第54回:昭和区”食支援”の現場から
●日時:2021年8月17日(火)16時00分~17時00分
●場所:WEB 会議(Zoom)
●参加団体:30 団体(運営 9 団体含む)
●参加人数:39 名(運営スタッフ 15 名含む)
1. 情報提供
○朝倉氏(金城学院大学)
・愛知夜間中学を語る会の、男性ボランティアや理系の勉強を教えることができる人を探しているという話を聞き、とても大切な活動だと感じ、夫がたまたま理系の人間で外国籍の方に関心を持っている ということで、参加させていただいた。彼らの夢が叶うように、微力ではあるが今後も参加させていただきたい。
〇笹山氏(愛知夜間中学を語る会)
・朝倉先生からご紹介があったが、本当によい繋がりが得られて助かっている。参加者みんなが満足できるように、支援者も学習者も満足できるような場を目指して活動していきたい。
・先々回この場で自転車の寄付の希望を出したところ、日本国際財団から 2 台の寄付をいただいた。1台は中学 2 年生のネパール人の女の子、もう 1 台はバングラデシュからのお母さんにお渡しした。この場をお借りして心より御礼申し上げる。
〇鈴木氏(豊田青年会議所)
・8 月 27 日に、私たち豊田青年会議所の 8 月度例会として、おたがいさま会議のような、みんなで助け合えるネットワークの必要性について、有識者や行政の方、豊田市の副市長などにお越しいただき Web会議を行う。ぜひ参加していただきたい。
〇栗田氏(レスキューストックヤード)
・令和 3 年 8 月豪雨(仮称)によって全国各地で被害が広がっている。一昨日あたりから佐賀県や福岡県で情報共有会議が開催されていて、そこに参加している。この後、内閣府や全社協、私が代表を務める JVOAD などが参加する、全国の情報共有会議がある。
・概要だけ申し上げると、佐賀県は武雄市と大町町で大変被害がひどい。福岡県では久留米市の被害がひどい。ボランティアが登場するまでもないというような地域も含めて、全国で被害が広がっている。
・お盆前に被災した青森県のむつ市では、災害ボランティアセンターが立ち上がって、地元対応で頑張 っている。先ほど紹介した 3 つの市町村は、まだボランティアセンターを立ち上げるまでに至ってお らず、その準備に追われているが、明日以降本格的に稼動されていくだろう。コロナ禍でボランティアが県内募集で対応されると聞いているが、集まるかどうか心配という声が早くも聞かれている。
・我々も情報共有会議に参加して情報を得ることはもちろん、何かできることがないか模索している。例えばその武雄市とか大町町は、2019 年にも被災していて、そのときよりも少し深く、そして広く被 害が出ている。そのような中、前回被災されてギリギリで再建された方が、また被災されて本当に再建できるんだろうかと。半壊の場合は修繕費として 59 万 5000 円の支援しか出ない。特に武雄市の一部の地域では、高齢化率が約 40%というところもあり、再建にはかなりの時間がかかるのではないか と考えると、ここで焦って現地へ飛んでいくよりは、しばらくそうした状況を踏まえつつできること を考えていきたい。とりあえず今月の下旬ぐらいから、浦野を筆頭とするメンバーを現地入りさせようと考えている。
・コロナ禍であるが、佐賀県において SPF という中間支援組織があって、外部支援者に関して守るべき事項をガイドラインという形で示して、それに従って支援団体に入ってもらうという流れができつつ あるので、そういうこともコロナ禍の進化の一つであるが、そうした調整を現地としながら、レスキ ューストックヤードとしても、あるいは種村が事務局をやっている震災がつなぐ全国ネットワークと しても、できることを考えていこうと思っている。このおたがいさま会議においても支援していただ きたいことがあれば、随時お知らせさせていただくので、引き続き協力をお願いしたい。
2.話題提供
〇野川氏(名古屋市社会福祉協議会)
