第40回:ポストコロナ時代の市民活動の戦略を探る
●日時:2021年4月27日(火)15時00分~17時00分
●場所:WEB会議(ZOOM)
●参加団体:33団体(運営9団体含む)
●参加人数:42名(運営スタッフ15名含む)
1. ポストコロナ時代の市民活動の戦略を探る ~おたがいさま会議ver.
●松原明氏/元・認定NPO法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会 代表理事
〇自己紹介:
・1994年に「シーズ・市民活動を支える制度を作る会」を設立し、以降NPO法や認定NPO法人制度、NPO法人会計基準、新寄付税制などの制度づくりに関わってきた。NPO法ができる以前からこれまでの流れやNPO関係の環境をずっと見てきており、いろんなNPOの仕組みづくりにも関わっている。
・本日は愛知のおたがいさま会議バージョンとしてお話しする。本日の資料は非公開とさせていただく。
➀今日の問題設定
・おたがいさま会議は今後どうしていったらいいかについて、日本の市民活動の今後の取るべき方向性から考えた時にどうしていくといいかという問題設定で考えていく。
・おたがいさま会議の2本柱は「コロナ禍でNPOが困っていることをお互いに情報共有、補完し助け合う」「コロナ禍で災害発生した場合の事前準備機能」であり、情報共有会議によってマッチングセンターの機能を果たしている。そこで見えてきた社会課題は、弱いところへのしわ寄せ、公的支援窓口も手一杯、感染拡大の終わりが見えない一方で人の関わりを絶やすことはできずNPOが萎えてはいけないといったこと。今後の取組みとしてSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)を踏まえてしっかり続けていこうと話されており、会議コアメンバーからも継続への期待がある。
・一方でおたがいさま会議の課題としては、参加者から「助けてもらいたいことはいっぱいあるが、助けられない」という言葉もあるように、助け合いネットワークはあっても、助けてもらいたい人が引け目を感じて参加しなくなっていくこと。そのままでは会が持続しなくなっていく。他にも共通の目標設定や課題発信などがある。
・今はコロナ禍という共通危機があり、同じ課題に向かっているためお互いに助け合える。しかし、ポストコロナへ移行した場合、共通の課題設定が困難となり、維持発展が難しくないっていく。
・おたたいさま会議で生まれたつながりを、ポストコロナ時代に向けて強化発展させていくポイントは、「つながり」の強化・発展であり、そのためには「ポストコロナ時代がどんな時代か」ということと、「市民活動の共同戦略の歴史的状況」を理解していく必要がある。
②ポストコロナ時代とはどういう時代か
・ポストコロナ時代とは、それまで徐々に進んできた変化が大きく加速していくことが特徴であるため、将来の変化はある程度読める。この10年のトレンドをみれば、ここから先も読み取っていける。
・コロナ禍以前から2040年に向けての大きなトレンドは、「政治:政府の縮退」、「経済:低成長と市場の弊害の拡大」、「社会:人口減少と少子高齢化」、「共同体:おひとりさま化と家族・地域の解体」である。国家は限界、市場は問題、社会は衰退、共同体は解体ということ。そしてコロナ危機によってこれらが加速。コロナ禍での財政支出で政府はますますお金がなくなり、失業率が上がり求人倍率が下がっているデータや、少子化や結婚難も想定より10年前倒しで加速しているというニュースもある。
・人々のつながりもコロナ村八分、コロナ自警団、コロナ差別など、どんどんひどくなっていて危機的状況。日本は世界と比較してコロナ感染者に冷たく、「感染は自業自得である」と考える割合が他国よりも多いという調査結果もある。阪神大震災や東日本大震災でも「助け合い・絆」という言葉があったが、社会では孤立化と分断、格差が進んでいる。元々日本は人々のつながりや信頼を評価する社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)が脆弱で、1990年代半ば以降減少し続けている。社会関係資本の国際比較では、140ヵ国中アメリカは10位以内である一方、日本は2007年の56位から東日本大震災以降劇的に下がり2015年には101位となっている。
〇市民活動を取り巻く環境の変化:
・政治:自治体などの行政からの補助、協動事業の減少。支援の減少、より成果が求められる。
