第58回:ファミリーステーションRin居住支援事業の取り組み

会議レポート

Pocket

●日時:2021年9月21日(火)16時00分~17時00分
●場所:WEB 会議(Zoom)
●参加団体:27 団体(運営 11 団体含む)
●参加人数:35 名(運営スタッフ 17 名含む)

1. 情報提供

◯横田氏(レスキュースックヤード)
・多文化共生リソースセンター東海土井さんからの情報提供。西区在住の方への食糧支援をという話があったが、結果的にその方が一時的な支援で済むということ、平日日中に仕事が決まったこと、社協 の営業時間内に食料を取りに行くことができないということで、多文化共生リソースセンターが持っ ている食料品を分けることで事足りたということだった。また月末には仕事を始め、少しずつ生活が 安定していくと思われるとのこと。土井さんよりお礼とご報告まで。

・住民登録がない方へのワクチン接種は、名古屋市では8月20日付で接種券を発行する旨が公表され、 外国人に限らず日本人でも海外駐在等で住所を移しコロナ禍で一時帰国中の方には、住民登録がなく ても接種券の配布対象になっているとのこと。

・短期宿泊支援で、東京の一般社団法人社会的包摂サポートセンターが、今年の 8 月から相談と緊急宿 泊支援を行う「ChanKan(ちゃんかん)プロジェクト」を行っているとのこと。外国籍、年齢等関係な く、また日本人でも若年層が住む場所に困ったときに相談を受けつけ、中長期的支援に繋がるまでの 短期宿泊支援を行っている。

2. 話題提供

■テーマ『ファミリーステーションRin居住支援事業の取り組み』
(久野 明子氏(ファミリーステー ション Rin)

・ファミリーステーション Rin は子育て支援の NPO として、もともと日進市の地域子育て支援拠点の指定管理を初めとして、子育て支援に関わる活動をしている。

・居住支援事業に携わることになった経緯としては、法人のミッションとして「男女に関わらず、一人一人の個性が尊重され、子どもたちも親たちも自立していきいきと生活できるまちづくり」と掲げて いて、設立当初から女性学や女性支援を学んでいた人たちがおり、DV 被害者支援の活動をボランタリ ーベースでずっと続けてきたことと、2012 年 DV 被害者のステップハウスとしてステップハウスミモ ザを開設し、2016 年の子ども子育て支援法に定める利用者支援事業を開始して、相談の幅が広がったことがある。

・法人の事業としては自主事業で訪問型のサポート、また大きな収入源になっているのは指定管理事業 と居住支援事業で、補助金をいただいて実施している。

・DV 被害者のシェルターは今すぐに逃げなければいけない人が入る一時的なもので、おおよそ 1 ヶ月ぐ らいで出なければならない。それに対してステップハウスは、住所を隠さなければならない、または 収入がないので家を借りらない方が、3 ヶ月から半年ぐらい入居してその間に生活を立て直し、また 次のところに行くというためのものであり、2012 年から運営をしている。居住支援事業を始めるにあたり、このステップハウスミモザの運営が大きな下地になっている。

・従来、地域子育て支援拠点である子育て支援センターに寄せられる相談は、子どもの発達の相談やお母さんがお休みできない等の相談が多かった。しかし、支援センターの指定管理をしているところへ下りてきた利用者支援事業の開始により、センターへ寄せられる相談の中身も変わってきている。

・このような相談が寄せられたときに、支援センターの業務だけではできない対応しきれないというこ とがあり、居住支援事業に踏み切った。また、居住支援事業には現在国土交通省から令和6年までの 予定で補助金が出ている。今までボランタリーペースでステップハウスの運営をしていたが、補助金を活用して事業化していこうということで、この事業を始めたという経緯もある。

・住宅確保要配慮者居住支援事業、私どもの事業の名前を Smairin(すまいりん)というが、これは居住支援法人を都道府県が指定するもので、この指定を受けて始めた。この事業は平成 29 年の改正住宅セーフティネット法で制定された比較的新しいものである。

・居住支援法人の指定を受けるのには支援の範囲を設定する必要がある。法律・施行規則に定める者のうち1低所得者5子育て10DV 被害者、また愛知県供給促進計画で定められた者のうち(10)一人親世 帯(11)低所得者、これらを今私達が支援の対象として申請をしている。この1と(11)は今年度より追 加。支援業務を行う区域では名古屋市が今年度の追加である。

