第56回:東海地域に暮らす難民への新型コロナウイルスへの影響

会議レポート

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●日時:2021年9月7日(火)16時00分~17時00分
●場所:WEB 会議(Zoom)
●参加団体:32 団体(運営 9 団体含む)
●参加人数:39 名(運営スタッフ 16 名含む)

1. 情報提供

○小池氏(よだか総研)
・名古屋市イーパーツリユースPC寄贈プログラムの募集が始まっている。興味のある方は以下のリンクを参照してほしい。http://www.n-vnpo.city.nagoya.jp/news/reuse_pc10/youkou10.pdf

〇土井氏(多文化共生リソースセンター東海)
・情報をお持ちの方がいらっしゃったら教えていただきたい。今日、名古屋市西区にお住まいの外国人の方、お 2 人のご夫婦の世帯から、現在かなり生活困窮な状態にあって、できれば食糧支援などが受 けられるところがあれば教えていただきたいとのお話があった。当方でも可能なものは提供しようと 思っているが、もし西区周辺で、そういう食料提供されるような情報、社協さんやフードバンクさん 経由のものなど、情報があればお伝えしたいと思うのでよろしくお願いしたい。

→〇野川氏(名古屋市社会福祉協議会)
・西区の管轄の「仕事・暮らし自立サポートセンター」に相談をするのがまず一つの方法かなと思う。場合によってはセカンドハーベストさんからの食糧支援に繋がる可能性がある。URL は以下の通り。http://support-nagoya.jp/

2. 話題提供

■テーマ『東海地域に暮らす難民への新型コロナウイルスへの影響』
羽田野 真帆氏(特定非営利活動 法人名古屋難民支援室[略称DAN])

・今日は、最初に「難民」について少しお話させていただき、その次に私たちの団体「名古屋難民支援室(DAN)」の活動内容を、そして最後に、コロナの影響やそれを受けての緊急支援を行っており、その中の食料支援の事例をご紹介させていただく。

・まず、日本も加入している難民条約上の「難民」の定義から、特に食料支援等の支援活動を行っていく上で重要な難民の特徴についてピックアップしてみる。

・一つ目に、難民の人たちは出身国からの保護を受けることができないという点。例えば、逃れてきた先の日本において、安易に同じ国出身の人を頼ることができないケースがある。自国の政府から保護 を受けられなくて生まれるのが難民の人たちなので、逃げてきた後も、同じ国出身の人がもしかした ら政府関係者かもしれない。留学生として来ている人も政府関係者が仕事を休んで学びに来ている場 合もたくさんあるし、もちろん大使館関係者の方もいる。

・そういった場合に、自分のことを詳しく話すことによって難民になった背景などが知られてしまうと、 自分の身を危険にさらすことになりかねないし、多くの方が国に家族を残してきているので、日本で その人自身は何とか安全だとしても、国に残っている家族に被害が及ぶかもしれない、ということがある。

・二つ目に、出身国政府から迫害を受けているということで、正規のパスポートが発行されない点。なので、不法入国のような悪いイメージがあるかもしれないが、むしろ難民であるからこそパスポートが発行されず、違法な状態で入国するしかないという事情がある。正規の旅券が発行されて入国して いる場合、難民とはいえないと不認定理由に書かれるようなこともあるくらい。

・外国人の支援をされている方などは、その方に困ったことがあると、出身国の大使館に相談したり、 連れて行って下さったりということがよくあるが、難民の方の場合、それをしてしまうと本当に危険になるというところはすごく注意しないといけない。

・難民という事情を聞いておらず連れて行ってしまったという事例が実際にあった。自分が難民だとい うことは非常にセンシティブな問題で、そもそもあまり多くの人に言えない事情があるということも踏まえて、もしかしたら難民かもしれない、ということを少し意識して支援していくことが支援団体側には求められるのではないかと思う。