・今回、昭和区の皆さまにスピーカーをお願いした経緯として、昭和区ではコロナ禍以前から子ども食堂を中心として、食糧支援や子ども支援に関わる団体や機関とのネットワーク作りに取り組んできて おり、NPO と企業と社協が連携して子ども食堂や生活困窮者の方への食料支援の取り組みを実施して いることから、話題提供のお願いをした。本日はその取り組みをしている NPO から、つなぐ子ども未 来の小塚さん、昭和区社会福祉協議会から大津次長・渡邉さんにお話をしていただく。
■テーマ『昭和区“食支援”の現場から』
(小塚勝氏:一般社団法人つなぐ子ども未来、大津裕昭・渡邉 さくら氏:昭和区社会福祉協議会)
○小塚氏(つなぐ子ども未来)
・大きく 3 段階に分けて、まずコロナ禍の子ども食堂の現状と、どんなふうに変わってきているかその活動内容についてお話しし、続いてその子ども食堂を支えていただいてる人たち、個人や団体、企業 の皆さまたちの周りが変化してきている、その派生する連携の広がりについてお話をさせていただく。 最後に、先ほどお話があった、昭和区社会福祉協議会が新しい事業としてフードドライブの活動をス タートさせる計画があるとのことで、そこは昭和区社協の大津次長にバトンタッチしたい。
・子ども食堂の定義について説明の必要はないとは思うが、愛知県社協が出している 3 つの定義では、 子ども食堂は子どもが 1 人でも安心して行けるところ、子ども食堂は市民が自発的にスタートさせた もの、そして、食事を提供するだけではなくいろいろ広範囲に活動の種類が広がって、地域のコミュ ニティの場として発展性が期待される、ということになっている。
・愛知県のホームページでは 91 か所登録されていて、そのうち名古屋市内は 66 か所。セーフティネッ トの位置づけとしての子ども食堂としては、小学校区に 1 か所ぐらいは欲しいと言われている。名古 屋市内には 261 学区あるので約 25%の充足率、これは全国的に見てもおよそ同程度の充足率である。
・全国こども食堂支援ネットワークの「むすびえ」という NPO の調査によると、このコロナ禍でも 2020 年から 21 年にかけて開催の場所は増加している。もちろん活動を休止してるところもあるようだが、 いろいろな工夫によってその活動内容が変わってきているということが報告をされている。
・複数回答だが、子ども食堂で会食するというのがだいたい 15%から 25%ぐらい、それから約半分ぐら いがお弁当や食材をお渡しするパントリーの活動、そして 25%ぐらいがお弁当や食材をお届けしてい る、そのように活動が変わってきているようだ。私たち「つなぐ子ども未来」でもだいたい同じよう な、この 3 種類の活動を続けている。
・これまでの「つなぐ子ども未来」の経過について説明すると、食支援の豊富な経験を持った団体と比 べて私たちは非常に歴史の浅い新参者で、2017 年にお母さんたちのボランティアが集まって子ども食
堂を始め、2018 年には範囲を広げようと昭和区 11 学区全域で巡回型の子ども食堂を展開、そして 2019 年に非営利の一般社団法人として法人化し、昨年の 2 月にやっと常設型の、地域における子どもの居 場所としての活動拠点を開設した、という名目 4 年実質 1 年半ぐらいのまだまだ未熟な団体である。
・これまでの子ども食堂では、大人と一緒に子どもにつくってもらう、いわゆる食育のようなこと、そ れから知らない大人ともお話ができる環境をつくること、そして子どもたちが地元を好きになっても らうよう「この街大好き」という、その町の達人みたいな人に参加してもらって子どもに話をしても らうプログラムを実施してきた。
・また、障がい者団体、障がい者施設でも子ども食堂を開設しているので、障がい者も健常者も一緒に 活動ができる、多様性を知ってもらう。障がいを持っている青年が調理のお手伝いをしようとすると、 その時少女が何のためらいもなくそのお手伝いに行く、という風景が見られる、非常に多様性が認め られた活動になっていると思っている。
・子ども食堂では、子どもたちが素手で小さなイワシをさばいたり、ハンバーグをこねたりと、一生懸 命料理を作ってくれる。周りで見ているお母さんが、うちの子こんなことできるんだ、とびっくりす るような声が出る場面がたくさんあった。