・申請当初名古屋市と低額所得者は対象としていなかったが、事業として運営していくうちに電話がか かってくるようになり、今年度、定められている人以外を対象として支援しても実績としてカウント できないと指摘され、これらの方も追加することになった。現在 5 市町を対象として行っている。

・支援の内容は、大きく分けて主に入居前相談と入居中支援の二つである。居住支援法人の他の事業と して退去後支援や死後事務委任もあるが、それは Rin としてはやっていない。

・入居前相談の主な仕事として住まい探しと不動産への同行がある。私たちの法人は先ほどお話したと おりステップハウスを持っているが 2 軒しかなく、たくさんご相談いただいてもそこに確実に入れる ということにはならないので、基本的には民間住宅へのマッチングをしている。

・入居中支援は、斡旋紹介して入居した方へのメールでの現況確認や、DV 被害者の方、ステップハウス に入られた方にはもう少し手厚く面談や行政同行をしたり、食料を集めてお届けしたりしている。

・支援業務の実績は 2019 年 17 件、2020 年 25 件であるが、コロナ禍で居住支援の数がすごく増えたという実感はない。ケースは増えているが始まってまだ 2~3 年なので、少し数が増えたというとこを持ってコロナで大変だということは言えないように感じている。

・ただ、今までミモザをやっていた関係で行政からの相談が多くその中でも DV 被害者の相談が多いのだが、行政からではなく本人からの相談で、夫ともうこれ以上暮らせないなどという相談を受けるよ うになったというところは確かにあり、それがコロナの影響である可能性はある。リモートや勤務調 整で家族と一緒に過ごす時間が増えた結果、ちょっともうこの人とは暮らせないとか、子どもを連れ て出たいとかという相談が、行政からでなく個人の電話としてかかってくるようになったのかなとい う感触はある。

・Rin の数値だけでなく、コロナで支援業務の数が変わっていないという根拠としては、愛知県の女性 相談数が 2020 年度は 1 万 870 件で、2019 年に比べると 32 件の増加、また DV の相談は 1320 件で 2019 年より 139 件増で、これもコロナになって DV の相談が爆発的に増えているということではない、と いう証左であると思っている。ただ県女相の話だと、例年は春先、夏休み冬休みに相談が多かったそ うだが、コロナになって平均的にどの時期でも電話かかってくるとのことだった。

・相談者の内訳と地域別では、ステップハウスを持っていることを名古屋市の相談員が知っているので、 名古屋市からの DV 相談が非常に多くなっている。相談者の範囲でみても、DV 被害者が多いというの はそういう理由である。

・居住支援事業は事業 3 年目になって、日進市内の仲介業者さんとは大変仲良くなった。最初はやはり NPO 法人だと伝えるとあまり感触は良くなかったが、今はそういう事もなくなり Rin という名前を認 知してもらえるようになった。

・子育て支援は福祉の分野に割り振り分けられるが、居住支援は建築の分野である。建築の分野との付 き合いが今まではなく、いわゆる都市計画の分野、市役所の都市計画課ともあまり付き合いがなかっ た。個々のケースを都市計画に持っていく話なのか福祉に持っていく話なのか迷うこともあった。都 市計画の方とは、関係構築をゼロからスタートした。

・ここで日進市、みよし市の、この地域特有な相談として多かったものを挙げてみたい。まず名古屋と 違って、ペットと自家用車の問題がある。この地域はやはり車がないと不便な場所が多いので、生活 保護だから車は持てないと言われると、困る人がたくさんいる。それからペットを飼いたい方も大変 多く、5 分の 1 ぐらいの相談者がペットと一緒に住みたいという希望がある。しかし生活保護の住宅 扶助の範囲でペット可の物件を探してほしいという相談があっても、やはりペット可の物件は高値で あることが多いので、なかなか苦労をしている。日進、長久手、東郷、みよしは、ベッドタウンとし て子育て世帯が多く、少し古くて広くなくてもいいから安価な物件というものが少なくファミリー層 向けの物件が多い。

・また法人としての問題でもあるが、ステップハウスを運用しながら民間住宅にもマッチングを行って いて、ステップハウスが 2 軒しかないので、ステップハウスに入れない人が出てくる。ステップハウ スが埋まっていればもう入れないが、逆に空きがあれば無駄になってしまうというところを法人とし ては考えなければならない点である。

