第4回:多文化共生リソースセンター東海、NPOまなびや@KYUBAN

会議レポート

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□ 日時:2020年6月9日(火)16時00分~17時00分
□ 場所:WEB会議(ZOOM)
□ 参加団体:31 団体(運営 9 団体含む)
□ 参加人数:40 名(運営スタッフ 15 名含む)

1.チェックイン
NPOおたがいさま会議の方向性について

■認定 NPO 法人レスキュー ストックヤード・栗田
NPO おたがいさま会議は、コロナ禍における NPO の困りごとを情報共有し、互いの過不足を補い合えるような場づくりとして立ち上げました。我々が困るということは、支援している当事者へのしわ寄せがいくことを意味しているため、重要な取り組みと認識しています。本会議と同時に、行政・社協とともにコア会議を週に 1 回(毎週金曜日)開催しています。これまでの3回を経て、今後の方向性を話し合いました。当面の目標として、現場の声をさらに収集し、その見える化、声に対するマッチングと課題解決にむけたアドボカシーをめざすことにします。可能な団体には、コーディネータへの参画や人手、資金面でもご協力いただきたいと考えています。

2.課題解決セッション
コロナ禍における外国人支援の現状

■特定NPO法人多文化共生リソースセンター東海・土井氏
当法人は、2008 年から多文化共生分野の中間支援組織として活動を開始しました。現在のコロ ナ禍における取り組みを4つご紹介します。1つ目は、全国的な取り組みとして、自身が代表を兼務している「NPO 法人多文化共生マネージャー全国協議会」のホームページでの外国人向けの情報発信です。新型コロナウィルス関連情報をまとめて、多言語に翻訳した資料を掲載しています。 皆さんの活動先で、情報不足で困っている外国人に出会ったら、ぜひ紹介してください。2つ目は、関係者間での情報交換の強化です。SNSを活用し、関係者に限定した情報交換の場を設けています。3つ目は公的支援制度の拡充に関する提言です。今年2月、厚労省からコロナ禍における通知がありましたが、外国人向け文書は機械翻訳されたもので、正確な情報を読み取ることが 出来ないと感じたため、人手翻訳による文書に変更してもらえるよう依頼しました。また3月に は社協による特例貸付が開始されましたが、給付対象は各市町村の判断にゆだねられており、名古屋市では永住権をもつ外国人に限定されています。在留資格のない場合は対象外とされているため、対象を拡大してもらえるよう市へ要請しました。4つ目はコロナ禍の影響で失業した帰国困難者の生活サポートです。天白区にある徳林寺では、4月から帰国困難者の受入れを開始し、 現在約60名が寺内で共同生活を送っているため、当法人では通訳サポートや生活支援物資のコー ディネートを行っています。物資等寄贈頂ける方がいましたら、当団体までお問い合わせくださ い。8~10月頃までに、その方々が母国に帰れることを目指し支援しています。

■NPOまなびや@KYUBAN・川口氏
当団体は、名古屋市港区 9 番団地を中心に活動しています。約 1,000 戸中 3 割が外国人ですが、 生活困窮の日本人も対象としています。現在は3つの取り組みを行っています。1つ目は、フードバンク事業として、食料を集め、個別訪問に活用しています。2つ目は、集会所の一角(窓)を 活用した掲示板の設置です。テレビやインターネットが使えない方向けに始めたものでしたが、 最近では足の悪い高齢者が苦労してお店に行ったら休業していたという声を受け、団地付近にあ る店舗の休業日の確認も出来るようになっています。3つ目は、敷地内に相談ポストを設置し、 住民の SOS をアナログでキャッチできる仕組みを考案しました。また、住民からは食料支援のお 礼として、マスク等をいただくこともあります。協力団体として、マンション管理会社(長駒産 業)や NPO 法人セカンドハーベストなごや等と連携しています。実際にお渡しする中身は食料 の他に、相談カードやマスク、行政からのお役立ち情報、簡単なアンケートを基本とし、生卵や 花も配布することもあります。アンケートでは、コロナ禍における心配事や仕事の変化も調査し ており、日本人と外国人と分けて分析すると、ここ数か月は外国人の解雇が急激に増えています。 それと同時に、6 月末に名古屋市内の外国人労働者 80 名が解雇されるという情報が入ってきてい ます。中には社員寮を出ざるを得ない人や、すでに退去を余儀なくされ、不法侵入として拘留さ れている人もいる事から、当団体では緊急シェルターを設け、受け入れを予定しています。皆さ んへのお願いとして、休業協力金(50 万円)申請期間が今月末となっており、近所に外国人オー ナーの飲食店がある場合は、この制度の周知やつないでいただく等のサポートをしてほしいです。

