第28回:コロナ禍における被災支援

会議レポート

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●日時:2021年1月12日(火)16時00分~17時00分
●場所:WEB 会議(ZOOM)
●参加団体:30 団体(運営 9 団体含む)
●参加人数:43 名(運営スタッフ 15 名含む)

1. 情報共有「最近の社会傾向」

●コーディネーター・小池
・10 月~12 月の GDP。もともとの予測より下振れ。景気の悪化が予測される。 ・東京・神奈川では、PCR 検査の実施が疑わしい方全員にできなくなってきている。医療崩壊の兆し? ・岐阜・愛知も緊急事態宣言の可能性が出てきている。これまで以上にお互いの協力が必要。

2. 体験談「感染者への対応について」

●コーディネーター・根岸

令和 2 年 11 月末に家族がコロナに感染した。皆さんの周りでも感染した方の話を聞くことがあると思うが、参考程度に今回の経験をお伝えできればと思う。

○感染が発覚するまでの流れ
・子どもが通う学校の隣のクラスの子が発症し、濃厚接触者の濃厚接触者となった。 保健センターに相談をしたが、今のガイドラインでは検査の対象にはならないと言われた。 だが、念には念を入れ、子どもとは隔離生活を行い、数回検査を行った。その結果、陽性の判定が出た。 保健センターへ連絡をし、家族は濃厚接触者となる。
・最後の濃厚接触から起算して 2 週間は隔離(買い物は、制限付きで可)をし、自粛生活をしていた。

○今回の件で思ったこと
・「免疫力を上げれば大丈夫」と発言をしたり、「経済を回すことが最優先」と発言をしている方がいる。 そのどれも正しいと思うが、弱い立場にある方は心身の免疫力が弱い。心身共に強いところには影響が少 ないが、心身共に弱い家庭には負のスパイラルが陥る実情を感じた。
・実際、子どもは完治したが、現在も後遺症で寝たきりになっている。一日一食、外には出れない、息切 れをしてしまう。また、実習があったが行けなくなってしまい、心のダメージも負っている。戻りたいけ ど、戻れない状態になっている。
・学校の実習、事業の運営を行う上で、最悪のことを想定して動かないと、その子の人生をむしばんでし まうことを目の当たりにした。リスクマネジメントをしっかりとしていきたい。
・もしコロナに感染してしまったら、「どうしてこんな状況で受け入れを行ったのか?」と、そのご家族 から逆恨みにも似た感情が出てくる。
・運営側も、良かれと思って最善を尽くしているが、活動者が、逆恨みを買ってしまうケースも出てくる。 そういったことも想像して運営をしていかなくてはならない。
・2 週間隔離した後に、保健所に出口検査の相談をしたところ、死んだ菌で陽性が出ることもあり、2 週 間休むことが一番のエビデンスと言われた。
・これだけ蔓延していると、検査をしてもそれが本当かどうかもわからない。その時々の状況の判断が難 しくなってきている。そんな中で、出来る限り情報開示していき、差別的なことを防いでいきたいと考え ている。

