第60回:「おたがいさま会議とよた」から生まれたつながり

会議レポート

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●日時:2021年10月5日(火)16時00分~17時00分
●場所:WEB 会議(Zoom)
●参加団体:22 団体(運営 8 団体含む)
●参加人数:29 名(運営スタッフ 14 名含む)

1. 情報提供

○浦野(RSY)
・今年度 8 月の豪雨水害で被災した佐賀県武雄市での支援の中間報告会を 10 月 6 日(水)にオンラインで開催予定。おたがいさま会議関係者も現地派遣をさせていただいている。

2. 話題提供

■テーマ『「おたがいさま会議とよた」から生まれたつながり』
(鈴木聖人氏:一般社団法人豊田青年会議所)

・「おたがいさま会議とよた」は「NPO おたがいさま会議」を参考に、豊田市のまちの困りごとや課題の解決、何かにチャレンジしようとする方の手助けになれるようにと発足。2021 年 6 月に実行委員会の 立ち上げとプレミーティング、6月17日に第1回を開催し、現在までに第7回まで開催した。「NPOお たがいさま会議」は週 1 回開催であるが、「おたがいさま会議とよた」は隔週で行っている。

・三河の山里コミュニティパワー、日本福祉協議機構、豊田青年会議所が事務局を担っており、実行委 員会のメンバーで運営をしている。ホームページ制作費用などは、今年度の豊田青年会議所の予算を 充てている。ロゴマークやステッカーなども作成している。

〇「おたがいさま会議とよた」でのつながり事例の紹介

・外国人支援 NPO×人材派遣会社:豊田市内で多数のブラジル人が住んでいる保見地域で、ブラジル人の方や、外国人支援をしている NPO 法人トルシーダの伊藤氏に現状をお話しいただいた。人材派遣会 社の採用担当の方も参加しており、日本で働くうえで気を付けることについて話していただいたとこ ろ、参加者のブラジル人からの関心も非常に高く、とても盛り上がった。ここから発展して、ブラジ ル人の方が企業に面接に行くときのための練習もして欲しいという話がでてきている。

・中山間地域の農家×100 年以上続く醸造場:「おたがいさま会議とよた」発足前のプレ企画として、豊 田青年会議所の例会で同じような会議をさせていただいた。豊田市の中山間地域で、高齢化により耕 作放棄となっている畑や田んぼを引き受けて頑張っている若者に発表をしていただいた。その若者と、 市内で 100 年続いている味噌屋さんがつながり、使われていない畑を活用し、醸造場で販売している 漬物の材料となる菊芋を今後作っていく話になっている。

・福祉事業所×製造業:B 型就労支援施設では、非常に安い単価で利用者が作業をしている状況がわか ったことから、私の製造会社で内職の方がやっている仕事を、同じ単価で少しずつでもやっていただ くようにした。最初は月に数千円程度の作業量であったが、今では数万円分の作業を行っていただい ている。福祉事業所に作業依頼をしてもしっかり質よく請け負っていただけるが、そのことを知らな い製造会社も多いため、今回のような事例を広めて、作業工賃などの問題の解決の一助になるとよい。

・おたがいさま会議とよた×NPO おたがいさま会議:「おたがいさま会議とよた」にずっと参加している栗本氏に「NPO おたがいさま会議」で重層的支援体制整備事業の発表をしていただき、栗本氏と日本福祉協議機構の皆さんがこれから何か一緒にしていくようなつながりができている。

・現役 JC×先輩 JC:普段は JC の OB 先輩に会う機会はあまりないが、「おたがいさま会議とよた」のつながりで、初めて会う OB 先輩から激励されることもあり、貴重な体験をさせていただいている。

・介護事業や福祉事業所などを経営している会社が、地域貢献のために開催している「SOUP(スープ)会議」で、おたがいさま会議の PR をしたことをきっかけに、SOUP 会議への参加も継続的にさせていただけるようになった。様々な方と知り合い、つながりが広がっていると感じている。 ・子ども食堂や子どもの居場所をテーマにした回では、地域で子ども食堂やプレーパークを実施してい る方々と知り合うことができ、その後、私自身も子ども食堂に参加させていただいた。このことをき っかけに、JC メンバーや会社の人で興味関心を持ってくる人もいて、今後もう少し発展した支援ができればと考えている。