・制度が先か別居が先かという問題は DV 被害者や一人親世帯に限ったことではない。行政に、ある人 に生活保護を受給させるために家を探して別居させてくださいと言われても、家を探すにも収入がな いと結局契約できない。行政に、それなら生活保護ができる証明が出るかと聞いても出ないと言われ てしまう。どちらの問題を先に解決すればいいのかというケースが重なった時期もあった。

・以前 LinkLink さんがこの場でも話されたがと思うが、シングルマザー向けのシェアハウスというの ものがいくつか存在はしている。だが、子どもの年齢によっては入れない、中学生ぐらいまでとか小 学生ぐらいまでとかというところもある。男の子だと 8 歳までしか駄目だとか。それと子どもの人数 が 1 人まで、または 2 人までというところもあり、うちに相談に来る方で行政から連絡いただいたり する方には、子どもの人数が多いからシェルター的なところに入れなかったり、公的なところに入れ ないという人もいる。

・結局のところ、今住んでいるところから出るというのは重要な問題である。本当に今すぐ出なければ いけないという人は転居する気もあるが、なんだかんだ支障はあっても住むことができてしまってい る人は、「住まい困ってます、探してください」と電話してきても、なかなか決められない部分がある というのが、ここ 3 年で実感した大きな課題だ。

・ステップハウスを 2021 年からもう一軒新しく持つことにした。パブリックリソース財団の NOBUKO 基 金に採択していただき、最初に申し上げた DV 被害者のためのステップハウスのミモザに合わせてシ ングルマザーと子どものためのステップハウスを開設した。日進市にあるアパートの一室を借り、ペット可、低額で、広さもあるのでお子さんが何人かいても入ることができ、アパートの一室でその世帯だけなので、お子さんの年齢も問わないという条件になっている。

・ステップハウスは 2 軒あるがそこが埋まった場合、お金のない人たちにどうするのかということで、現在基金の設立を計画している。NOBUKO 基金の財源をもとにして基金を設立に着手をしているところ である。基金設立については経験がなく、どうして行ったらよいか良い知恵があったら教えていただ きたいと思っている。

・私たちの所有するステップハウスは、DV 被害者のためのミモザと、原則母子家庭のための NKHouse の 2 軒である。基本的には行政を通して受け入れをしていて、もし個人の方から相談をいただいた場合 にも、必ず行政に繋ぐようにしている。先ほども述べたとおりシェルターではないので、今すぐ逃げ なければならないという方はうちでは支援がしきれず安全確保が難しい。今逃げないと夫がいつ追い かけてくるかわからない、といった方はお受けできないので、その点はお伝えしておきたい。

・民間住宅へのマッチングの難しさとして、例えばペットと住みたいとか、今まで通りの学区に通いた い、自家用車が手放せない等の利用者のニーズにどう応えるかということがある。生活保護なんだか らとか、もう引っ越さなければいけないんだから、夫と別れないといけないんだから、我慢は仕方な いという意見はある。ただやはりそれぞれの方にそれぞれの事情があり、どうしてもそこで住みたい、 希望地域があって譲れないというのも仕方ないことだと思い、マッチングをしている。

・このような感じで Rin が支援を行っているが、私たちの今の居住支援の現状として、行政と一緒にや らせていただく案件が多い。すると行政の対応しきれない案件が回ってくることも多くある。行政の 方で探したけど家が見つからないというような。行政でも困難ということになると、その多くは複雑 な案件であり、重層的支援が求められる複合的な問題であって、それは誰がどうやって仕切るのかと いう問題が出てくる。

・例えば、離婚してないが離婚をして夫と離れて住みたいという人がいたときに、離婚したら児童扶養 手当が出るが、私たちの立場で別れなさいとは言えず、そこは行政の女性相談の方に相談していただ いて、その方に一番いい方法を相談した上で家を探すというのが本来であると思う。しかしそこを一 事業者である私たちが仕切ることは難しく、問題がなかなか解決しないということがある。

・土地柄的な問題として、この地域は宅建協会に所属している事業者が賃貸物件を持ってない。他地域 の居住支援法人の話を聞くと宅建協会と上手に連携して、直接物件の大家さん紹介してもらい、大手 の仲介業者が知らないような物件を教えてもらってそこにマッチングしたりしているという。うちの 地域のように宅建協会がそもそも賃貸物件を持ってないとなると、そういう方法は使えないので現在 は大手の仲介業者と仲良くさせていただいて大家さんを紹介してもらい、案内をしている。結局、そ の方法では普通にアパート探すのと変わらないので、私たちが仲介業者の仲介のような立場であり居 住支援法人の優位性を発揮できていないというのが悩みである。仲介業者がよくしてくださるので、 私たちは非常に助かってはいるのだが、居住支援法人をせっかく名乗って事業を展開しているのに、 結局は仲介業者が出している物件しか紹介できないことにもどかしさを感じている。