・経済:社会問題(貧困等)の増大。企業の寄付などの減少。中小企業が厳しい。
・社会:社会問題(孤立等)の増大。つながりが減少し、市民活動のリソース減。
・共同体:人が減り、地域活動のリソース減少。共助の弱体化による地域問題の増大。
→NPOにとっては、政府の財源は減る、企業の資金も減る、担い手も減る、社会問題は増える。この新しい環境は、参加者が増えない、財源が確保しにくい、成果が示しにくい、後継者が育たない等のNPOの課題をいっそう拡大させていく。
③「市民活動の共同戦略」の過去・現在
・日本の市民活動は歴史的にもその時代時代に共同戦略をもっている。その戦略は世界の先端より10~20年後追いしている。市民活動の歴史は、公共サービスの中心である政府の動向に左右される。戦後は政府の方向性によって大きく2期に分けられ、現在は2期目終盤で3期目に入る時期と考える。
・第1期(1945~1990年代):福祉国家とケインズ型経済政策時代。NPO1.0の時代。
社会サービスの中心的担い手は政府であり、市民活動は政府のサービスをよりよくすることがメインテーマ。NPOはメンバーシップモデル中心であり、共通の関心からなる同質的メンバー(ボランティア)が活動のメイン。事務局は活動の調整のみのため小さい事務局でよかった。
・2期(1980~2020年代):ポスト福祉国家と新自由主義の時代。NPO2.0時代。
政府が社会サービスの担い手から撤退し、官民パートナーシップやPPP(Public Private Partnership:官民連携)が行われる。市民活動はNPO法が契機となり現代的なマネジメントモデルへ転換し、NPO・市民活動は自立、事務局が社会課題解決の主体となりマネジメント能力を強化。企業のマネジメントモデルを参考に、企業のようなマーケティングを実施していった。
・NPO2.0の欠点は、活動主体が事務局のため、ボランティアはお手伝いのみで主体性が発揮できず面白くない。自己実現できるのは事務局だけであるため、ボランティアや参加者の減少を招く。支援者とNPOの関係は委任者と受任者の関係、NPOと受益者の関係はサービス提供者とサービス利用者の関係であるため、助け合いや協力関係ではなく、支援者間や受益者間でのつながりもつくれない。NPO2.0のマネジメントモデルでは、結果的につながりが減っていく悪循環に陥ることになる。
・また、行政とNPOとのパートナーシップ(協働)もNPO弱体化に拍車をかけている。行政とNPOの協働は、企業の委託モデルであり、住民を顧客としたNPOと行政の委託関係。NPOはお金がないため、受託努力し成果に集中するが、ボランティアなど市民参加は効率が悪いため、事務局のみになることで、参加者や資源が減っていくという悪循環が生まれる。
・一方で内閣府等の調査によると、社会貢献したい人は年々増えており、NPOや一般社団を立ち上げる人も増えている。しかし、NPO活動に参加したい人は激減しており、社会貢献したい人は増えたのにも関わらずボランティアは増えていない。NPOが事業に熱心になるほど市民参加は面倒のため出番がなくなり、社会関係資本が増えずつながりが強くならないというNPOの構造自体に問題がある。
④おたがいさま会議はどうすればよいのか?
・世界のトレンドから見ると、リーマンショックを契機に気候変動対応も後押しし、2010年代に入りポスト新自由主義へ移行。新自由主義は全部市場に任せればいいという考えだったが、それでは経済格差、気候変動、移民問題などの問題は解決できないことが明確になり、さらにコロナ危機でその認識が決定的に。社会問題の複雑化・多様化に対し、新しい解決方法として2つのトレンドが重要になる。
・1つ目が「多者協働」で、マルチステークホルダー参加型の問題解決手法。その象徴的なものがSDGsであり、マルチステークホルダー・パートナーシップによる課題解決を目標17に掲げている。企業でも2010年以降、株主資本主義からステークホルダー資本主義へ転換の声が大きくなっており、多くの関係者と歩むことが求められている。NPO2.0的なマネジメントで多者協働を行うやり方も見られるが、事務局が問題解決するのでは多様な主体が参加する協働にはならない。マルチステークホルダー型では、事務局はバックヤードで動くことが求められるが、日本ではその手法が確立されていない。