・私自身は、個人的に防災ボランティアを長くやっていて、「つなぐ子ども食堂今日は 1 日防災デー」と いうイベントを開催したことがきっかけで、お手伝いに加わることになった。
・そして、昨年 2 月に「つなぐハウス」という常設の場所を、昭和区の松栄小学校から徒歩 5 分ぐらい のところにオープン。オープンしたら即コロナで問題発生。もちろん大勢での会食はできなかったが、 こういうときこそ子どもの居場所が必要だという趣旨で、このハウスは町の居場所としてずっと開場 してきた。緊急事態宣言下の約 4 週間だけは閉めたが、密となる食堂は、時間をずらしたり曜日をず らしたりして分散化して開催し、食材のおすそ分け、お弁当のお届けなどの工夫により続けてきた。
・1 年間で約 4500 人以上の利用者が来てくれて、これが多いのか少ないのか評価がわかれるとは思う が、このつなぐハウスがいつでも開いてる場所として認識されると、子ども食堂の仲間が顔を出して くれるようになり、またロータリークラブのメンバーさんと一緒に、関連企業の方なども顔を出して くれて、このつなぐハウスを拠点に、中間支援の活動が増えてきたという感じがしている。
・この活動を通じて私自身、子どもの貧困というのは言葉では聞いていたが、実際に貧困の現実という ものが、今まで自分に見えてなかっただけなんだということに気がついた。
・食品のおすそ分けやお弁当を配るとか、そういう活動を通じて約 2300 食、お弁当を配食しているが、 この配食をすることによって、家の中が見えるとか、親と繋がれるとか、子どもの安否確認ができる、 こういうことによって、次の支援、行政とつながったり社協とつながったりと、そういう新しい場面 に遭遇するようになった。
・その一つの具体例として、80 歳代の祖母と孫娘である中学 1 年の女の子の世帯の事例がある。複数の 課題を抱えていた中で、この女の子が不登校になったという問題が出てきた。祖母の側は、包括連携 からの支援、女の子はちょうど高校進学の準備に入るときで、子ども応援委員会の支援、このように さまざまな機関を含めて、合同の支援会議を去年の 2 月に開くことになった。この家族をどうやって 支援していくかについて検討をし、3 月に入って訪問介護を適用したり、家庭訪問型のモデル事業に 該当させたり、結果的にこの女の子は高校生として希望の学校に進学をして、元気で頑張っている。 この 6 月には祖母のほうがコロナワクチンの接種の仕方がわからないということで、ワクチン接種も 予約から接種まで寄り添い見守ってきた。現在もお弁当の配達を通じて、自宅の見守りを行っている。
・それから名東ロータリークラブさんのご尽力で、南区のカネハツ食品さんから大幅な協力が得られるになった。何回か社長さんとお話をする機会があったのだが、企業側も協力をしたいんだけれども、 どういうふうにアプローチしていいかわからない、きっかけがつかめないといった意識の空回りみた いなとこがあったと伺っている。
・大手企業の子ども支援の先駆者には財団などを作って支援を進めているケースもあるが、こういった 食品企業さんはなかなか接点がつかみきれなかったようで、それを名東ロータリークラブさんにつな いでいただいて、昨年の 12 月からスタートしたが、7 ヶ月間で 2000 万円を超える食材を提供いただ いて、これを 100 か所近くの子ども食堂さんに提供してきた。
・実は食品業界には 3 分の 1 ルールというものがある。賞味期限までの期間を 3 つに分けて、その 3 分 の 1 を過ぎたら小売店の店頭に出せない、というルール。そこで食品ロスが大幅に発生するというこ とで、廃棄物が増えている中、食品廃棄物の約 50%以上が事業系から出ていると聞くと、わずか 2000 万ではあるが、食品ロスの解消に寄与できていると感じているし、子どもの食育とか、健康改善とい うところにも多少は寄与できてるのかなと。