・それから生活保護の話で、この地域の大家さんは生活保護の方は入れたくないと言われたり、管理会 社の方が入れたくないと言われることが多く、生活保護の方の物件が見つからなくて悩んでいる。あ る市では、安い物件は一つの管理会社が全て押さえていて、オーナーはそれぞれ違ってもその管理会 社に生活保護の人は入れませんと言われてしまうと、その市では生活保護の方が入る家が全く見つか らないという状況になる。そういう地域的な苦労もある。

・個々の案件が長期化しがちで、補助金を受給している以上実績を上げないといけないが、実績をあげ ることが難しく、審査が怖いというのが現状。国は現在、居住支援協議会というものを各自治体につ くるよう指示していて、そういう協議会ができれば、さまざまなところが関わってこうし問題を解決 していけるのではと期待しているものの、そう簡単には進まないというところで苦労している。

3. ブレイクアウトルームでのディスカッションを終えての質問・感想など

◯野川氏(名古屋市社会福祉協議会)
・今日お話ししてくださった久野さんが同じグループだった。いろいろ感想が出て、子育ての活動から幅広く活動を広げていき、今の活動まで取り組んでいるのはすごいというような意見がでたり、久野 さんからは具体的な支援事例のケースについて生活保護の方に対して家探しの部分だけ切り取られ て依頼されることもあるというお話をしていただいたり、シェルターの次の段階という期間が非常に大事だという話がでた。

・その大事な期間に、立ち位置をアドバイスしてくれるような、スーパーバイズしてくれるようなとこ ろはあるのかとか、関係機関との連携はどうなっているのかという質問がでた。関係機関との連携に ついては、「かけこみあいち」のネットワークに入っていて、シェルターとの関係は出来ているという 話があった。スーパーバイズをしてくれるところは、なかなかそこまでにいたる関係ができていると ころは無いそうで、まだこれからだというようにも感じたが、久野さんの方から今日ご参加いただい てる方々に、ぜひこういった部分で協力していただきたいというメッセージ等があれば、この場で発 信してもらえればと思う。

→〇久野氏
・まだ居住支援を始めたばかりなので、私たちも居住支援のプロという段階に至っていない。地域の特別な事情も最近わかってきたばかりというところもある。同じ班の朝倉先生から日本の居住支援 は脆弱だというお話をいただき、そう言われるとやはりそうなのかと。居住支援について何かアド バイスをいただけるような方がいらしたら、スーパーバイズというほどでなくても、いろいろ教え ていただけるような機会や場所があればぜひ教えていただきたい。

◯鈴木氏(デンソー)
・シェルターとはまた違ったステップハウスの存在を初めて知ったという話や、DV 被害者の方が例えば同じ学区に住みたい思いがあっても物理的に離れないといけないということもあるだろうから難し い問題だという話が出た。こういった女性の方々が自立されるときの公助の支援がしっかり整備され てないんだなという話の中で、Rin と不動産業者の方々の調整をどういった公助のサポートがあるの か具体的に聞きたいということと、Rin のような活動、住居支援をされている団体は他にもあるのか ということをお聞きしたい。

→〇久野氏
・居住支援法人自体は今愛知県に 23 ある。が、私たちが支援している DV 被害者を支援している法人はそう多くなく、片手あるかないかぐらいではないか。定かではないが、DV 被害者支援の団体は少ないと思う。
・公助との連携については、公助が使えないケースもある。例えば、離婚をすれば児童扶養手当をもらえるが、DV 被害は自分の行き先を隠したい。離婚して転籍してしまうと夫が追跡できてしまう。住所はそのままにしておいて別居となると離婚はできないので児童扶養手当が貰えず、また先ほどの話に もあったが世帯が一緒のままだから生活保護も受給できない。DV 被害者認定のような、例えば県女相 への相談実績があれば公助の対象として認められるケースもあるそうだが、そこまでではない人は公 助を受けられない。別離を望んでいる人全員が公助を受けられればいいのかもしれないが、どこまで 公助で支援しなければいけないのかということを考えるときに、世帯が一緒かどうかは一つの判断基 準でもあるといえる。そうなると公助の対象者ではないという人もでてくるので難しい。