・難民の人たちはどのように入国するのか。日本には難民ビザとか庇護希望のビザがないので、ビザな しで入国するか、あるいは何らかの取得しやすいビザを入手して入国し、その後に難民申請するというケースが多い。難民条約においても、不法に入国し、あるいは不法にその国にいることを理由として刑罰を課してはならない、ということが明記されている。

・実際に日本に難民として暮らす場合、難民申請の時点で、正規の在留資格を持っているかどうかでそ の後の法的地位が大きく変わる。また最近、難民申請時点で正規の滞在者であっても、その後在留資 格がなくなったり、就労の資格がなくなったりということがあり得る運用に変わってしまい、余計に 生活に困窮しやすい状況となった。

・難民と一口に言ってもいろんな方がいて、難民申請する前の庇護希望者の方や、難民申請してから結 果が出るまでの間の難民認定申請者、難民申請書の方、そして認定された条約難民、認定はされてい ないけど人道的配慮ということで在留を認められる方などいろいろな状況があるが、私たちの団体D ANに相談に来る方で一番多いのは難民認定申請者、難民申請者の方であるので、今日は難民申請者 の方がどういう状況かということについて主にお話させていただく。

・まず統計的なことでいうと、名古屋入管の資料、この地域にどれくらい難民申請者の方がいて、どれ くらいの方が認定されているかについて、2018 年までずっと増え続けていたのが 2019 年に制度が変 わり申請が受け付けられにくくなったということもあって、申請者が減っている。

・全国の難民申請者の数、認定者の数については、2017 年まで増え続けて、その後減っている。2020 年 などはコロナの影響があり新規入国者が減っているので、そういう影響もあると思う。

・全国の難民申請者の国籍、ここ 3 年間についてみてみると、アジアの国々が多いが、アフリカの国、 セネガルとかナイジェリア、ウガンダ、ガーナなどが見られるほか、シリアとかアフガニスタンとい った国々からも来ていることがわかる。

・日本に来た後、難民の申請をする場合にどういう手続きを受けるのかについて、まず行政手続として、 一次手続(難民認定申請)があり、そこで認定が受けられなければ二次手続(審査請求)に進む、と いう 2 段階に分かれていて、そこで認定されてなければ裁判という方法をとることができる。

・特徴としては待機期間が長いこと。少し古いデータではあるが、特に難民として認定される人ほどそ の申請手続きに長く時間がかかっているということが挙げられる。

・難民申請者の法的地位がその生活状況に大きな影響を与えるということで、難民申請者の法的地位がどうなっているか、そしてどういった社会福祉的な権利があるかというようなことも含めて紹介したい。2018 年 1 月より前は、難民申請時点で在留資格があるかないかで分かれていて、ある意味シンプ ルではあるが、申請時点で在留資格がなければその後何の権利もないという状況だった。

・これが 2018 年 1 月以降は、在留資格ない人については権利がない状態で何も保障されないというの は変わらないが、在留資格がある方についても ABCD の 4 つのカテゴリーに分けられ、それぞれ保障 の状況に差がでるようになり、カテゴリーによっては保障がない場合もあるのが現状。

・名古屋市難民支援室DANとは、東海地方に暮らす難民や難民申請者が法的に保護され、安定して自 立した生活を送れるよう支援することを目的として活動している団体で、2012 年の 7 月から活動をし ている。事業の 3 本柱は第 1 に難民申請者への支援。第 2 に難民についての理解促進。第 3 に難民申 請者や難民の方への支援をよりスムーズに行うために、支援者の方たちのネットワークを構築するこ と。

・毎年、約 100 名の新規相談があり、継続相談は 1000 件ほど寄せられている。2020 年のDANへの相 談は新規で 59 人と減ったが一方で継続相談は多く 1500 件以上あった。新規相談者の国籍は 22 ヶ国 にわたっており、上位 10 ヶ国はウガンダ、ミャンマー各 8 人、イラン、スリランカ各 5 人、トルコ、 パキスタン各 4 人、アフガニスタン、シリア、バングラディシュ、ペルー各 2 人。

