第20回:子ども月間③ 子どもの声を拾うしくみづくり
- 日時:2020年10月20日(火)16時00分~17時00分
- 場所:WEB会議(ZOOM)
- 参加団体:25団体(運営10団体含む)
- 参加人数:31名(運営スタッフ15名含む)
1.前回会議からの進捗報告
・コーディネータ小池:コーディネータ・石黒より、ささしまサポートセンターを通じ、休業期間に入った「ホテルナゴヤキャッスル」から、ボディウォッシュタオルをご提供いただいた。受け入れてくれる団体・個人を募集している。名古屋市内であれば、直接お届け可能。すでに徳林寺やその他の団体から要望が出ているが、必要な方がいたら、Facebookページから直接ご連絡いただきたい。その他、不足している物があれば、ページを活用し発信していただきたい。https://www.facebook.com/groups/otagaisama.aichi/permalink/340768040322134/
2.「子ども月間」第3回情報提供
コロナ禍 乳幼児親子への影響~生活・あそび・心とからだ
■ゲストの紹介/コーディネータ・根岸
沢井氏から、乳幼児をテーマにお話いただく。ご自身は最初プレーパーク利用者であったが、のちに運営スタッフ、NPO法人の立ち上げを行い、現在に至る。NPOおたがいさま会議の参加者と同じように、いち参加者の立場から始まり、徐々に本格的な活動を展開された。
■沢井史恵氏・NPO法人てんぱくプレーパークの会 理事長
現在は高校生になる子どもがいるが、幼い頃には土に触れる環境で育てたいという思いがあり、プレーパークに出会った。てんぱくプレーパークは、1998年に天白公園を拠点に始まった活動で、火・水・木・金曜日の毎週4日間、月に1度は土曜日に開設している。0~120歳まで、いつでも、だれでも、無料で遊べる場として開設している。プレーパークは、全国各地400か所以上あり、名古屋市内では天白区の他に、緑区・守山区・中川区にある。緑区は、以前のゲストの小幡緑地冒険遊び場の会の中村氏が活動している。プレーパークは、遊び場の提供だけでなく、プレーワーカー(遊びの専門職)がおり、来週ゲストの塚本氏もその一人。
コロナ禍におけるプレーパークは、2月末に休校宣言を受け、翌日夕方に関係者で検討会議を行った。休校中の開園は人が溢れる可能性があったが、理事から「災害時(=コロナ)もプレーパークには人が集まってくると思うから、閉所していても勤務は続けたい。」との発言もあったため、集まりを推奨する活動は出来ないが、3月3日~13日まで、大人がいる状況を維持した。この検討会には、誰でも参加でき、高校生からは「プレーパークが開いているか、閉まっているかはあまり気にならない。プレーパークにいる人がそこにいれば、そこがプレーパークだと思う」と力強く語ってくれ、子どもたちからも学びと力を分けてもらった。検討を重ね、3月14日から開園した。中日新聞にも掲載され、多くの人が集まり、中には遠方から来てくれる親子もいた。利用者からは「次いつやるの?」という期待の声もあったが、運営スタッフの感染リスクへの不安もあったため、子どもたちにとって遊びの重要性は認識しつつも、4月3日からやむを得ず休園を決めた。現在は、6月が時間短縮して開園している。
一方で、乳幼児親子の状況について、繋がりのある支援者や利用者から聞いた声をもとに紹介する。出産を経験したお母さんからは、入院しても面会が出来ない環境にあり、孤独を感じることが多かった。子どもが1歳になるお母さんは、外遊びを始めようとした矢先、コロナの影響で外出の機会を奪われ、現在も感染への恐怖で外出できていない。4月から育休復帰を予定していたお母さんは、子どもの休校を受け、自身の有給休暇を使い切り、祖父母のサポートを受けても限界だったため、退職を決意した。コロナ以前は地域サロンや遊び場など頻繁に外出していた親子は、在宅勤務をする家族の手前、外出を控えるようになった。海外へ単身赴任している父親の家庭は、海外の感覚で、少しの外出でも命にかかわると言われてしまい、思い悩んでしまうお母さんもいた。今となっては、大人はマスクをするのが当たり前となったが、保育関係者からは、幼い子どもは顔の動きで言葉を習得していくため、両親以外の大人の顔をマスクの顔で覚えてしまっていないか懸念している。そもそもコロナに対する考え方・感じ方は、人それぞれ違うため、思いを共有することも難しかった。大人の緊張状態が続くことで、子どもが言葉に出来ない思いを夜泣きや赤ちゃん返りといった形で表れる家庭もあった。
