第34回:緊急小口資金特例貸付と総合支援資金特例貸付の現在
●日時:2021年3月2日(火)16時00分~17時00分
●場所:WEB会議(ZOOM)
●参加団体:35団体(運営10団体含む)
●参加人数:41名(運営スタッフ15名含む)
1.3月企画 過去の課題提起者の「その後」
■ゲスト紹介/名古屋市社会福祉協議会、NPOおたがいさま会議・コアメンバー 野川氏
昨年6月23日に緊急小口資金特例貸付と総合支援資金特例貸付及び住居確保給付金について、染野氏・伊藤氏から説明をしてもらった。それから8カ月が経過し、コロナの状況については緊急事態宣言を繰り返し、生活困窮者の生活も苦しい状況が続いている。年明けから相談件数も増えてきている。国の発言等々によって相談者数も増減する。緊急小口資金特例貸付と総合支援資金特例貸付及び住居確保給付金の現状をお話いただく。
■緊急小口資金特例貸付と総合支援資金特例貸付の状況/名古屋市社会福祉協議会 地域福祉推進部 染野氏
○2020年3月25から始まった特例貸付の件数の紹介
緊急小口資金特例貸付が2万5千件、総合支援資金特例貸付が1万1千件で合計3万件以上の相談を受けている状況。区によってばらつきがあり、一番多いのは中区で、商売をしながら住居を持っている方が多く、件数が増えていると推測される。その次に、北区、中村区、港区、中川区の件数が多くなってきている。前回話をした、6月が緊急小口資金特例貸付のピークの状態でそこからは段階的に落ちてきていたが、1月以降に再度緊急事態宣言が出てからは少し増加傾向にある。
緊急小口資金特例貸付は1世帯上限20万円とした貸付。総合支援信金は緊急小口資金特例貸付を受けて、なお生活の状況が苦しい方に対して、単身の世帯だと15万円、複数の世帯の方だと20万円を毎月貸し付けるものになっている。総合支援資金特例貸付は3か月間借り入れが可能な制度。
先の2つの制度だけでは、暮らしぶりが改善されない方が出てきて、昨年8月に延長の制度ができた。3カ月間延長することが可能となり、合計6カ月借り入れを受けられるようになった。新たに、2月19日から再貸付の制度もできた。6か月借り終わっても、さらに生活が苦しい人、そういった状況がある方に、さらに3カ月貸付をする制度もできた。緊急事態宣言が出ると、飲食店、タクシー、イベント関係、警備、そういった方からの相談が増える。また、コロナが長引く状況の為、生活状況が厳しくなってきたので、初めて借り入れをする方が増えてきている。貸し付けは3月末までで終了と決まっている。4月以降は、本則と呼ばれる今まで通りの貸し付けの対応になってくる。ただし、3月末までに初回の貸付を受けている方は令和3年6月末まで延長の申請が受けられる。(例;今年3月に申請 → 4月、5月、6月受けてもらい、7月、8月、9月と延長を受ける事が可能となる。)
社協として、貸し付けが増えているので、制度が終了しても困る人が出てくるので、なんらか対応が必要であると考えている。今後、社協からも県、国に対して声を上げていく必要があると考えている。
■仕事・暮らし自立サポートセンターの状況(住居確保給付金の状況も併せて)/名古屋市仕事・暮らし自立サポートセンター 伊藤氏
〇名古屋市仕事・暮らし自立サポートセンター(以下、くらサポ)の紹介
・なにが:生活困窮者自立支援法の基づく相談機関
・だれを:生活保護受給者以外の人で、生活や就職などにお困りの人が対象
・どうやって:よりそい(伴走)支援
・どんな:自立相談支援、就労支援、家計改善支援、就労準備・訓練
→ 住宅確保給付金、ハローワークとの一体的支援、学習支援
・めざす:生活困窮者支援を通じた地域作り(誰も排除されない地域)
・金山、名古屋駅、大曾根に3拠点
・現在、サポートセンターでは住居確保給付金の相談が多い。
〇住居確保給付金について
住宅確保給付金(住まいを失うおそれのある人)
・離職により収入が生活保護基準程度まで減少した人を対象に
・一定期間上限までの家賃を支給することで住まいを確保して