・法的支援としては主に難民申請の手続きをして、自分がどういう迫害を受けており帰国するとどうい う危険があるかということを整理して、陳述書のような形でまとめる作業の手伝いをしたり、主張し ている内容を立証する証拠資料を集めそれを翻訳したり、ということの手伝いをしている。

・生活、定住支援では難民申請の手続き中、難民申請者が例えばその在留資格の関係で就労が認められ ない場合などは、同じ国出身の方にもなかなか頼りにくい背景がある。自分の国に残してきた家族に 危害が及ぶことを恐れ、家族と連絡を取らないという方もたくさんおり、そのような場合国の家族か らも支援してもらうことは難しくなる。より孤立しやすく、食料や医療や住居といった基本的な生活 面の支援というものをなかなか受けにくい。そういった部分について、今まで東海地域の様々な団体 や個人にお世話になりながら、生活、定住面の支援も行ってきた。

・今回コロナの影響を受けて、在留資格がない方は通常であれば日本では収容されるという運用がされ ているのだが、「密」対策として収容者が仮放免という形で放免されている。しかし放免者は働く資格 もなく、健康保険にも入れない状況である。

・一方で就労資格があったり在留資格のある方についても、コロナ禍で解雇されたり仕事を減らされる という状況でありとても困窮している。

・私たちのところへの生活相談は去年ぐらいから増えてきている。生活相談に来た時に、事務所にいつ も食料がないからとか、シェルターを持ってないからという理由で支援ができないと、その後その人 から連絡が来なくなってしまう。連絡のための携帯電話を持ってない人たちが多いので、ここは何も してくれないと思われてしまうと連絡が途絶えてしまうことになり、ここは本当に大きな課題だと感 じている。

・しかし今の時点では直接提供できる食料もなく、ずっとセカンドハーベスト名古屋さんにお世話にな って食料の面では支援を行ってきたが、フードバンクも今大変な状況で、さらに平時から米が足りて ないことは聞いていたので、一番必要なお米がないというところが課題として挙げられ、シェルター も自分たちで持っていないということも課題である。

・それを受けて、食糧支援の事例を紹介したい。2021 年 1 月に SOS ということで、元コープあいちの方にご相談をした。最初はコープあいちの方に相談してくださったのだが、コープあいちからは、支 援にはまとまった量の食料、しかも選ぶことはできず、冷蔵品も含めて余っているもの提供できるも のは全部貰ってもらうという条件がだされ、またそれを運搬できるトラックや冷凍品も管理しつつ、 それを保管して配布することができないと難しいということになった。

・そのようなことは、フードバンクか専門性を持ってそれだけのみを事業としてやっているようなとこ ろの活動でないと難しいのでは、ということになったが、その後、やはり何かできることを模索しま しょうと言っていただいて、オンラインで相談を重ねた。そのメンバーは地域と協同の研究センター とアジア・ボランティア・ネットワーク東海とコープあいちの方々である。

・そのオンライン相談では、食料や住居支援を通じて難民の困窮化・孤立化を防ぐことは緊急支援であ って、その後の、難民の申請者であれば難民として認定されて自立して安定した生活を送る、という ことが長期的かつ不変なゴールであるということを確認し合った。また、緊急支援の重要性は当然で あるが、それをいかに長期的な支援と繋げるか、難民の法的面での支援をしっかりと行っていくとい うことにどう繋げていくかが重要だということも確認した。

・緊急食糧支援第 1 弾を 4 月 14 日から 17 日までの間、地域と協働の研究センターで行っていただき、 たくさんの食料や寄付金を寄せていただいた。第 2 弾として 6 月 19 日には「難民食料支援学習会」 を開催し、それと同時に食料や寄付金も寄せていただいた。