◯渡辺氏(愛知県社会福祉協議会)
・ステップハウスや居住支援についての関わりがあまりないということで、どんな支援をしたらフォローや手伝いができるかということについては結論が出てこなかった。一つ質問として豊田JCの鈴木さんから、企業から協力ができることはあれば教えていただきたいとのことだった。
・また、不動産との繋がりがあった場合はどういう声かけがあると嬉しいかお聞きしたい。

→〇久野氏
・現在物品の寄付募集をしていて、個人の家にあるまだ使えるもの、例えば今なら足折れ座卓が欲しいと思っているが、そういったところでも企業に協力いただけたらというのが一つ。また、ステッ プハウスの運営資金は常に不足していて、今回パブリックリソース財団から助成金をいただいたの でもう 1 軒持てたが、その助成がなくなることに備えて、法人としては寄付金を集めて運営を継続 していこうと思っている。ステップハウスもシェルターも、いつ利用希望者が来るかわからないの で常に開けておかなければいけない。「利用中で空きがなくて入れません」というのは仕方ないが、 「今は開けていません」ということはできない。そこが資金的に苦しいところで、これから寄付金 を集めていくのも法人の仕事だと思っている。その点で協力いただけるのであれば大変助かる。お 金だけではなく物品も協力していただきたい。ステップハウスは性質上場所を公開できないので、 何をやっているのかもなかなか公表できないのだが、ご理解をいただき協力をお願いしたい。
・宅建協会が賃貸物件を持ってないという話をさせていただいたが、宅建協会に入ってないけれども 物件を持ってらっしゃる方がいらっしゃれば教えてもらいたい。地域的に日進、長久手、みよし、 東郷で、できれば大家さんと直接繋がりたいという思いはずっとある。大家さんと直接繋がる方法 が何かあればぜひ教えていただきたい。

◯菅氏(関西大学)
・私は神戸では神戸まち作り研究所という NPO に関わっている。先ほど不動産との繋がりのことで、居住支援の協議会があると最後にお話されていたが、法人同士が実際に会って話し合ったりする場があ るのかお聞きしたい。

→〇久野氏
・日進にはまだ居住支援協議会ない。名古屋は 10 月の真ん中くらいに居住支援法人の交流会を行う予定とのことで、それは名古屋市の居住支援協議会が主催だったと思う。

◯菅氏(関西大学)
・そういう場があれば繋がれたりするようだ。まちづくり研究所でも居住支援法人の調査をしていて、大きく分けると不動産系のところ、福祉系の活動をしているところ、民間企業と三つぐらいにわかれる。特に不動産業務をされている方は生活支援のノウハウがなく、福祉系の団体からノウハウが欲しいと思っていて、一方で福祉系の団体は場所の確保が必要ということだった。私たちはまちづくりワ ークショップ等をやっていることもあり、そのあたりのコーディネートができないかと話をしている ところで、昨年度報告書が出来たようなので、実際にそういう場でうまくノウハウとか資源のやりと りができる可能性があればいいと思う。

◯関口さん(フリージャーナリスト)
・グループに市社協の染野さんがおり、市社協も居住支援法人の一つだということなので、先ほどの協議会の話とか具体的にご存知かと思うので、また後でお話いただければと思う。私の方から 1 点、前回の LinkLink さんのお話でフィリピン人の女性が駆け込んでこられたみたいなことがあったので、 Rin で地域的な問題だと思うが、外国人の方の相談を受けることが今まであったのかどうかというこ とをお聞かせいただきたい。

→〇久野氏
・外国人の方の相談がご本人からあったことはないが、名古屋市から相談受けたことはある。相談員を介してなので、実際にうちのステップハウスに入ることにならなければ詳しい事情を聞くことは ない。Rin としては外国人の方に直接対応したことは、ここ 3 年ではない。