・就職活動に集中することで自立に向けた就職を目指す制度
→過去2年以内離職にしていることが条件。一人暮らしの方だと収入が8万4円より低い方、一人暮らしだと上限3万7千円の家賃を名古屋市から直接管理会社または大家さんに振り込むことで支給する制度。
これまでは離職した人だけが対象だったが、
・自己の責によらず収入が減少した人が対象となった
・支給期間が最長で12カ月間に(令和2年度中の申請者)なった
・受給中の就職活動義務や報告義務が緩和された
・令和3年3月末までに申請して再受給(最長3カ月)可能になった
〇緊急小口資金、総合支援資金貸付について
総合支援資金の貸し付けで自立相談支援機関(くらサポ)の支援が必要
・初回の貸し付け:償還の開始までに、くらサポに相談(電話)をする
・延長の貸し付け:申込後、くらサポに相談(電話)をする
・再貸付のとき:申込から2営業日後に、くらサポから電話をする
→くらサポは必要に応じて支援決定をし、アドバイスや支援を行う。様々な支援の制度を紹介、必要であれば区役所に同行を行う。今までは、くらサポに電話をもらうことになっていたが、再貸付時にくらサポから電話するので、少し大変になってきた。
○今年度の「名古屋市仕事・暮らし自立サポートセンター金山」への相談件数について
新規相談件数は2020年4月、5月、6月は毎月600~1000件近くの相談があった。その内7~8割は住居確保の相談が占めていた。2019年4月、5月、6月の新規の新規相談件数は80~100前後だったので、2020年4月、5月は普段の9倍の相談があった計算になる。そのため、通常やらなくてはいけない業務が手薄になってきている。相談件数もこのままの数字で推移していく事が予測されるため、これまでやり残してきた業務をどのように処理をするのかも職員の課題になっている。
支援の基本は寄り添い方、住宅確保給付金の申請の中で就職先を見つけることが出来たり、生活が回復した方もおられるので、やっていることには意味があったと感じている。
2. グループセッションでの意見・感想等(ブレークアウトセッション:全6グループ)
・相談数が減ったのは感染者の減少と連動しているのか?
・小口資金の返済の返金率はどの程度見込んでいるのか?
・派遣の方はコロナを理由に派遣切りがあった。外国人が多い傾向もあった。
→名古屋市社協・染野氏:感染者数というより、緊急事態宣言や不安要素が募っていく中での借り入れが多いと感じられる。当初は、飲食業やタクシー運転手でお客さんが増えない中で仕事を減らされた方の相談が多かった。業種によって変わってきている。
また、当初は、情報提供が多くあったので、制度を多く知ってもらえたので制度を利用する方が増えたのではと考えている。
緊急小口資金については、1年間据え置き期間、2年かけて償還していただき、総合支援資金貸付は10年間かけて償還していただく。期間中の返済は無利子。なお、今回の特例措置では、2つの資金とも、償還時において、なお所得の減少が続く住民税非課税世帯の償還を免除することができる取扱いとし、生活に困窮された方にきめ細かく配慮するとされている。緊急小口資金特例貸付については、令和3年度・令和4年度の住民税非課税の確認ができた場合は一括免除できると免除の取扱いが示されている。
派遣・アルバイトの方が、保証がない、身分を守られていない等、会社が守ってくれないと相談を受けることもある。
・返済は大丈夫か?返済をすることによって生活の自立が大丈夫なのか?
・貸し付けの審査で、貸し渋りはないのか?
→名古屋市社協・染野氏:国の制度なので、国としても制度を利用して不安を解消してほしいと考えているが、多い方で200万の負債を負わせてしまうことになる。その中で負債を負わせずに、別制度を紹介していく必要がある場合もあると考えている。そういった事で、貸し渋りと捉えられてしまうのでないかと考えている。
・NGO関係の仕事がなくなった。海外に行けなくなっている。大曾根の町つくりもできなくなった。ほかのNPOはどうやっているの?