・2 回の食料支援を行ったあとのオンライン会議での議論の論点をご紹介すると「本当に困っている人 に支援を届けるためには」「例えば具体的な事例だがパスタはなしでパスタソースだけ提供するのは ありなのか」「本当に困っている人とはそもそもどういう人なのか」「公平に支援するというのはどう いうことか」など。

・本当に困ってる人に届けるためには、100 人支援してやっと 1 人の本当に困ってる人に届くと聞いた ことがあったが、この食料支援等を行う上でも言えることだなと思っている。

・会議では、貧困の人に限定しようと思って厳格にやりすぎると、本当に困ってる人に届かなくなって しまうのではということや、個々に応じた対応が重要なので、例えば数百円出してパスタを買えるよ うな人にはパスタソースだけ渡してもいいとか、困っていると来た人にしっかりとヒアリングをする 中でどれくらい困ってるかを判断し、困っているということをすごく言ってくる方と本当に困ってる 状況でもなかなかそれを言わない方がいるので、そういうところも含めて見極めていく必要がある。 食糧支援をしてもらえることがもう少し東海地域の難民申請者の間で広がれば、徐々に困窮者にもリ ーチアウトしていけるんじゃないかという話をした。

・ 食糧支援をたくさんいただいた中で、どなたにも持っていっていただいていいものと、限定されるよ うなものは事務局側で見極めて、こんなものはこんな人に渡すという二段構えにした方が良い。

・食料支援を通して、空腹を満たすだけではなく難民の方々との信頼関係を築くことができないと、法 的支援に繋がる「どういう迫害を受けたか」などそういうすごくセンシティブな部分について話して もらえる関係もできないので、信頼関係を築きながら法的支援を検討していくということの重要性を 再認識したところである。

3. ブレイクアウトルームでのディスカッションを終えての質問・感想など

○鈴木氏(デンソー)
・今回オリンピックパラリンピックで難民という言葉を耳にする機会が増えた。難民認定された方々が実際日本で生活していく上での支援、例えば住居や子どもの学校、日本語教育のサポートのような具体的なことにはどのようなものがあるのかその辺りをお聞きしたい。
・あと、コストコ守山がいろいろと今食糧支援をされているということで、つなしょの中村さん、今お話できるようでしたら少しご紹介をお願いしたい。

〇中村氏(つなしょ)
・コストコ守山からセカンドハーベストさんに食材引き取りの打診があり、私が毎週水曜に引き取りに行っている。パンしかもらえないのだが約 50 キロのパンを毎週引き取りに行っている。他の団体も 取りに来ているが、月曜日と木曜日は今取りに行く団体がなくて空きが出てる状態。連携ができれば パンを渡せるのだが。賞味期限が当日で冷凍庫に入れてしまえば大丈夫だが、当日までのパンを必ず 昼 11 時に取りに行かなければならない。時間の縛りがあるが活用していただきたい。

→〇羽田野氏
・難民認定された方に対しては、外務省の外郭団体が日本語教育の支援と生活面のレクチャーのようなものを 1 年間のプログラムで提供しているが、関東のみで行われている。東海地方にいる難民の方は、支援者が申請手続きをして、住居を引き払って、1 年とか半年だけ関東に行く形になってし まい行かない方もいる。実際関東に行くのが難しい方は、そういった具体的な支援が受けられない。
・最近は民間団体の日本語学校が、難民認定された方や人道配慮の方に対して、生活支援の方はでき なくても授業料は無料で日本語教育を提供してくださっている。大学も国連のプログラムで大学に 通うプログラムはあるが、やはり公助より自助という感じで、難民認定して在留は認めるので自分 で自立して頑張ってくださいという状況になっている。

