第39回:おたがいさま会議のふりかえり

会議レポート

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●日時:2021年4月12日(火)16時00分~17時00分
●場所:WEB会議(ZOOM)
●参加団体:33団体(運営10団体含む)
●参加人数:39名(運営スタッフ14名含む)

1.これまでの「おたがいさま会議」の振り返り

・RSY栗田:新型コロナウイルスの影響が深刻化していく中、今、RSYにできることは何かを考えました。そこで、災害用に保管してあった不織布マスクを会員や関係する主に医療・福祉関連団体に(約4万枚)、N95マスクを医療関係団体・愛知県・岐阜県(約2.7万枚)に寄贈し、医療現場で活用いただきました。こうした中で、ホームレスの方にマスクを届けていただいた団体からは、「コロナ禍の影響を最も受けている方々だ」という指摘もありました。また、セカンドハーベスト名古屋が生活困窮者に届けている食品類の寄附が、コロナ禍の影響により減 少している報を受け、RSYで保管しているものの他、提供できる企業や大学とをつなぎました。これらを通じ、社会的弱者が、コロナ禍でますます追い詰められている状況は、想像以上に深刻なことを悟りました。

コロナ禍対応「NPOおたがいさま会議」の開催について:活動の2本柱
① コロナ禍によるNPOの困りごとに対する情報共有と可能な限り互いに補完し合う機能
② コロナ禍の影響下において、災害が発生した場合の事前準備機能(※特に「避難所対応」は喫緊課題として)

現在は下記のメンバーで運営をしている。
コーディネータ―(4/3現在・50音順):菊池遼(日本福祉大学)栗田暢之(レスキューストックヤード)小池達也(フリーランス/NPO支援者)鈴木治男(デンソー)関口威人(なごやメディア研究会)根岸恵子(こどもNPO)萩原喜之(三河の山里コミュニティパワー)濵野剣(日本福祉協議機構)

【協力】
愛知県・名古屋市・愛知県社会福祉協議会・名古屋市社会福祉協議会ほか
事務局:レスキューストックヤード、一般社団法人日本福祉協議機構

・これまでの発表※一部抜粋

第1回 /2020.05.19 発表者:セカンドハーベスト ボランティア参加を止めざるを得ない

第3回/2020.06.02 発表者:のわみ相談所 コロナ禍においてさらに追い詰められている社会的弱者に対して、特に「住」を優先させる取り組 みが必要ではないか

第4回 /2020.06.09 発表者:多文化共生リソースセンター コロナ禍で外国人が失業し、住家の失い、暮らし がひっ迫しているため、支援拠点となっている、 徳林寺(天白区)や9番団地(港区)での支援活動への協力が求められた

第5回 /2020.06.16 発表者:徳林寺 ベトナム人のシェルター的機能を果たしていて、 全国から支援も受けている。しかし根本的な課題として帰国の目途が立っていない。暮らしの支援の余地はあるのではないか。

第6回 /2020.06.23 発表者:名古屋市社協仕事暮らし自立サポートセンター 緊急小口貸付資金も住宅確保給付金も窓口が満杯状態。特に外国人の言葉の壁がなかなか超えられない。また、制度を広く周知することはできていない。掘り起こしされても対応が難しい。

第8回/2020.07.07 発表者:ベーカリーハウスわっぱん・ソーネ ショップコロナ禍でイベント販売はほぼキャンセル。手袋・ 消毒液が手に入りにくい。カフェは1/4、資源回収は中国の古紙市場暴落。

→アルコールや手袋などを扱う業者様をご紹介下さったり、新聞の取材に来て頂いたり、会議に 合わせてパンを販売する機会をおつくり頂いたり、パン販売にご興味のある会社様にわっぱんをご紹介下さったり、わっぱの会の事業所に状況把握のためお訪ね下さったり、多くの方の助けをお借りしていろいろなことが前向きに動き出しています。

第9回/2020.07.14 発表者:風の会 コロナ禍で利用者が減少も、国の補助対象になるほ どの減益は免れている。一方、外出できず楽しみが減り、また20年以上かけて築いてきた地域とのつながりが途切れてしまう懸念もある。

第10回 /2020.07.21 発表者:愛知県セルプセンター 元来医療関係者により少人数で支援を継続してきた中、コロナ禍でボランティアが不足、さらにホームレスへの偏見の壁は今も根深い課題も。

