〇鈴木氏(デンソー):立ち上げの経緯を簡単に補足させていただく。1999 年に WAFCA を立ち上げ たが、その前年に NPO 法が設立施行され、民間企業が立ち上げた NPO 第 1 号が WAFCA と言われてい る。デンソーが始めて海外進出したのがタイで、工場を立ち上げ生産し始めた際に、タイという国 の皆さんが困っていることを調べたところ、障害のある方に対して政府からの支援が手厚くできて いないという現状があった。我々は車関係の会社ということで、障害のある方の移動の自由に対し て何か支援ができないかということで、まずはタイから車いす支援を始めたというのが経緯である。
それから、会社の社会貢献で始めなかったことについては、弊社の状況も景気動向に左右するので、 会社として悪くなったときにも支援が続けられるようにということで NPO 法人として独立させて、 会社から独立して判断できるようにということで始めた経緯がある。デンソーとしても支援を行い つつ、WAFCA の方向性は WAFCA 自身で決めていくという形で一緒に歩んでいる。
〇大森氏(中日新聞社):同じグループに WAFCA の熊澤氏がいて、デンソーがバックにいるので、ほかの NPO とは違って楽なのでは、という質問をしたのだが、実は去年デンソーからの寄付が業績の関係か らか減ってしまったとのこと。JICA などの機関の支援も得たことがないとのことで、個人的な意見と して、NPO としての独立性を今後どうしていくかが課題なのではと思った。もう一つは若い人材につ いて話題があがっていたが、早くから障がい者支援に関心を持っていたとか、そういう問題意識を持った学生がたくさん参加してくれているそうで、本来であれば留学して海外で活躍するような若い人材が問題意識を持って活躍してくれるというのはすごく希望が持てる話だと思って聞いていた。
〇高桑氏(RSY):どういうふうにしていろいろなアイディアを持った学生を集めたのか、という話題 について、私の話で恐縮だが、RSYに入る前に、学生による難民関係の支援団体のネットワークに 入っていたので、若者と実際に活動している団体とコラボして何かをやるということが大事だと思っている。
〇浜田氏(RSY):現地のカウンターパートとして療育センターという話があったが、現地の公的な支援というのは 20 年前から少しずつでも良くなっているのか。それから、日本以外の国の NPO とかは 同じ分野に目を向けていないのか。WAFCA しかタイやインドネシアで車いすの支援をしていないのか。 そのあたりの状況をお聞かせいただきたい。
→〇熊澤氏:他の国の支援団体について、障害分野ということで言うとたくさんあるが、車いすを利 用者の体にフィッティングする支援をしているのは、タイだと WAFCA と国立の病院ぐらい。インド ネシアにはアメリカの NPO が 1 つ入っているが、その団体はジャカルタで活動していて、インドネ シアは広いこともありほとんど会うことがない。車いすというものは体に合っていなければ意味がないとか、そういう認識をまず民間の方やそれこそ社会省か保険省といった政府の方にも啓発して いくことが重要な活動だと思っている。
〇浜田氏(RSY):少しずつは公的なところが、特に政府は目を向けてくれつつあるのか。むしろ例え ば余計なことをしてくれるな、という外国からの支援をあまり快く思わないような空気はないのか。
→〇熊澤氏:少なくともこの二つの国に関しては全くない。もともと政府も、例えばタイであれば 7000 台ぐらい、インドネシアでも同様に政府が予算を確保して車いすを配っている。その予算を無駄に しないためにも、車いすを体に合わせるというスキルの面で、海外 NGO と協力したいという前向き な勉強会や意見交換会などに呼んでもらうこともある。そういう意味で公的な機関ともすごく前向 きな間の連携ができていると感じている。やりにくいとか妨害されるということは全くない。
〇小池氏(よだか総研):WAFCAとして、起こりうる自然災害に対してどのように捉えているかお聞きし たい。例えば、この地域で自然災害が起こったらどうしようとか、タイやインドネシアでも起こるか もしれない中で、そういうときに WAFCA の活動の中でこういう対応しようと思っているとか、何かこういうリスクがあるのではないかとか、自然災害に対して普段どういうことを考えているかについて お聞きしたい。
→〇熊澤氏:「BOSAI」という言葉は、海外でも防災として通用する。障害のある方たちが災害時にど う避難するかなど、障害者支援の分野でも防災はすごく議論されてきているトピックであり、個人 的にも関心が高い。WAFCA としても通常業務ではないが、SDGs の 17 番目「パートナーシップ」を うたっているように、私たちにあるネットワークを生かして、自分たちが被災地に入るとかではな くて、実際にそういう経験がある団体から声を掛けてもらったり、中間支援団体が支援を取りまと めるようなことがあれば、ぜひネットワークを生かして一丸となって活動に参加したい。特に障害 のある方への支援であれば、私たちの活動の一環として取り組めるのではと考えている。
〇小池氏(よだか総研):WAFCA の本業、本来のミッションと重なる部分で、ということか。
→〇熊澤氏:例えば、車いすの方の避難訓練とかどうしているのか。普段から災害支援をしている団 体で、移動に障害をお持ちの方、移動のサポートがないと自力で避難できない方の避難訓練などを行 っている団体があれば、今はやれていないが、連携をして自然災害が起きたときには一緒に何かできないか、と思っている。
〇熊澤氏:今日はありがとうございました。めったにない機会をいただきすごく緊張して、伝えたいこ とが伝えきれなかったかもしれない。補足していただいた皆さんありがとうございました。まだまだ 海外に行ける目処が立っていないが、コロナが落ちつけば結構あっさり行けるのではとも期待してい る。これからも支援活動を頑張っていきたい。
4.今後の予定
■日時:2022年2月22日(火)16時00分~17時00分
■テーマ:『初めてのオンライン活動とそのサポート』
■ゲスト:八木巌氏(NPO法人名古屋NGOセンター 代表理事)
伊藤幸慶氏(ニカラグアの会 事務局長)
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