・「おたがいさま会議とよた」の活動を通じて、麦の茎をストローにする「麦ストロープロジェクト」にも声をかけていただき、関わることができている。麦ストローを作る作業工程の一部を福祉事業所の 方々に依頼したり、麦ストローを販売して収益もだしていけるといいとの話になっており、現在試作 品が作成されているところである。

・「おたがいさま会議とよた」は、発足時に新聞取材もしていただいたが、オンライン会議はなかなか記 事にしづらいとのこと。どこかのタイミングで、様々な業種や職種の方々に参加いただく対面式のイ ベントを実施し、それを取材していただくことでもっと幅を広げていきたいと考えている。

・豊田市の山間地域の課題解決に取り組んでいる「おいでん・さんそんセンター」所長の鈴木氏とも、 活動を通じて知り合うことができ、今後の会議の方向性なども相談できるつながりができた。また、 社協主催の豊田市内の中間支援関係者が集まるコア会議に、今年から青年会議所として参加させてい ただいており、その場で「おたがいさま会議とよた」の PR もしている。コア会議で話されていたボラ ンティア不足の課題を持ち帰り、時間のありそうな方に声をかけたところ、ボランティアが見つかる など、解決につなげることができたケースもある。

〇「おたがいさま会議とよた」をやってみて

・会議を 1 回するだけでも、意外と皆さんがすぐつながったり、いい話がでてきたりすることがある。

・豊田バージョンのおたがいさま会議は、参加者も課題も身近であるため、地元の課題だからこそ関わりやすいと思われる。 ・発足当初は、コロナ禍の影響を意識してスタートしたが、コロナの影響がある部分も、コロナの影響はないけれども昔からあった課題についても、いろいろと扱える会議だと感じている。

・企業(JC メンバー)が協力して立ち上げたため、JC メンバーは強制参加の部分があるが、そのメンバ ーも企業の代表であったりするため、「おたがいさま会議とよた」でのつながりを作っていく上で、とても力になり大事だと感じている。また、企業だけでなく、NPO や行政など様々なつながりが大切。

・「おたがいさま会議とよた」事務局として情報発信をしたり、次のネタ探しや問合せに対するつなぎ役などの活動は、時間も使って大変であるため、好きな人がやらないと難しい部分はある。

・当初は「おたがいさま会議とよた」を豊田の町中に一気に広げたいと思っていたが、そういうことは あまり上手くいかないことがわかった。興味のある人から少しずつ会議が大きくなったり、その時々 の話題によって興味のある方が都度参加される自由な会議であるため、一気に話題になるということはない。とても地道であるけれど、町にとっては非常に大事な活動になっていると感じている。

・「NPO おたがいさま会議」では、常に NPO の課題をだしていると思うが、少し違う切り口として、地域の課題や活動を扱ってみるのも面白いのではとも思う。

・愛知県内には豊田以外にも 32 ヶ所青年会議所があり、問合せもきている。もしかすると、県内の別の場所で「おたがいさま会議○○」が発足する可能性もあるため、その場合はご協力いただきたい。

・「おたがいさま会議とよた」の活動をしていることで、様々なところから声をかけてもらえるようにな った。社協担当者からプロジェクトへの参加のお誘いや、民間の町づくり会議に声をかけていただいたりもする。そこで話された困り事についても、つなげていくことができればと考えている。

・「おたがいさま会議とよた」のゲストスピーカーに、その後の状況伺いの訪問をすると、会議に企業人が多く参加していることから、金銭面での支援希望の話になることが多かった。中小企業の場合は、 まとまったお金の支援をすることは難しい。そのため、仕事の一環や趣味の部分などでつながりを作 っていくことにより、結果としてそれが自ずと誰かの役に立っているというパターンの方がいいと感 じる。その方が、お互いにいい関係ができ、大きな効果となることが多いのではと考えている。

3. ブレイクアウトルームでのディスカッションを終えての質問・感想など

○浦野氏(RSY):鈴木氏はアグレッシブな動きをされているが、本業との兼ね合いを教えて欲しい。非常にいい活動であるため、他地域でも展開できるように普遍化するには、どんな要素があるといいか。豊田市内での活動の中心エリアがあれば知りたい。