→玉城氏:去年仕事がなくなった人は1年間失業保険が使えるが、もうそろそろ切れる。そういった方の中に日本語もわからない、話せない方も多い。苦しいのはこれからという気持ちもある。食糧支援 外国人の方向けにしても、半分以上の参加者は日本人。今度どのような支援をすればいいのか悩んでいる。
・以前、社協として申請に来る人だけではなく、積極的に広報をしていく必要があるのでは?と考えていると言っていたが、現状申請の仕事が多く、余裕もないと思うので、この状況をどう乗り越えていけばいいと考えているか?
→名古屋市社協・染野氏:貸し付けはできても、そのあとの自立生活の立て直しに向けた支援がどこまでできるのか不安はある。お金の貸し付け以外でサポートが必要だが、件数が何万件になっているので、体制整備等も必要と感じている。社協としては「くらサポ」と連携するなど、関係機関とのネットワークにより対応していきたい。
・相談の件数が増えたとの報告だったが、人員が増えたか?
→くらサポ・伊藤氏:人員は途中から、2名増えた。このご時世で自立相談支援で働きたいという人が少ないとう現状。
・うまくいって自立が整ってきた方があるとの事だが、どのくらいの割合なのか?
→名古屋市社協・染野氏:2020年4月、5月、6月の申請は多く、延長、再延長、再々延長をして制度を利用さる方は非常に多い。なかなか経済状況回復していかない傾向にあると感じている。制度を利用して、回復される方、やむを得ず生活保護を受給される方もおられる。なるべく制度の情報を出していきたい。そんな中、なかなか制度を利用して、自立が整ってきた方は少ない。
・貸し付けの返済について、日本人でも転居される方。帰国される方、ビザ関係で帰らなければならない方の返済の仕方はどのようになっているか?
→名古屋市社協・染野氏:外国籍の方の取り扱いについてははっきりわかったことがない状況。日本人の通常の転居であれば、行った先の社協がサポート、返済を引き継ぐことになっている。転居等の情報は行政からは出てこないので、本人が自主的に転居先の社協に連絡をするようお願いしており、転居先の社協と連携している。
・今日の話の内容は公助の部分が多かったが、支援の制度についてこうすべきではという構想はないのか?
→名古屋市社協・染野氏:公助は必要、それだけでは解決しないのが現状。相談に来た方のお仕事を探しているときに、支援センターと連携をするが、食料等の問題も出てくるので、他のNPOとの連携も必要になってくる。基本的なレベルで、生活がままならない方が多い、単に貸し付けでは解決ができない状況も出てきている、そういった状況をみなさんと一緒に考えていきたい。また、そういった問題を解決するためにも、ネットワークないと解決ができない。そういったネットワークの中核を社協が担っていければいいと考えている。
・小さい地域だと、地域のケース会議で情報交換もできるが、名古屋市クラスになるとむずかしいのでは?話を聞いてランク付けもするものいいのではないか?
→名古屋市社協・染野氏:ランク付けはできていないが、相談者から話を聞いていくと、介護の問題、子どもが障がいを持っていて働きに行けない等の問題も出てくる。世帯背景を見ながら、そういったケースについては個別会議を行うこともある。貸し付け以上に、生活面をどう支えるのかが必要になる。ただ、3万件を全部やっていくのは難しい状況。
3.情報共有
・「おたがいさま会議とよた」について/コーディネーター・萩原
豊田市で3月6日に「SDGSs国際会議」がオンライン開催される。ウェブサイトから参加申し込みができる。「おたがいさま会議とよた」の紹介も予定しているため、ぜひ参加いただきたい。参加メンバーは、かつまさ、一礼ビルマネジメント、ジオコス、三河の山里コミュニティパワー。おたがいさま会議とよたについては、豊田青年会議所、三河の山里コミュニティパワー、トルシーダ、おいでん山村、日本福祉協議機構 等が実行委員会形式で行っていく予定。参加したい方がおられたら、ぜひ声掛けください。
なお、豊田青年会議所・日本福祉協議機構の協力により、ホームページも開設予定。
4. 次回の予定
・日時:2021年3月9日(火)16時00分~17時00分
・テーマ:①相生山徳林時(天白区)の帰国困難者支援のその後
②ブラジル学校エスコーラ・ネクター(豊田市)のその後
・ゲスト:土井氏(NPO法人多文化共生リソースセンター東海・代表理事、NPOおたがいさま会議・コーディネーター)
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