3. 「災害とコロナ禍 月間」第1弾情報提供
■コロナ禍における被災支援 〜令和2年7月豪雨の現状・さらなる連携を目指して〜

●認定NPO法人レスキューストックヤード・代表理事、コーディネーター 栗田暢之氏

豪雨は増え続ける傾向にある、決して他人事ではない。また、南海トラフ大地震も控えている。

○令和2年7月豪雨の被害
・人的被害:死亡 82 人(熊本 65 人)・行方不明 4 名(富山 1 名・熊本 2 名・大分 1 名)内 65 歳以上の高齢者が 9 割を占める。
・初動の行動が重要
 1 ハザードマップで地域の被害予測を確認する
 2 コロナ禍においては、避難場所を複数考えておく
 3 正しい情報を入手し、危険が迫った場合は、早めに非難をする
・コロナ禍におけるお寺への避難について 社会資源をフルに活用して、コロナを乗り切っていく必要がある。 ※詳しく知りたい方は別途 RSY へお問い合わせください。
・倉敷市真備町のハザードマップの紹介。 ハザードマップ通りに浸水被害が起きている。対象地域の人は、避難を常に考えておかなければならな い。自分がどの地域に住んでいるかを確認することが、命を守る第一ステップ
・新たな警戒レベルを国が発表する予定。 避難勧告がなくなり、避難指示に一本化される。高齢者については警戒レベル 3、警戒レベル 4 で全員避 難に変更はないが、一人一人市民が知って、実際の行動につなげないと対策にならない。
・被災地におけるボランティアの紹介。現在も週末を中心にボランティア活動が行われている。人吉市では九州全域を対象にボラを募集してい る。人吉市では、全域でボランティアを募集しなくてはならないくらい、復興が進んでいない状態。 ボラセンター27 か所(内 24 か所が現在は終了)・ボランティア人数 4.5 万のボランティアが来てくれた。
 2017年 九州北部豪雨:ボランティア6万人・110団体
 2018年 西日本豪雨:ボランティア26万人・290団体
 2019年 東日本台風:15万人・400団体
 →過去のケースに比べ、コロナ禍の影響でボランティアの数が減っている。熊本だけではなく、7 月いっ ぱいで九州全土が被災地になった。
・高松市からの応援職員・時事通信社のカメラマンがコロナに罹患した情報が報道される。
 →熊本県知事がまずは県内ボランティアで対応と発表
 →人吉市は県外の人の市施設等への立ち入りを規制した。
 →結果として、県外からのボランティアが入りにくくなった。社会情勢としても感染拡大が広がりつつある中で、さらにボランティアは行きにくくなった。
・ボランティアを県内に限定すべきか?(熊本日日新聞のアンケート調査)の紹介:70%が県外ボランティアを限定すべきだとの意見。コロナ禍でなければ、県外ボランティア 86%必要との意見。コロナ禍がボランティアの受け入れを邪魔していることが、アンケート調査でも浮き彫りになった。一方で、受け入れの判断は、単なる民間団体では難しいため、首長レベルでの発信が必要。ただし、 実際には、県内ボランティアだけでは回りきらないニーズもあり、県外のボランティアがサポートをし た。今後に向けては、一般ボランティアと専門NPOとを分けて、必要な支援は受ける方法で考えないといけない。事前にPCR検査であったり、エビデンスが図れる状態にし、技術を持った団体が入っておくべきだったとの反省。この反省を生かし、専門的なNPOの名簿を把握しながら、色々な連携をとれるよ うにして行ける体制を国レベルでしているところ。

○現在の被災地の課題
・在宅被災者に必要な支援の全体像が把握できていない。
・いまだに家屋保全などの対応が遅れている。
・地域支え合いセンターによる一人ひとりへの暮らしの支援は緒に就いたばかりである。
・暮らしの再建には相当の時間がかかり、様々な支援が求められているが、第3波の現状に加え、先行きが見通せない。
・コミュニティ自体の存続が危惧されている。
 →上記に対してもっと応援をすべきだが、コロナが邪魔をしている
・個人のボランティア+NPO のボランティア 様々な課題があるので、お互いの過不足を補いながらの連携が必要。フェーズ毎に専門性の高い NPO と の連携が必要。

○企業との連携
・東日本大震災では企業全体で 407 社・860 億円を拠出し、復興に役立てた(経団連・2011 年度報告)。 その中で企業が今後の支援で重視する点は、「現地ニーズの変化」・「現地とのつながり」・「他組織との連 携」を重視し、「ニーズの把握」・「ニーズに応じた企画」・「連携先の模索」の 3 点を今後の課題として挙 げている。
・こうした課題をうけ、熊本地震を契機に、「行政」「社協(災害 VC)」「NPO・企業等民間支援セクター」 との「情報共有会議」(熊本地震では火の国会議・約 300 の NPO が参加)の情報共有の仕組みが出来上 がった。ボランティアセンターの得意分野、NPO の得意分野、全体を含めて被災者支援を考えていく発想。
・この「おたがいさま会議」が「行政・社協」にも参加いただいて開催しているのは、こうした連携の重要性を示している。

○2 つのフェーズの「いのち」を守る
・実際の災害現場は想像以上に過酷で厳しい
・今後も風水害は増加する
・南海トラフ地震は必ず来る
・他人事ではない・他人任せではいけない
令和 2 年 7 月豪雨の被災地はまだまだ困難が続いている。そのことに思いを馳せながら、この地域で が災害が起こった時にどうすればいいのかという事前の話し合いを強化していく事が必要である。

4. グループセッションでの意見・感想等(全 9 グループ)

・オンラインでの被災地支援はどこまで有効か?
→現地に行かなくても、オンラインによって情報共有が出来たことが利点。オンラインによって、より多く の人が情報共有できた。しかし、実際に人がいけないので、限界はあった。

・地域の近くでおたがいさま会議のようなネットワークが必要だが、高齢化が進んでいるので、ZOOM のような形は難しいのでは?それぞれの参加者が自身の地域で、おたがいさま会議を展開するのもあり では?コロナで上手く繋がれなくなっているので、オンラインをうまく使う工夫が必要と感じた。

・去年は地域のなかで活動ができなかった。災害を学ぶ機会があればご紹介ください。
→職場で犠牲者を出さない方法等、さまざまな切り口があるので、企業として災害対策を立てる必要があ る。その事もレスキューストックヤードとしても協力はできるのでいつでも相談してください。

5. 次回の予定

【災害とコロナ禍月間・第 2 弾】
2020 年 1 月 19 日(火)16 時 00 分~17 時 00 分
■テーマ:コロナ禍における避難所の対応
/認定NPO法人レスキューストックヤード・常務理事 浦野愛

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