第11回 /2020.07.28 発表者:南医療生 コロナ禍で介護事業ですら訪問拒否する本人や 家族が少なくない。

第13回/2020.08.11 発表者:浜松医大・尾島先 コロナを意識しすぎて却って生活が不活発になることが懸念。感染対策をしっかりした上で、人との関わりの場を作るべし。

〇第14回以降はそれそれの分野を深堀していった。

・介護・福祉月間 第16回~17回

・子ども月間   第18回~21回

・外国人月間   第22回~25回

・災害月間    第27回~30回

〇第32回以降は企業の取り組みを発表した。

第32回 /2021.02.09 発表者:トヨタ自動車・デンソー 感染対策をしながら社員のボランティア活動を後押し、自宅でできるボランティア、オンラインイベントの推進、少人数でできる活動など、 工夫しながら進めている(デンソー)。コロナ 禍での取組みを通した「トヨタらしい」様々な取り組みの中で、社会貢献活動への意識の変化や新しい活動領域へシフトすることへの手ごたえを感じた(トヨタ)。

第33回 /2021.02.16 発表者:中日新聞  NPOは第3者の立場から当事者に変わり具体的な政策提案をするアドボカシーは重要な活動であるが、当事者性が薄れているように感じる。多様なNPOが集まり、互いの活動を報告し合うおたがいさま会議に相談すれば何とかなると思える場所にならないか。

〇第34回以降はこれまでの発表者の現状報告

第34回/2021.03.02 発表者:名古屋市社協・仕事暮らし自立サポートセンター リーマンショックや東日本大震災を上回る過去最大の申請となった緊急小口貸付資金・住宅確保給付金も、対応件数は落ち着くも、依然としてコロナの影響による相談は絶えない。むしろ長期化に伴う個別化・深刻化が懸念される。

第35回/2021.03.09 発表者:多文化共生リソースセンター東海 最大約160名のベトナム人ら帰国困難者を受け入れた徳林寺は現在17名。CCCによる日本語教室は帰国後もオンラインで続いている。ブラジル学校エスコーラ・ネクター校⾧が、チャンピオン・オブ・チェンジ日本大賞受賞

第36回/2021.03.16 発表者:こどもNPO 振り返ると「慣れた」としか言うことができない。コロナ対策は工夫しているが、子どもたちに慣れさせてしまい、もやもやを誰にも言えず我慢させている状況。飲酒や喫煙する中高生と一緒に過ごせる大人がどれくらいいるか。根本的な問題は何も変わっていない。

第37回/2021.03.23発表者:有)トーキング コロナ禍での介護・福祉事業所の運営は大きな負荷となったが、重装備やICTの導入など感染対策を徹底して何とか実施している。収益への影響も最小限で済んでいる。一方で、スタッフのメンタルケアは今後の課題。会話もままならないし、通勤の問題で退職者も出た。

〇見えてきた社会課題

■弱いところへのしわ寄せ 生活困窮・子ども(家庭環境の悪化)・障がい者(仕事の減少)・高齢者(介護現場 の困惑)・外国人(衣食(職)住の確保・帰国できない)

  ■公的支援を求める方々の殺到とその対応で手一杯の窓口

  ■感染拡大は留まことはなく、終わりが見えない

 ■一方で、感染拡大防止策を徹底するなどして、人との関わりを絶やしてはならない。 むしろNPOが萎えてはいけない

■コロナ禍の災害現場における「ボランティア不足」の現実とこの地域での災害対応 をどうするか。

〇今後の取り組み・課題

■「誰一人取り残さない」実践の場として

・現実を知る・生の声を聴く(草の根のNPOを通じて) ・参加者を拡げる(大学や企業にこちらから出向く) ・小さくても少しでもマッチングの実績を積む ・広報を強化する

  ■他地域の取り組みや分野のスペシャリストから学ぶ

■シンポジウムなどを開催する

 ■ 資金の確保(2021年度年賀寄附金助成事業採択)

2.「おたがいさま会議」参加者への質問

  • あなたにとって、おたがいさま会議に参加して得られたこと、参加してよかったことはなんですか?
  • 今後、今後おたがいさま会議でやってほしいこと/やりたいことはなんですか?