〇野川氏(名古屋市社会福祉協議会)
・ブレイクアウトルームで羽田野さんに 2 つの質問にお答えいただいたので共有したい。1 つ目は難民申請者と認定者をみたときに日本では認定者の割合が非常に低いが、他国の状況はどうなのかという 質問。羽田野さんの説明によると日本では認定者は申請者に対して 1%にも満たない状況だが、他国 では 30%程である。難民の方は日本の状況を知らずに良いイメージを持っていたが、実際来てみたら 支援が受けられないという状況。
・2 つ目の質問としては、困窮した難民の方はどのように生活されてるのかという質問。羽田野さんに よると、ホームレスになる方もいるし、同じ国の出身者を頼ってその人物から搾取されたり、望まな い妊娠をしてしまうようなケースもあるというお話を聞いた。

〇土井氏(多文化共生リソースセンター東海)
・名古屋市港区の入国管理局に 2018 年は 6000 人を超える方が難民申請をしているという事実を認識し、生活困窮に至る背景は様々だが結果困っていることについては、おそらく日本人の生活困窮者や シングルマザーとも共通性があるので、そういったことに関して人権保障として行政と NPO がしっか り連携して、双方のアプローチで支援していくことが大事であるという話がでた。
・食料と住居の提供については、難民に特化した支援が必要なわけではない。個々の団体が全て食料も 住居も確保するのは不可能なので、得意な団体との連携の中でやっていく仕組みを作っていくべきだ と思う。
・このDANの取り組みに限って言えば、食料とか住居支援をしようするときに、言語対応は他の分野の団体ではなかなか難しいと思うのだが、言語対応は今どうなっているのか伺いたい。
・また難民の方に対するコロナの影響、例えばコロナのワクチン接種のことなどをもう少し詳しく教えていただきたい。

→〇羽田野氏
・ワクチン接種の通達は出ていて、仮放免の方も含めてワクチン接種可能だが、実際接種が進んでいるかは地域によって全く違う状況である。名古屋市は在留資格ある方も日本人も含めて遅れていて、 在留資格ない方についてはまだその対応も発表していない。これが今私達が把握している現状で、 もし皆さん情報があれば教えていただきたい。
・言語対応については、私達が対応できる言語も限られているので、基本的な英語、フランス語等は スタッフで対応し、その他アラビア語やネパール語等は難民に理解のある日本人の方で通訳翻訳を してくれる方がいるので、そういった方たちの協力も得ながら対応している。
・食糧支援住居支援の面でも、依頼する団体側はケースワークをしっかり行うということが重要だと 意識してやってきている。

〇関口氏(フリージャーナリスト)
・DANの難民支援の最終的なゴールはどこなのか。法的支援にしてもどのようなところを最終的に変えていきたいのか、どのような動きに繋げていきたいのか。
・また難民の方の年齢層を知りたい。若い元気な方が多いのであれば、仕事としてではなく、地域の中でちょっとしたお手伝いをしてもらい、それに対してお礼として、食料や支援をするという自然な関係というのが成り立つ可能性があるのか教えていただきたい。
・あと個人で住居支援をしている方を知っているが、そういった方々と羽田野さんとはどれぐらい繋が っているのかわかれば教えていただきたい。

→〇羽田野氏
・ゴールはまずその難民の方たちが自立して安定した生活を送るということ。難民認定の後自立して 家族を呼び寄せ、生活していける、そこがゴールだと思っている。
・難民の年代は 20 代も多い。高齢外国人の問題が最近話題になるが、東海地域の難民の方はまだそ こまでではなく本当に 20 代 30 代 40 代、それぐらいが多い。
・仮放免の方の住居を支援したいと、個人の方から私たちにオファーがあるという状況はない。団体 とか宗教団体とか、住居を持っている団体に今のところはお願いしている。たまたま難民の方が直 接日本人の方と知り合いになって、そこで泊めていただいてるというようなことはあるが、DAN からお願いするのは、住居関係の支援をされている団体である。