・もちろん、食品メーカーさんのブランドイメージの問題とか、賞味期限や衛生管理、事故のときの免 責など、まだまだ課題も多いと聞いている。また、多くの子ども食堂さんとのつながりを持たないと いけないので、LINE を使ったりスプレッドシートを使ったり、新しく IT の技術を使って皆さんとや りとりしていて、手間というか、労力も結構かかっている。
・物流については、昭和区社協の場所もお借りして、また保管場所も業務用冷蔵庫の置き場なども考え ていただいて、協力をいただいている。梱包された食品が届いてそれを仕分けする、それを渡す先ご とに分離をするということを行っている。
・また新しい支援先として、つなぐハウスのすぐ隣町に、名古屋市立大学の留学生宿舎がある。ここへ 食材を車で持ち込んだときに、今学生も大変困っているという話から、四つの子ども食堂が共同して、 瑞穂区にある名古屋市立大学のキャンパスへ食材を持ち込んで、約 140 名の学生さんに食材をお渡し することができた。これからもこうした学生への支援も行っていきたいと思っている。
・今まで話したことをまとめてみると、新しい支援プラットフォームとして愛知子ども応援プロジェク トという活動母体を持って、企業や団体から物資、物流的な支援をしていただく。区役所や、名古屋 市社協、昭和区社協さんがこのプロジェクトを下支えしていただく。そして、このプロジェクトでは 中間支援的に仲間を応援する。いろんなタイプの仲間、学習支援とか 1 人親支援とかいろいろありま すので、そういうところの支援をする。それから、直接事業として実施する、高齢者向け弁当・子育 て応援弁当の配布であるとか、居場所の運営、子ども食堂や子育て世帯へのフードパントリー、こう した活動を展開していく。
・以前のこのおたがいさま会議、角崎先生の話題提供の中で、社協の緊急貸付を行う際にどういった連 携を行ってきたのかという調査報告で、一番多かったのがフードドライブとか食品支援で、各地の社 協が取り組んだこととして、半数以上の社協が食品支援と連携したと回答していた。こうした中で、 昭和区社協が新しい事業を展開されるということをお聞きしている。ここからは、昭和区社協の大津 次長にお話しをバトンにタッチしたい。
○大津氏(昭和区社会福祉協議会)
・小塚さんがここまで話されてきたような活動が、着々と昭和区の中で展開されてきた。「つなぐ子ども未来」さんが活動を始められた時期というのは、昭和区社協が事務局となって策定している地域福祉活動計画の、第 4 期目を策定するタイミングが平成 30 年度にあって、ちょうどその時と重なっている。
・その計画は、いろんな地域の方々と話し合いを重ねていただいて策定していくが、その中で子どもの支援、どうしても社協というと、これまでは高齢者の方などの支援が中心だったところがあるが、そうではなくて子どもの支援だったり障がいの方だったり、そういう支援も含めてやっていこうという ことで計画を策定してきた。
・子どもを取り巻く課題を整理してみると、子ども自身が抱えている課題と、家庭の中で抱えている課題がある。子ども自身の課題というのは、例えば身近なところで安心して遊べる場所がないとか、居 場所がない、最近で言えばコロナ禍の様々な負担やストレスを抱えていたり、あとは悩みや不安を話 せる人たちがいないのではないか。
・家庭に目を向けると、先ほど小塚さんのお話にもあったが、複雑な家族構成、家族環境だったり、親 の就労の状況とか経済面の問題だったり、精神的な面や家族等の介護だったり、というようなところ で、いろんな要因が複合化してくると、近いところにいる地域の団体とか、単純に子どものことを何 か支援していこうというボランティアの方とかが、なかなか関わりづらくなっているのではないか。
・こうした状況で効果的な支援をしていくためには、そういう人たちの関わりはもちろん、個別に支援 する関係者の方々がそれぞれの役割、できることや支援の方針などを共有していく場が必要ではない かと考えて取り組んできた。先ほどの小塚さんのお話の事例でも、社協として、いろんな方と関わり ながら一緒に支援をしてきたというところがある。
・地域福祉活動計画の中で、子ども支援の関係は大きく分けると 2 つ。一つは子どもの居場所作りと子 ども支援への理解を広げていくこと。もう一つが学齢期の子どもに関わる団体機関のネットワーク。