●デンソー:鈴木氏
・民間企業の社会貢献に苦労している、今までは人を集めるイベント型が主流だった。
・企業が地域の課題に寄り添って解決をしていく方向に動いている。そんな中「おたがいさま会議」で、生の声を聴けることがありがたい。
・ちいさなコラボの実績を作って行きたい。実績を作っていくことで価値を高めていきたい。

●多文化共生リソースセンター東海:土井氏
・普段なかなか会えないメンバーからいろんな団体の話を聞けた。また、そういった方々に、外国人の状況を伝えられたことがよかった。また、相談をした事で物資、人材のサポートをいただけた。
・いろんな人に関心を持って出てもらいたい。課題を行政だけではなく、ここのメンバーだけでもなく、様々な人と共有していきたい。また、このコロナ禍でスタッフが疲弊・離脱しているNPOも散見される。今後はスタッフのケア、確保の問題も出てくるので、そういった問題も話し合いたい。

●コーディネーター:萩原氏
もともとこの地域のNPOあり方が課題だと感じている。中間支援が現場とのパイプを担えていなかった部分やNPOが変質している不安があった。このコロナの状況の中でお互いが何とかする認識のもと、コロナを最大のチャンスとして、今後も続けていきたい。

●コーディネーター:関口
みんなをつなぐことができた。情報共有で、笠寺の民泊の受け入れ現場の視察をした。インドネシア人の実習生の2名の実態を把握できたので、中日新聞の折り込みで記事を書く予定。こういった状況に置かれている外国人の方は他のも多くおられると思う。上記の方は、大きな問題の中の一部だと思う。これを今後どのようにしていくか、広めていくかが課題。若い人の力を借りて活動を大きくして行ければいいなと思っている。

グループ1の発表(RSY:浦野氏)
・配慮が必要な人の存在、NPOのかかわり、活動の様子を知れた。また、コロナ感染の親御様の孤立の問題、サポート体制が弱いので取り組みを始めている。このことに取り組んでいるところがあれば情報共有してほしい。 各現場での共有の場をつくってほしい

グループ2の発表(コーディネーター:斎藤氏)
・加藤建設が初参加、地域の市民活動を知りたい企業が参加をしてくれた。このようにNPOだけではなく企業との地域の架け橋もこの場で作ることができた。今までの参加団体との関係性が深まっていくといい。

グループ3の発表(名古屋市社協:野川氏)
・普段の生活では知りえない社会課題を知ることができた。また、自分たちの事業の幅が広がった
・生活困窮者の支援をみんなで考えたい。また、より多くの市民、機関に参加してほしい 広報を広げていきたい。さらに、参加したすべての団体に情報を流せる仕組みを考えていきたい。

グループ4の発表(飯田氏)
BCPの観点から、企業は共助の点で地域への取り組みが必要と考えだした。どうすれば企業が地域の災害対策に興味を持ってもらえるかを考えていきたい。また、こういったネットワークを小さな単位でもこういった取り組みもしていきたい。

グループ5の発表(RSY:栗田氏)
・NPOのエンドユーザーの状況が課題としてあげられていたが、とあるNPO団体からは助成金が終わり、これ以降はどうして行こうかと言う課題を抱えている。NPO自身の体力をどうしていくかの課題もある。一方でセカンドハーベストでは、コロナ禍に入って支援を求める人が前年比40%増した。ただ、報道により、食料、ボランティアも増えた。このように他のNPOがどのような状況なのか把握する時間も今後必要と感じている。

グループ6の発表(セカンドハーベスト:前川氏)
・情報共有するいい機会だと思っている。コロナ禍で、寄付金、食料の寄付も増えた。コロナ禍でマスコミに取り上げてもらえた大きいと思っている。ただ、今後は、資金の問題も出てくるので、ぜひ協力をして頂きたい。また、民間企業のフードドライブが増えた。これもおたがいさま会議等の影響だと感じている。

グループ7の発表(デンソー:鈴木氏)
・トヨタ関連で、参加したい企業も数社出てきた。

3.感想・情報共有

松原氏:NPOの話を聞いて、1998年委中間支援組織ができたはずだが、つながりができたと思ったが、一緒に行動をするところまで行けてなかったのではないかと感じた。越えなければいけない壁があるのではと感じた。

小池氏:名古屋大学の社会研究室の方々がお互い様会議に参加を希望している学生が興味を持ってもらえたことがうれしかった。つながりを通じて、若者が意義を感じてもらえて事が嬉しい。また、「おたがいさま会議」はながく続く取り組みだと思っている。岐阜でこの取り組みをしたいと感じているので、次の世代にバトンタッチをしていきたい。

4.次回の予定

2020年4月27日(火)15時00分~17時00分※1時間長いです

ポストコロナ時代の市民活動の戦略を探るおたがいさま会議ver.スピーカー:松原明(元・認定NPO法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会代表理事)

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