◯染野(名古屋市社会福祉協議会)
・私たちも Rin の後、Rin が元年の 6 月ぐらいで私たちは 12 月ぐらいにその年の指定を受けて活動している。名古屋市社協としても今 Rin と同じぐらいで 1 年間にだいたい 20 件の相談を受けて、成約するのは 3 件ぐらいという状況になっている。
・私どもは法人としてずっと居住支援協議会に関わってきていて、名古屋市の場合だと今言っていただいたように居住支援協議会を行っている。居住支援協議会の中には、仲介事業者にも入ってもらって、 一民間の企業と一緒にどうやって居住支援を進めていけばいいかという話し合いをしている。ただ、 現在名古屋市はその中に居住支援法人は入ってないので、今後その居住支援の交流会等をする中で、 その交流会の中の代表の方には居住支援協議会に一緒に入ってもらって議論していく必要がある。
・名古屋市も今、福祉分野と住宅分野が一緒に連携しながらやっていこうというのはすごく意識されて やっている。そういう意味では今後 Rin の活動とか私どもの活動とかをそういった協議会に上げてい きながら、もっと連携を深めていけるといいかなというふうに思っている。
・名古屋市内はどちらかといえば大手の仲介が物件を持っていることがすごく多いので、さっき Rin が 言っていた仲介の仲介というまさにその言葉通りのような状況である。もう少し協力店のようなとこ ろを増やしていけると、もっと幅広く住居の提案みたいなものができるのではと思うし、相談支援機 関とも一緒になってやっていかないと居住支援法人が全部抱えていくのは難しいので、その後の生活 支援はそういった相談支援機関と一緒になってやっていくのが大事だと思っている。もしよければ一 緒に活動できたらと思うのでよろしくお願いしたい。

◯小池(よだか総研)
・最後の方に、生活保護を受けている人だと嫌がるオーナーと不動産会社の話があったと思うが、これはインフォメーション不足なのかなという気がする。生活保護の人だと家賃の取りっぱぐれもないし、国庫からお金が充当されるので地域にもお金がもたらされることになるわけで、メリットも大きいと 思う。もちろん暮らしていくことの難しさもあるので、そこを生活支援で何とかしていかなければな らないといった面もあると思うが。日進市は地域的に豊かなので、そんなメリットは必要ないかもし れないが、岐阜とかだとその切り口はまだまだ裾野が広がるメッセージみたいなものを伝えられるし、 伝えなきゃいけないと思っている。例えば、物件のオーナーさんに会えたとして、どんなことを伝え て仲間になってもらおうとか、この先の戦略みたいなものがあったらお聞きしたい。

→〇久野氏
・そういわれると戦略というところまでは確かに立てられていない。日進市の不動産事業者が名古屋市に物件を持っていたりして、名古屋市ではだめかと聞かれることがある。私たちも名古屋市に目 が行ってしまい、生活保護を受給するのが日進なので、その担当を移管しなければならなくなるの で名古屋市ではだめと断ってしまう。物件のオーナーや管理会社には、生活保護受給者であれば取 りっぱぐれないで代理納付もできるということを知っていただく必要がある、とお話を聞いていて 思った。

◯小池氏(よだか総研)
・オーナーの人や管理会社の人たちが、困窮している人相手だと損をするのではないかと思っている感じがするので、そのあたりについて、むしろ福祉の人たちがいることで、その人たちにとってもむしろ得をする存在だということを理解してもらえるといいのではないかと思う。

4. まとめ

◯幸村氏(ファミリーステーション Rin)
・今日はたくさんの方に私たちの取り組みを聞いていただけたし、アドバイスもいただけた。私たちもまだまだ試行錯誤しながらの展開で、本当に切羽詰まっている方の物件探しが多いので毎日ヒヤヒヤ しながら取り組んでいる状況。今日参加させていただき、本当にたくさんの心強い方々と繋がりをい ただいたので、また勉強しながら続けていきたいと思っている。今後もよろしくお願いしたい。

◯久野(ファミリーステーション Rin)
・10 月 12 日に居住支援の協力体制を考えるという勉強会を日進市で開催する。もし興味のある方は法人のホームページからぜひお申し込みいただきたい。あと先ほどから話題に上っているミモザと NK ハウスについて、今二つとも空いている状況なので、もし近くにお困りの方がいらっしゃった場合に はご案内していただいても構わない。ただ行政とは繋いでやらせていただくということだけはお知ら せいただきたい。特に NK ハウスの新しい方はシングルマザーの方に一時的でも入っていただいて、 生活を立て直す基盤になっていったらいいという思いで作っている。困っている方がお近くにいらっ しゃったらぜひお願いしたい。今日はいろいろなお話を聞かせていただき、私も学ぶことがたくさん あった。長い時間ありがとうございました。

5. 次回の予定

■日時:2021年9月28日(火)16時00分~17時00分
■テーマ:『地域で暮らす医療ニーズの高い子どもの現状と課題』
■スピーカー:神田春美氏(柊訪問看護ステーション 所長)

8/8

会議レポート