・実は平成 30 年ぐらいの昭和区で、学校の先生とか地域の方にお話を聞くと、うちの地域に困ってい る子どもはいないのではないか、経済的に豊かな方ばかりだから大丈夫、そういう意見が多かった。 先生とお話しても、うちの学校にそういう子どもはいないから、子ども食堂のニーズはあまりないん じゃないか、という声も聞かれるようなところがあった。
・一方で、他の支援機関の方にお話を聞くと、経済的には困っていないけれども居場所がなかったり、 話し相手がいなかったりとか、あるいは夏休みなどの長期の休みの間、家でどうやって過ごしている のか、1 人でポツンと過ごしているんじゃないか。そんな状況が聞こえてきたりしていた。
・子ども食堂はもちろん、居場所というものを広く捉えた上で、そういう子どもを支えていく必要性が ある、というムードを区の中で作っていかないといけない。それがこの理解促進というところ。
・名古屋市内では、子育て支援のネットワークが区役所の民生子ども課さん中心に作られていて、これ が機能しているケースが多いと思うが、その対象となる「子ども」は、どちらかというと未就園児や 年齢の小さい子ども、子育て中の親子を対象とする活動が多い。
・ところが学齢期へ目を転じると、そういう支援機関・団体のネットワークみたいなものはできていな いことが多い。1 つの家庭を支援しようと集まろうと思っても、バラバラに支援をしてしまっている 状況がある中で、まずはお互いに顔の見える関係を作っていこうということで、このネットワーク作 りを地域福祉活動計画の中で進めてきたというところがある。
・今昭和区において、子ども本人に対しては、例えば学校の先生だったり、名古屋市の子ども応援委員 会のスクールソーシャルワーカー・スクールカウンセラーだったり、そういった方々が支援をしてい ますし、学校の先生たちはその家族も含めた家庭にも声をかけたり、情報収集したりして支援をして いく。
・一方で「つなぐ子ども未来」さんを中心に、子どもに対しては、食の支援だったり、居場所づくりであったりで支援をし、支えていく。そして家族に対しては、家族がいろいろな問題、経済的な問題だ ったり、介護の問題だったり、精神的な疾患があったり、いういろんなパターンの問題を抱えていて、 それぞれ専門の支援機関が関わっていく。
・これを区社協が間に入って、顔の見える関係作りや、情報共有できる機会をつくっていくことで、そ れぞれがバラバラに子どもや家族を支えていくのではなくて、情報共有しながら、お互い横の様子を 見ながら支援をしていく、そんな動きが昭和区の中でできてきている。
・大事なのは、地域住民等が見守りなどの活動をしているところに、いろいろな支援機関をつないでい くっていうのが区社協の大きな役割と思っていて、例えば支援対象に学校側もうまくアプローチがで きなかったり、支援機関もうまくアプローチができなかったり、というときに社協が間に入っていく。 そのような役割をして子どもやその家庭を支えてきた。
・まとめると、それぞれがそれぞれの役割を果たし、「つなぐ子ども未来」さんであったり、区社協だっ たり、先ほど小塚さんからお話があった「愛知子ども応援プロジェクト」、ここが企業からの食料の提 供や子ども食堂への中間支援を行っていく。そして学区社会福祉協議会、つまり地域住民の組織が、 地域での身近な見守りや子どもの居場所作りに、今後取り組んでいただけるといいのではと考えてい る。地域には多様な人材がいる。近所の見守りを兼ねながら居場所作りをする、そういう活動ができ ていくといい。
・そういった中で、先ほど小塚さんからご紹介いただいた「こころん food ネット」という事業を、昭和 区社協として始めていくことになった。この事業は、実は急にやろうと思い立って始めたというより は、長い期間温めてきて、今ようやくここで花開いたという事業である。