・2つ目が「共同体(コモン)再構築」で、助け合うという考え方。コミュニティ再構築運動、地域通貨、居場所づくりなどがこの流れである。この助け合い再構築で優れた事例は静岡方式がある。
・共同体は互恵(助け合い:同じ仲間が集まって頑張る)の延長、多者協働は協力(貢献:別の人が集まって頑張る)である。現在のおたがいさま会議は助け合い(互恵)であるが、それで本当にいいのか。 助ける人と助けられる人それぞれ負担があり、お互いに助け合いができるには、対等性と互換性がないと破綻する。
・市民活動のこれからであるNPO3.0時代は、多者協働で事務局ではなくステークホルダー中心。企業的なマネジメントはNGであり、場のマネジメントに切り替わっていく。明確なモデルは確立していないが、多者協働の場をマネジメントしながらつながりを増やし、問題解決力を強めることが最大の課題。おたがいさま会議の直面している課題とも直結しており、チャレンジが求められている。
・おたがいさま会議の今後の4つの可能性として、共同路線「静岡方式」、多者協働路線「JCN方式」、「おんぱく方式」、「市民大学方式」がある。これらをベースに組み合わせ等を考えるとよい。
・静岡方式:困りごとを中心に人が集まり、お互いに応援しながら困りごと解決をめざす互恵的マネジメント。関係性が固定すると参加者が減り、また事務局費用が賄いにくいことが欠点。おたがいさま会議の場合、今の形式の延長線。いかにコストをかけずに行えるかが大切。
・JCN方式:テーマ別チームをつくるマルチステークホルダーパートナーシップで、共通の関心事を共有し解決。テーマを超えた関心には広がりにくい。事務局に負担が多くなりNPO2.0型になりやすい。おたがいさま会議の場合、ポストコロナでは明確な課題が見えにくくなるため、どうまとめていくか。SDGsなど皆が参加しやすい共有目標を掲げ、テーマごとのチームで場をつくるなどが考えられる。
・おんぱく方式:2001年別府市で始まった地域起こしプログラムで、年1回地域のスモールビジネスの発展促進イベントを開催。多者協働モデルを採用。SDGs達成のために、複数プロジェクトを周りが協力して実施していく場を提供するといったことが考えられる。イベントで資金集めができるとよい。
・市民大学方式を応用:共同学習の場として、これからの社会問題解決のため、いかに協力し合うかをお互いに学習・実践・発表し、共有知を増やしていく。SDGs達成などの共有目標のために、学習・実践・発表の場を提供し、1年かけて共有していくことが考えられる。蓄積の方法開発が必要。
・どの方式でも最初は3~5年を期限とし、最長は10年程度の期限を設定すべき。2030年のSDGsの期限は使い勝手がよい一つの目安。SDGsの場合、企業や行政含め皆が成果を持ち帰ることができる。他のものでもいいが、参加する全てのマルチステークホルダーがメリットを受けられる目標設定が重要。NPO3.0の評価ポイントは、皆が違う指標で違う成果を持ち帰ることである。
2. 意見交換・質問・感想等
〇コーディネーター・萩原:おたがいさま会議は、ある意味中間支援組織と考えるが、どう捉えるか。
→松原氏:中間支援組織という視点でみている。課題としては、全国の中間支援組織がやってきたことは2.0型マネジメントやNPO法人化で、場の運営や横をつなぐことは非常に弱い。今後中間支援組織は大きな変化の時期がくる。全国の中間支援組織の8割は行政のお金をあてにしているが、行政資金は今後なくなっていく。そんな中、今後新しく中間支援活動を考えた時、地域のいろんな主体をどういう方向にもっていくか、資金の持続可能性にもある程度目途をつけていくべきと考える。そうすると本会議をそのまま延長というよりは3~5年は試行錯誤期間と決め、しっかりと新しいモデルをつくり、そのモデルをベースに作り直していくといいと考える。
〇コーディネーター・萩原:ボランティアをしたい潜在意識がある一方、お一人様が進むことに違和感。
→松原氏:つながりたいが、無理やりのつながりは嫌であり自分で選択したい。日本社会で欠けていることの一つは選択の自由のなさ。つながることで拘束されるのが皆怖い。「良いつながり」が得られる場所や場面を開発していないことが課題。ボランティア調査では、社会貢献したいと思っているが6~7割いるが、その理由は1番目が「つながりを作りたい、仲間が欲しい」、2番目が「自己実現」、3番目が「自己成長」。自分にとって「良いつながり」や成長が得られた結果として社会貢献になるといいと考えている。ボランティアで負担だけをかけられたり、固定化されたり、命令や指示されるのは嫌だと考えている。多くの団体のボランティアプログラムがそういうニーズにあっていない。