〇長尾氏(Viva おかざき!!)
・コロナだから難民の方が大変困窮しているのではなく、在留資格がないということで非常に困難なのだということを感じた。私も岡崎で食糧支援を期間限定で行ったときに、仮放免の難民の方が来てくれたが、私達に何かされるのではないかと思われて信頼関係を築けなかった。地域にいる団体として、 どういったことからしていくといいのかをなかなか見出せなかったので、もしアドバイスというか、 何かあれば教えてほしい。

→〇羽田野氏
・信頼関係を築くことが一番大変なことだと私たちも思っている。相談をオンラインでできるだけするようになって余計にそれを感じている。オンライン上のメッセージとか電話で話すことにすごく 抵抗がある方は、やはり信頼関係を築くという上で 1 回は会って顔を合わせて話をするなど、個別の対応をしていかないといけないと思っている。まずは、相手にあなたの大変な状況わかっています、ということを伝えることかなと。私も、どうしたら本当に信用して話してもらえる関係を作れ るのか日々模索している。

〇浜田氏(レスキューストックヤード)
・先ほどのコストコの話は、羽田野さんにはメリットがありそうか?

→〇羽田野氏
・正直 1 日に何人が来るか読めないし沢山の人が来るわけではない。1 人 2 人 3 人と順番に話を聞いてというのが通常の業務なので、たくさんの量のパンをいただいてその日のうちに大勢に分けるというのは難しい。

〇土井氏(多文化共生リソースセンター東海)
・自分もパンをその日のうちにというのは現実的に無理があるなと思う。災害関係だと 5 年間保存できる缶に入ったパンなどで、開けても結構ふわふわのものがある。ああいったものがどこかで手に入っ たりとかしないか。普通においしいので。そういったものが必要なのでは?

→〇羽田野氏
・そういうものがありがたい。保存が効いて訪問するときに持っていけるとか、困窮者が来たときに事務所に置いておいたものが渡せるとか。

〇土井氏(多文化共生リソースセンター東海)
・レンジでチンする災害用のご飯をいただくが、それはレンジがないとか、いろいろ問題がある。あの缶のパンはすごく便利だなと思っている。どこかにあればぜひ情報提供を。

→〇浜田氏(レスキューストックヤード)
・セカンドハーベストにないか。レスキューストックヤードにも多少はあるかもしれないが、たくさんは持っていないので。

〇中村氏(つなしょ)
・今日たまたまフードバンク愛知に受け取りに行ったが、クラッカーが大量に余っていて困っていた。10 年保存のできる愛知県備蓄のクラッカーと粉のクリームシチューが 11 月までの期限で大量にあってどうしようとおっしゃっていた。
・でも正直余るものはやはりみんな欲しくない。災害用のものは災害用。
・自分の国の味とは違うので、今ずっとパントリー続けているが、外国人留学生に一番喜ばれるのはお米。お米が一番嬉しいという声が多い。全く料理できないわけではなくて、ある程度作れる環境にある人たちが、生活に困ってるのでお米が一番嬉しいと。アジア圏の人がほとんどだがそういう声が多 い。

〇山口氏(NHK)
・今日の話を聞いて、難民は福祉の部分で助けることが難しい領域だと思った。NPO のこういった活動をしている方たちの中にも難民という言葉に馴染みがないという声があったので、もっと難民のリア ルな声や情報を教えていただきそれを発信して、難民とは程遠い世界にいる一般の方々と難民の方々 を近づけるお手伝いができたらと思った。

→〇羽田野氏
・事務局の種村さんからお話いただいて初めてこのような会議が行われてることを知り、今までの記録も見せていただいた。こういう議論が共通するなとか、そういうことを思いながら拝見した。今日このように皆さんと機会をいただいたので、これからもぜひよろしくお願いしたい。本日は本当にありがとうございました。

4. 次回の予定

■日時:2021年9月14日(火)19時00分~21時00分
■テーマ:『NPO 納涼会 2021~セクター横断異業種交流会~& NPO おたがいさま会議』
■主催:東大手の会
■共催:NPO おたがいさま会議

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