・なぜこの企画が改めて持ち上がったかというと、特例貸付が始まった時期に結構フードドライブをや っていこうという社協の動きが全国各地、あるいは県内でもいくつかあった。昭和区ではフードドラ イブを前面に出してやっていくというよりは、「つなぐ子ども未来」さんから食料を分けていただい て、それを緊急的に支援が必要な人にお渡ししていく、そんな活動を貸付と併せてやってきていた。
・こうした活動をしていくうちに、地域の方々の中から何か自分たちにできることがないか、という声 が実際に上がってきたことがあって、この「こころん food ネット」事業を始めていこうとなった。社 協だけが旗振りで前面に出ていくわけではなく、「つなぐ子ども未来」さんが作ってきた土壌や関係 性、社協として活動計画を一緒に作ってきた関係性、そういったものがある中で、少し成熟しつつあ るところでこういう事業を形にしていこうということで始めたのが、この事業の経緯の特徴である。
・目的としては、食料の提供を通じて相談とか支援に繋げていくっていうところはもちろん、これまで のように、食料支援を介してこれまでいろんな活動や支援を行っていくこと。特にボランティア絡み の活動については、もちろんその方々だけで活動していくというのも大事なところではあるが、地域 の方々ともっともっと食を介して繋がっていく、ネットワークが広がっていくといいのかなと考えて いる。
・この事業には柱が 4 つある。1 つは「おたすけ・つながり活動」ということで、困ってる方だったり 支援が必要な方に食料の提供を行う。2 つ目は「おすそわけ活動」ということで、いわゆるフードド ライブ。常温保存が可能なもので賞味期限がある程度あるものをご寄付いただき、それをフードドラ イブということで、必要な方や必要な団体にお渡ししていく。
・3 つ目、4 つ目は内輪側の話になってくるが、昭和区内において、食料を介した循環支援が進むこと、 そしてその活動を通じて支援団体のネットワークができ、協働につながっていくといいと考えている。
・最後に今後の展望と課題ということで、5 点ほど。1 つ目は、食というのは基本的ニーズであり、食を
生かした支援を今後地域の中で広げていく。支援のきっかけだったり、関係を構築していくためのツ ールであったり、場合によっては継続的に食の支援が必要というようなケースもあったりするので、 そんなときいは社協以外の機関や支援者とも関係性をつくっていく、そうして活動が広がっていくと いいなと考えている。
・2 つ目は、身近な地域で子どもの居場所を広げるということ。食の提供の部分でも、子どもとの関係 性を作っていくという意味で、居場所はとても大事なのかなと思っている。
・それから、子どもに限らず困難を抱えた人を食で支える仕組みということで、ここまでずっと子ども 支援、あとは特例貸付のお話をしてきたんですけれども、それ以外のところでも、支援が広がってい くといいのかなと思っているし、そのためにはそういった食料を提供する拠点だったりとか、逆にフ ードドライブで受け付けてもらえる場所ということで、区内の社会福祉施設、社会福祉法人などとも 今後連携していけるといいのかなと思っている。
・これらを進めていく上で大きな課題になっているのが、昭和区社協に届く食品などの配送に関わる人 だったりコストだったりと、どのようにして確保していくのかっていうこと。特に「つなぐこども未 来」さんの関係で配送される食品については、要冷蔵の食品が入っていたりするので、それをトラッ クから降ろして冷蔵庫に格納するというような作業をしていくが、人員配置が厳しい状況にあるので そういったスタッフを確保していくとか、あとはその配送も含めたコスト、そういう経費を今後何ら 用立てる仕組みが必要かなと思っている。
3.ブレイクアウトルームでのディスカッションを終えての質問・感想など
○鈴木氏(デンソー)
・子ども食堂の支援や子どもの支援は自助じゃなくて公助が必要ではないか、という話題に対して、社協の 2 人の方からもそういう側面も大きいというお話をいただいた。子ども支援はなかなか関係性の 構築が難しい部分があるとの話を聞き、そういった中で子ども食堂や子どもの居場所作りというのは、 大事であるということを改めて教えていただきました。