〇中日新聞社・大森氏:束縛されたくないとすると、どんな新しいコミュニティのイメージになるか。
→松原氏:方向性は共同体(コモン)と多者協働の2つ。別物であるが、多くは違いが分からず右往左往しているのが現状。皆コモンに走ってしまうが、仲間は欲しいが属したくないため、縛らず皆が仲良くつながれる船を作る必要がある。多くの人がこの先にコモンしかないと間違えて思っている。コモンは必要だがそれ以外にも方法はたくさんある。
〇コーディネーター・菊池:新潟の都岐沙羅パートナーズセンターや兵庫の明石コミュニティ創造協会など、地縁組織対象の中間支援組織もでてきている。中間支援のかたちは今後どうなっていくか。
→松原氏:一番大きな要因は、中間支援組織の財源が行政に依存していること。最近は中央政府が共同社会を押しているため、自治体も地縁組織のサポートをするようにと言い出している。政府が進める昔からの地域コミュニティの再生は、地域課題解決のために地縁組織を企業化しようとする動きがあるが、それはよくない。一方で、昔からNPO活動をしている人々が取り組んでいることが地縁組織のNPO化。様々な選択の自由をもたらすNPOを地域に輩出することで、互恵と協力のセットを地域につくりださないといけない。その動きが適応するのは新住民と旧住民が混ざっている地域。旧住民のみの地域は昔からのコミュニティが生きているため、助け合いが残っている。しかし地方の過疎化が進み旧来型の地縁組織ではもたなくなってきているため、そこに協力的なNPOをどう加えるかという話は不可欠。
〇RSY・浜田:おたがさま会議は互恵的な同質性の共同体とのことだが、異質性の協力型ではないのか。
→松原氏:コロナ危機への対応であるということ。状況が共有できるうちは互恵的に行えるが、状況が薄れたらうまくいかなくなる。ポストコロナ時に共有の基盤をどこに見出して助け合えるか。短期的な助ける助けられる関係は何とかなるが、長くなり関係が固定するとお互いに負担になる。入れ替え可能な互恵的関係でないといずれは破綻する。NPOベースでうまく互恵的関係を長期的に作りだしているいい事例があるといいが。メインメンバーの目標やお互いの共有をどう作り出すかがポイントである。
〇コーディネーター・関口:おたがいさま会議はNPOや個人、企業など参加メンバーがミックスされている状況であるが、それが今後の可能性につながるか。
→松原氏:モデルは個人・団体は問わない。例えば「おんぱく」は中小企業の集まりでも、もとはNPOが始めて個人も入っている。モデルをどう使うかの応用の話であり、入り方は個人・団体関係なくミックスでも使える。ポイントは団体の場の設定の仕方、成果や評価をどこにもっていくかということ。
〇地域国際活動研究センター・杉本氏:NGOも財政が厳しく、特に若い人が食べていけなくなっている。誰もがやりたいと思うことをやれるところがあるとよく、若者にお金にとらわれない価値観での働き方もあることを示していけるとよい。
→松原氏:NPO3.0は、個々の価値観を大切にするNPOをどうつくるかということであり、お金にとらわれない人がどう頑張れるかということをメインにしてきたと思っている。
〇コーディネーター・栗田:松原氏の話から、おたがいさま会議の今後について多くのヒントをいただいた。現在の参加自由で毎週火曜に課題提起していくスタイルは継続しつつ、そこに何のために、どれくらいの人たちに対して、どんな目標でということを考えていかないと、やっただけになってしまう。歩みは遅くとも、皆で考えていくスタイルを持ちながら進めていきたい。本会議では、NPOの様々な分野についてなど、学びが非常に多い。もっと多くの人や若者にもこういった課題に触れてもらいたい。また、続けていくことで仲間が増えていき、何かあった時に相談できるつながりができる。南海トラフ地震に向けての連携については、本会議を基盤に新しく目標設定して突き進むべき時期がいずれくると考えるが、そればかりだと本会議から人が離れていくであろう。緩やかにつながりながら維持していくにはどうしていくといいかを考えさせられた。
→松原氏:コロナが落ち着いていった時に会議も縮小ならいいが、参加者拡大や長期的スパンを考えるのであれば、事務局をどうするかなどの課題もでてくる。ただ、急いでもよくないため、3年程度いろいろと考えていく中で次のフェーズに進んでいくといい。