→鈴木氏:このように忙しくなる前に、パソコンがあればどこでも仕事ができるように、クラウドサービスを使って会社のシステムをアナログからデジタル化するなど、私が会社にいなくてもいいような システム作りをした。他地域への展開としては、青年会議所の理事長から、碧南市でも同じような会 議体を作りたいと問合せが入っている。発足にあたっては、全員が企業人だと上手くいかないため、 NPO や福祉系、市民活動をしている方など、バランスよく人を集めて実行委員会を作ることが大切。 また、行政や社協の協力なしでは、より広げていくことは難しい。「NPO おたがいさま会議」の場で、 名古屋市社協の野川氏や、日本福祉大学の菊池先生から、行政や社協への話の持って行き方などにつ いてアドバイスをいただいたりもした。地域としては、中心となっているエリアは特になく、バラン スよくやっていると思う。現在、豊田市内の都市部の課題に対しても、もう少しやっていきたいとい う声もあり、これまではあまり関係がなかった商工会などが抱える課題についても取り上げていきた いと考えている。カテゴリとしては、今のところ福祉系寄りであると思う。

○野川氏(名古屋市社協):JC メンバーは 40 才で卒業となり、1年で役も変わるため、1 年後にどうなるかが心配。青年会議所には経営者の卵が多く、40 才を過ぎた OB メンバーにも、おたがいさま会議 とのつながりを持っていただけるとよい。

→鈴木氏:青年会議所に詳しい人からは、いい企画でも 1 年で中途半端に終わることを心配されること がよくある。そうならないように、先に青年会議所から少し飛び出す形で事業を作ることも可能。個 人的にもここまでやっていなくなるわけにはいかないため、今後も関わり続けるつもり。青年会議所 がやると 1 年で絶対に終わるということはなく、他の方法もあることを知っていていただきたい。

〇窪田氏(トヨタ自動車):青年会議所に地域の困りごとを解決したいというミッションがあるため、お たがいさま会議の活動を行っているのか、もともと個人的に市民活動や地域課題に関心があって行っ ているのか知りたい。ネタの発掘はどのようにしているのか。

→鈴木氏:これまでは市民活動に参加したことがなく、NPO についても全く知らなかった。「おたがいさ ま会議とよた」は、理事長に勧められて始めたが、最初はおたがいさま会議メンバーが話しているこ とがわからなかった。参加していくうちに、豊田での必要性も感じるようになっていった。ネタ探しは、基本的には私が様々なところへ取材に出向き、そこで課題を拾ってきている。動いていると、取 材の相手先を紹介してくれる人もでてくる。最初は行き先がわからなかったため、社協や市役所内の 職員で物知りな人から話を聞くなどしていた。

〇小池氏:おたがいさま会議の場によって、発表者等とマッチングが起きやすい人たちの共通点があれば教えて欲しい。

→鈴木氏:青年会議所で理事職を経験している人たちは、おたがいさま会議のような場に入ってきても適応できる。また、多趣味な人や、時間もお金もあって安定している人は、情報や人脈を持っていて大活躍することもある。子どもが学童に行く時に付添ができる大人がおらず困っているというケース があった時には、たまたま出会った人が毎日ウォーキングをしているということで、付添ボランティ アをお願いできたこともある。簡単なことであっても、世の中に貢献できることがあるとわかったと その人が言っており、ボランティアの入口は入りやすいものであるといいと感じる。

■まとめ

・本人がボランティアや地域貢献と思っていなくても、実は社会の役に立っているというところからスタートできるのもいいと感じている。おたがいさま会議の場で知り合い、本人としては単に仕事をしたり、遊んでいるというだけであっても、実はどこかの困っている人が助かっているというつながり が広がっていくといい。誰も無理をしない緩やかなつながりから、太いつながりに発展していくこと が理想。豊田市での地域課題や、「おたがいさま会議とよた」について聞きたいということがあれば、 いつでも声をかけていただきたい。今後も引き続きよろしくお願いします。

4. 次回の予定

■日時:2021年10月12日(火)16時00分~17時00分
■テーマ:『愛知子ども応援プロジェクトについて~子どもの貧困・教育格差をなくすために~』
■ゲスト:藤野直子氏(名古屋名東ロータリークラブ所属・愛知子ども応援プロジェクト サポートコーディネーター)

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