6月以降には幼稚園・小学校、子ども支援拠点も再開したが、コロナ以前のように好きな時間に来て、昼食をすませ帰宅するという形ではなく、人数限定の予約制となっている。その日の子どもの体調を見て通うかを決めることも出来なくなった。学区の子育てサロンでは、主任児童委員などのボランティアが開設しているが、活動方針を自分たちで決める必要があり手探り状態。これまで20~30名集まっていた場所でも感染リスクを懸念して再開できていない場所もある。コロナの影響が落ち着いた今、外出を再開した親子には会えているが、いまだに恐怖を抱え外出できず、孤独と闘う親子もいることを皆さんの心にとどめておいていただきたい。
□質問・意見
・中日新聞社・大森氏:コロナの影響をうけ、運営について、行政からの方針や指示は示されたのか。
→民設民営のため、特になかった。公園などの公共施設は行政の方針に基づき閉園していたが、私たちの拠点は範囲外のため、コロナ禍の3月であっても継続できた。
・特定非営利活動法人子ども&まちネット・水野氏:状況は沢井さんのところと同じだった。乳幼児親子が遊べる場を週に2~3回開設している。自主事業のため、自分たちで判断することが多い。自粛が相次ぎ、行き場をなくした親子を受け入れる一方で、受け入れへの不安もあり、理事会で意見を募ったり、他団体の状況を見たりした。判断に迷ったが、3月1日~3か月間自粛し、6月22日から再開した。妊婦さんの利用が多く、その分、感染リスクへの不安もあるが、予約制で人数縮小・時間短縮をしている。再開後は新しい利用者も増え、行き場を失くしたお母さんも多く、2か月先まで予約が埋まっているため、その先の予約は現在、受け付けていない。
・コーディネータ・根岸:コロナの影響により、発達の機会が奪われているという声も聞くが、乳幼児親子の場合は?
→6月に再開した際には、今まで通り遊べることに対して、ほっとしたという声が多く聞かれた。3密の「密閉」がないため、外の空間が安心感に繋がり、足を運ぶお母さんもいる。発達については、外出が難しい親子は、関わりの機会が奪われてしまっていないか心配している。(沢井氏)
・中日新聞社・大森氏:行政のガイドラインは必要なのか。
→あまり必要性を感じていない。自分たちの肌感覚を大切にしている。運営側が恐怖を感じていたり、関係者から感染者が出たり、人手が不足する場合は、迷わず閉所すると決めていた。スタッフ自身も不安を抱えているため、無理をせず、お休みしてもらう人もいた。ガイドラインがあると、かえって縛られてしまうため、自分たちで選択できたのは良かった。(沢井氏)
→ガイドラインを求めていたわけではないが、誰もが経験したことのない事態で、基準となる物差しがないことに苦労した。肌感覚で恐怖はあるが、どうしたらいいのか分からず、子育て支援のネットワークを駆使しながら情報収集をし、最終的には自分たちで判断した。
・レスキューストックヤード・浦野:有給休暇を使い切り退職せざるを得ないお母さんたちは、コロナ以前から生活レベルが徐々に下がっていた家庭もあるのではないか。食事の面で困窮した場合の連携先はあるのか。その他にもこの会議を通じて、参加者が出来ること、どんなサポートがあると良いか。
→食料支援は行っていないが、一時子ども食堂が注目された時期には、学童期の子ども達の中には、朝から何も食べていないと思われる子がいた。天白公園は災害時協定で煮炊きが許可されており、自分たちで食材を多めに持ち寄り、天白公園でアウトドア料理をしていた時期もあった。今後も同様のケースが起こった際には、ぜひ連携したい。現状では、ネグレクトが気になる子どももいて、学童期になると子どもが自分で外出できるため、毎日同じ服や寒い時期でも薄着をしている子は、コロナ以前から見受けられる。(沢井氏)