Q:解雇された方々で多い業種は?(トヨタボランティアセンター・窪田氏)
A:製造業が多い。早くから解雇されたのは観光業と製造業。製造業の中には自動車業もあるが、 パチンコ店や食品関係も多い。5 月末時点で解雇通知を受け、6 月末に解雇される方が多いです。 西三河や東三河は製造業が多く、工場の休業が解雇のきっかけとなった様子。(土井氏)

Q.別団体で入居金不要のシェアハウスをやっている。緊急的に使うことも可能。我々のような民間 セクターのマッチングがもっとうまく機能するとよい。出来ることを考えてみたい。(NPO 法人 ゆめはーと・木全氏)
A.今後始めるシェルターは、名古屋保護観察所や各国の領事館などと連携して進めている。所持 金ほぼゼロの方も少なくない。住居だけでなく就業支援を一緒に行っていく必要がある。(川口氏)

Q:情報提供された徳林寺のニーズリストにあるもので、当法人が災害救援用で備蓄している物 資があるため提供できればと思います。川口さんの団体へも送りたいが、どのように調整したら よいか(RSY 浦野)
A.徳林寺の場合は、まず土井を窓口にご相談いただきたい。届ける方法としては宅配の元払いや 持込みをお願いしており、難しい場合には土井が直接取りに行くことも出来る。(土井氏)
A.NPO まなびや@KYUBAN へは川口にご相談ください。(川口氏)

Q:当法人の事務所近くに、長駒のマンションがある。身近な人が出来ることは?(一般社団法人 aichikara・志治氏)
A:ネパール人 400 名が住んでいるマンションです。そのオーナーさんは、留学生支援等を積極 的に行っているため、直接話を聞いてみてほしい。(川口氏) 

Q:休業協力金のサポートをするために、どんな仕組みやツールがあるとよい?(Co.栗田)
A:国からの情報発信の中でも特に経産省関係の資料は翻訳されていないことが多い。(土井氏)
名古屋市から英語版チラシが公開されている。そのチラシを活用しながら、一緒に書いてあげる というサポートもしていただけると有難いです。(川口氏)

Q:元留学生の方がシェアハウスに入居しているそうですが、他に受けている支援はありますか (土井氏)
A:特定技能を持ち入国している元留学生で、支援機関は決定しているが、雇用主の受け入れ体制 が整っておらず、入居が長引いていましたが、先日就職先が決まりました(木全氏) 

Q:外国語のできるボランティアが出来る事は?(Co.小池氏) 
A:コロナ禍では受け入れ先がほとんどないのが現状。海外協力隊(JICA)は年内の活動再開は難しいと聞いており、別の活動を探している人もいるようです。そういった情報は、JICA中部支部 や名古屋 NGO センターに問い合わせしてみると繋いでもらえるかもしれません。(土井氏) 

Q:前回発表いただいた、のわみ相談所との連携は?(Co.萩原氏)
A:のわみさんは尾張地域を主に担当しているため、該当する当事者の方がいた場合は、相談する場合があります。(土井氏)

3.情報共有
コロナ禍におけるボランティア・NPO 等の災害対応ガイドライン

■認定NPO法人全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)・栗田
災害が発生すると、社協による災害ボランティアセンター(VC)が大きな役割を果たしますが、 例えば、今回話題提供いただいた外国人へは、行政による制度支援と専門 NPO 等が適切に対応 しないと十分な支援にはなりません。東日本大震災で支援の「モレ・ムラ」があったことを教訓 に、NPO 同士はもちろん、行政・災害 VC・民間支援セクターの 3 者による平常時からの連携が 必要だとしてJVOAD設立に至りました。その活動の柱が多様な支援セクターが集まる「情報共有会議」で、2016 年熊本地震をはじめ昨年の台風 19 号など各被災地で実績を積み、それが本会議の原点にもなっています。一方で、これまでの災害は、「全国から・迅速に・短期集中型」で外 部支援の協力がありましたが、コロナ禍では、安易に被災地に入ること自体が難しい状況で、被 災した地域が主体となって対応せざるを得ないのが実状です。外部支援者は、遠隔での支援を基 本とし、現地からの要望があれば応じる形にならざるを得ません。本ガイドブックは、地域ごとで考える際のたたき台にしていただけると有難い。社会情勢に応じて、今後も更新していきます。

4.参加者コメント

・冊子「水害にあったときに(発行:震災がつなぐ全国ネットワーク)」は、外国人ボランティア にとっても役立ちました。今後コロナ禍での活動リストを作成することがあれば、当団体でも翻 訳サポートが可能のため、声をかけてほしい。(土井氏)
・外国人支援の現場も深刻だと分かりました。徳林寺の紹介映像では密な印象があり、当事者の 健康も気がかりです。(Co.関口氏)
→感染症対策については素人。感染防止のためのチェック(体温計1つを 50 人で使用)まで手が 回っていないため、感染症対策の視点から見てくれる人がいると有難いです。(土井氏)

5.次回の予定

2020年6月16日(火) 16時00分~17時00分

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