・質問として、配送システムはどのようにして作られているのか。また、愛知子ども応援プロジェクト のカネハツ工業様の取り組みの紹介があったが、この愛知子ども応援プロジェクトの中で会員企業は どう連携を取られてるのかというところを教えていただきたい。
→○小塚氏(つなぐ子ども未来)
・配送システムは、現在のカネハツ食品さんが非常に乗り気になっていただいてるんで、いろんなところから寄付金を集めていただき、冷凍輸送車をチャーターし配送してくれている。
・カネハツ食品以外の企業については、他の食品企業 5 社ぐらいの食品が一緒に配送されてくる。
○浦野氏(レスキューストックヤード)
・グループででた感想として、昭和区のこの取り組みの素晴らしいということ。こういう取り組みが他の区に横展開していくと良い。食の支援を介して、家庭のニーズキャッチの機会としてすごく上手に やられているっていう印象があったが、お弁当を届けるスタッフの育成というか、どういう視点で家庭内を見ていくのかとか、お母さんと話していくのかというところ、何か勉強会みたいなものやスタ ッフの方への働きかけみたいなことを行っているのか教えてほしい。
→○小塚氏(つなぐ子ども未来)
・現状は、私と社協職員と気心の知れた方だけで行っている。訪問して「届けにきました」と言ってドア開けて、どんな感じかと自分で観察して、その自分の観察だけで、本部報告をしているので、今後もう少し活動広げたいので、スタッフを集めてレベルを上げていきたい。
→○渡邉氏(昭和区社会福祉協議会)
・少し補足をすると、いま小塚さんが答えたのが現状ではあるが、最初にその地域のご家庭の課題を キャッチしたときに、その課題を、地域福祉を推進する住民の方々にも伝えていって、協力いただ けるところは一緒に考えたいというところがあり、一度社協が間に入って、いまこんな状況である というお話を役員の方に聞いていただく機会を持っている。
・その後、何か変化があるごとに報告するような形で、まだまだボランティアの方々の育成までには 至ってないが、地域の方々も何か協力ができればというところで、一緒に支えていこうという芽が 出てきている。
・社協から紹介をして支援していただいている方々については、私も時々様子を見させてもらうため にお弁当届けるところを手伝わせてもらっていて、少しずつその状況が地域の方々にも伝わるよう に、社協が間に入って活動しているところ。
→○大津氏(昭和区社会福祉協議会)
・お弁当の配達に関してはまだ地域の方々はそれほど多くないが、お弁当の調理については定期的に近所の方が、学区役員から声をかけてもらってお手伝いに来ているようなこともあるので、そ んな形で少しずつ増やしていけるといいと思っている。
○野川氏(名古屋市社会福祉協議会)
・感想として、非常に粘り強く「つなぐ子ども未来」さんと昭和区社協が取り組んでいる。また、ロータリークラブさんとの出会いができたのが大きいのでは。「つなぐ子ども未来」さんが社協と関わる ことで、昭和区に住んでいる、子どもたちを含めた住民の暮らしをしっかりと見て、丁寧に関わろう としているのが本当に素晴らしい、いうような意見があった。また、今後取り組みが大きくなればな るほど課題も大きくなってくると思うが、様々な機関と単体での連携でなく、幅広く連携しているの が本当に素晴らしいという意見もあった。
・質問として、今日聞かれた皆さんたちにも、何かできる支援がないか、お手伝いできるようなことが もしあれば教えていただきたい。例えば、少しこんな部分を手助けしてくれるとありがたい、とか。 もう一つ、先ほどの愛知子ども応援プロジェクトの説明として 5 社ぐらいの企業が一緒になって支援 しているという部分について、もう一度教えてほしい。
→○小塚氏(つなぐ子ども未来)
・「つなぐ子ども未来」としましては、少ない人数で取り組んでいるので、それこそつなぐハウスの留守番役も必要だし、それから物流の面、月に 2 回と届く食品の受け取り、仕分け、渡すという仕事のお手伝いもお願いできるとありがたいと感じている。