・コーディネータ・小池:今後、コロナの第2波のような感染拡大の事態が生じたときに、周囲の大人たちが出来ることは?後ほど、意見交換を行うため、少しヒントをいただきたい。
→外出できている方に対しては、温かい目で見守っていただき、子どもが遊んでいたら「元気に遊べていいよね」というような気持ち、声をかけてあげてほしい。また、いまだ外出が出来ない方々が出てきた時には、「今まで何をやっていたの?もっと早く出てこればよかったのに」ではなく、「出て来られて良かったね」という気持ちで接してほしい。(沢井氏)
□ゲストからのメッセージ/沢井氏
子どもは大人に比べ、小さな人と言われるが、実は子ども自身が育っていく力をもっている。自然の中でたっぷりと遊ぶ中で、心の傷やしんどさを表現し、消化して、育っていく姿を間近で見てきた。子ども達がやってみたいことができる場を大切にし、禁止事項はなるべく少なくし、遊び場が担保されるよう心掛けている。「食う・寝る・遊ぶ」とよく言うが、食べる部分は人的・金銭的支援が集まり易いが、遊ぶ部分はなかなか手が回っていないのが実情で、私たち自身も現状を伝える場が少ないため、今後も伝え続けたい。子どもたちの小さなケガやケンカは見守るようにし、いざとなったら大人が入れるような距離感を大切にすることで、子どもたちが主体となる遊び場を作っている。コロナ禍だからといっても、子どもたちには遊びたい気持ちがたくさんあったが、後で話を聞くと、子ども同士で遊んでいて警察に注意されたり、普段から遊んでいる場所でも大人たちから帰るよう促されることもあり、今後も行き場を失くした子どもたちの遊び場を担保できるよう力をつけていきたい。
3.グループセッションでの意見・感想等
・コーディネータ・濱野:初めて乳幼児親子の現状を知った方がほとんどで、自分たちにできること、明確な答えを見つけるのが難しく、悩んでしまう方が多かった。
・コーディネータ・関口:子どもNPOの小島さんが会議に参加され、栄の町中、屋内で拠点を設けているため、3密は避けられず、感染症対策が悩ましいところだが、徐々に再開し始め、外出も選択肢に入れながら、活動されている。自分も子どもをもつ身だが、家庭・支援拠点などそれぞれの場でサポートが受けられる仕組みがあればと感じた。
・コーディネータ・小池:コロナ禍で声を聴くことの難しさを感じた。自分の住む地域は、子ども支援や市民活動を行う団体が少なく、来年度くらいに学習塾を始めたいと考えている。受験対策だけでなく、子ども食堂や個性的なゲスト(大人)との出会いの場、生活保護受給世帯も受けやすい内容を考えるなど、様々な引っ掛かりを作り、子どもたちの声を拾える場を作りたい。今回の子ども月間を通じて、いろんな刺激を受けることができ、場づくりの重要性を改めて感じた。自分ができる小さな規模で始めていきたい。
・リリオの会・今枝氏:指定管理をしている児童館では、行政的というのか、誰が責任を取るかという話に留まってしまい、苦しい思いをした。沢井さんたちのお話を聞いて、行政から資金面のサポートを受けていない団体は強い。だからこそ、責任も含めて自分たちで考え動くことのでき、コロナ禍において、さらに発揮されたと感じた。
→自立した取り組みをされていて素晴らしいのはもちろんだが、資金面で受けられる支援はしっかり活用していくべきだと思う。(大森氏)
→23年間、自力調達するのが当たり前でやってきたが、プレーワーカーが一人しか雇えていないのが実情。以前勤めていたスタッフにも、人並みのお給料が払えていれば、今も一緒に活動出来ていたかもしれないと思うことがある。お金がないことは、強みではなく、すごく困っていること。お金があれば、もっと違う活動が出来ていたかもしれないと常々思っている。(沢井氏)
4.次回の予定
・日時:2020年10月27日(火)16時00分~17時00分
・テーマ:災害時における子どもの最善の利益とは~コロナ禍の今と東日本大震災の経験から~
・ゲスト:塚本岳氏/あいち森のようちえんネットワーク代表、よさみプレーパーク代表(リトルハウス副代表)、NPO法人こどもNPO緊急期の子どもの最善の利益の保障事業責任者、副理事長
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