〇中日新聞社・大森氏:おたがいさま会議の出席者の固定化をどう考えるか。例えば役に立つNPO講座というニュアンスもだしていくと様々な団体が参加していくことも考えられるのでは。
→松原氏:コロナの危機的状況は続いているが、市民感覚からすると慣れてきてしまっていることも事実。危機の共有が終わりつつある中、現段階でおたがいさま会議を拡大するのは向いていないように感じる。今メンバーが固定していることはOKとし、固定メンバーでポストコロナに向けてしっかりと評価と議論し、さらに拡大するための体力をどうするか考えた上で次の拡大に臨んだ方がいい。
〇コーディネーター・小池:NPO3.0のマルチステークホルダーでの収入構造を知りたい。
→松原氏:収入はいろいろ。NPOは、課題解決能力はあるがお金がないセクターのため、企業や行政などの他セクターとしっかり組めるかが重要。行政や企業からNPOにお金がでにくい構造は、「自分がやっていることがいいから手伝え」と言ってしまうこと。NPO3.0のポイントは、それぞれのやりたいことを実現するということ。本会議が企業や行政にもメリットが生まれるから本会議の維持や発展にお金を払うという構造をつくるといい。SDGsを利用し、企業の売り上げや宣伝になることをNPOがサポートできるくらいしないといけない。企業のCSR部だけでなく、予算を持っている事業開発部や営業部とのパートナーシップを組めるぐらいの場をつくることが大切。
〇地域国際活動研究センター・杉本氏:おたがいさま会議に全員が同じ価値のために参加していると思えないため、それぞれの価値を共有することを通じて、新しいつながりにつなげていくといいのでは。
→松原氏:皆が違う価値観を持っている。お互いの価値観を尊重し合える場を実現することが大切。そのためには違う価値観をヒアリングして理解した上でどんな場を設定していくか考えていけるといい。
〇コーディネーター・菊池:NPO3.0の場を設定する人はスキルが必要なのでは。
→松原氏:最初の開発は大変だが、既にいろんな地域で実施されているパターンがあり、コツさえつかめば地域型計画は伝播していく。10年くらいかければ全国に伝播していくのでは。
〇ボラみみ情報局・織田氏:愛知では県内を網羅する中間支援組織ができなかったのが問題であり、おたがいさま会議はそこをめざすといいと感じる。地域社会の課題も災害の課題も一緒に扱っていけるかたちになるといい。多様な主体が集まり別の中間支援団体を皆で作るという動きが望ましい。
〇コーディネーター・萩原:愛知も最初の頃は皆で中間支援団体をつくったが、専門化・分業化が始まり、多様な価値観や魅力が消えていった。
→松原氏:昔と同じ事務局導型タイプは時代に取り残されていく。事務局はバックヤード、主役は地域。おたがいさま会議のように皆が集い、つながりを作り、それぞれが発展する場は必要。
〇コーディネーター・栗田:別の中間支援組織が必要となる場合、どうやって作り出すきっかけづくりをするといいか。南トラを考えるとその機能は不可欠だと考えている。とはいえ、例えばRSYが呼びかけて作った場合は、RSYが中心になりたいなどと勘違いされることは避けたい。
→松原氏:最初は誰かがやろうと言わないと始まらない。問われるのは結果で、どこに持っていくかが大切。結果が皆のものになれば問題ない。昔の中間支援組織は、作った人中心で、自分たちの下で全て束ねようとしたことが欠点。皆束ねられたくなく、束ねなくていい中間支援が必要。皆が好きなことができる場を作るとよく、マネジメント方法が全く違う。時代にあった違うやり方をしていく必要。
〇本日のまとめ/松原氏:
・今回お話した内容を書いた本を執筆しており、秋ごろに出版予定。
・おたがいさま会議のようないい場を作ろうというのは全国でもレアケース。新しいに向けた一つの動きなのは間違いない。時代状況、周囲の希望、マルチステークホルダーとして企業や行政、地域の人の考え方をしっかり聞いたうえで、2~3年かけて次のステージへの歩みを着実に進めていって欲しい。
3. 次回の予定
【月間テーマ:地域の課題に取り組む】2021年5月11日(火)16時00分~17時00分
■テーマ:身近な地域での困り事解決のためのつながりづくり
■ゲスト:栗本浩一氏/合同会社P-BEANS ソーシャルデザイン事業担当マネジャー
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