・プロジェクトの方は、これまでは実はロータリーさんの仕組みの中でやっていたので、今回新しく愛知子ども応援プロジェクトという独立した形にしたこともあり、まだ完成形ではないが、支援を して下さる企業さんのリストアップ、現在 5、6 社なんですけども、それに加えて支えていただけ るメンバーを含めて、体制を整備する必要があると考えているところ。
→○大津氏(昭和区社会福祉協議会)
・人手のところは大きな課題になっている。特にこのコロナ禍でお弁当を届ける活動を「つなぐ子ども未来」さんもされているが、車の運転ができて、なおかつ子どものことにも一定の理解を持って いただけるような方、そんな方をと思うとなかなか難しい。もしお手伝いいただけるような方がい れば、一緒に学び合いながらやっていけるといいかなと。
・あとは、食品そのものの寄付もいただけるならありがたい。フードドライブのような運用をしてい るので、区社協でお預かりして、貸付等の相談で来られた方ですとか、ご高齢の方で少し経済的に 難しくなっている方、あるいは子どもの居場所作りや子ども食堂をやられている団体の方にお渡し をしていくとか、そういうことができるので、食品そのものの寄付でも大丈夫。
・人いう点では、食品が区社協にカネハツ食品さんのトラックでどんと届くのだが、届いたときに短 時間で冷蔵庫に移すという作業を、区社協職員も一緒に行っていて、ここに人手があると大変助か るかなと。隔週木曜日の午前 10 時ぐらいから 1 時間ぐらい。この時期はもう暑くて汗だくになる ので、体力のある方お願いしたい。
〇笹山氏(愛知夜間中学を語る会)
・北区でも社協さんが入って多機能連携という動きを模索している状況。自主夜間中学の一歩教室だとか地域の学習支援教室が、地域の子ども食堂と連携しながら、子どもの見守りや子どもから見えてくる保護者の状況について、いち早く察知して、みんなで情報共有しようという動きが出てきている。
・人の育成に関して、北区の子ども食堂は結構歴史が長く、そこで支援を受けた子どもたちが高校生に なって、その高校生になった子たちが時間のある時に手伝いに行くという流れができていて、すごく いいなと思っている。先ほど大学生にも支援されているというお話があったので、よかったらいろん な方にお声掛けしてみたら、どなたか手伝いに来てくださる方もいるのではないか。学生たちにとってもそういう経験をすることがすごく大事だと思うのでお声がけされてはいかがか。
■まとめ
○小塚氏(つなぐ子ども未来)
・現実まだスタートして、正味 1 年半、2 年足らずのことで、まだまだ未完成だけれども、これからも頑張っていきたい。いろいろアドバイスいただければありがたい。ありがとうございました。
○大津氏(昭和区社会福祉協議会)
・まだまだ始まったばかりだが、改めてこの事業をどういう目的でこれからやっていこうかとか、事前の準備の中で、小塚さんといろいろ思いを語り合う機会もありとても良い経験になった。この場から も大学生さんとか、子ども食堂で育った子がお手伝いしてくれるとか、本当に新しく幅が広がるご意見もいただけたので、参考にして頑張っていきたい。ありがとうございました。
○渡邉氏(昭和区社会福祉協議会)
・社協としてつなぐハウスさんの活動支援もあるし、社協としての独自の事業と、加えて活動計画の中でいろいろな団体の方々と繋がることによって、区役所ですとか、あと学校の子ども応援委員会さん ともつながりながら、各家庭を支えていく。そういう経験をさせていただきながら今に至っているの で、社協の役割として民間と行政と一緒になっていろいろな支援の形を作っていくっていうことが大事であるということを実感させていただいた。今日はありがとうございました。
4. 次回の予定
※開催済み
■日時:2021年8月24日(火)16時00分~17時00分
■テーマ:『地域共生社会の実現に向けた包括的な支援体制の構築について
~名古屋市で重層的支援体制整備事業がはじまります!~』
■ゲスト:染野氏(名古屋市社協) 馬場氏(南区社協)
ディスカッション
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