第17回:AJU自立の家

会議レポート

Pocket

https://youtu.be/OCkYBxwmC0k

●日時:2020年9月29日(火)16時00分~17時00分
●場所:WEB会議(ZOOM)
●参加団体:22団体(運営8団体含む)
●参加人数:27名(運営スタッフ13名含む)

1.前回会議からの進捗

・過去の会議ゲスト「わっぱん」より、の中日新聞での掲載記事の紹介(RSY吉林)
第8回(7/7)ゲストの「わっぱん」清川氏から、会議後、大森氏(中日新聞)から取材いただいた記事をきっかけに、お店を知ってもらう機会となり、売り上げも順調に伸びていると連絡をいただいた。
→おたがいさま会議に参加される皆さんのポテンシャルには感心をとてもしている。もっと広げたいのですが難しいこともあります。(中日新聞社・大森氏)
→今回取材された「わっぱん」の新作パンは、とても美味しかった。ずっしりしていて、日持ちもする。ぜひソーネに行ってみてほしい。(コーディネータ・萩原)
→とっても麦本来の味や香りを感じられ、とても美味しかった。ぜひ!(大森氏)
※ソーネショップ/名古屋市北区(https://sone-ozone.com/information/shop.html

・のわみ相談所へ畳の提供サポート(RSY浜田)
レスキューストックヤードへ、畳を寄付したいという問合せがあり、第3回(6/2)ゲスト「のわみ相談所」三輪氏に相談したところ、受け入れを希望されたため、紹介することができた。

・持続化給付金について(コーディネータ・小池)
寄付金も売上に含まれる、ことになった。もともと中小企業への施策としていたが、NPO法人について寄付金も収入としてみてほしいという声が反映された。小池も相談に乗りますので、お気軽にお声がけください。(https://www.npo-homepage.go.jp/uploads/leaflet-npo-jizokuka.pdf

2.障がい福祉の現場から

■障がい者施設のコロナ対策について/辻直哉氏(社会福祉法人AJU自立の家)

辻氏は障がい当事者であり、同法人障害者ヘルパーステーション・マイライフ管理者を務め、コロナ対策にも力を入れておられる。また、愛知障害フォーラム(ADF)事務局長として国際的にも活動。

当団体は名古屋市昭和区に本部に活動している。「サマリアハウス」は、重度の方が地域で暮らしたいという方向けの練習の場として生活する場で、「ヘルパーステーション・マイライフ」も併設されている。「わだちコンピューターハウス」は、障がいがある方が働く場で、以前は中部国際空港のデザインのコンサルタントとして携わったことがある。「小牧ワイナリー」は、小牧市で知的障がいの仲間たちがワインを作っており、先ほどのわっぱんさんと同様、こちらも大変なことになっており、ワインを販売に行けなかったり、レストランにも卸していたが、レストランも閉鎖する事態となっていたり、売上が9割も減少した。現在はネット販売を展開しているため、ぜひご覧いただきたい。(https://komakiwinery.jp/

私は、名古屋市昭和・西・北区、刈谷市でヘルパーステーション・マイライフを管理しており、地域で暮らす障がいがある方にヘルパーを派遣している。昭和区のみで、24時間ヘルパーが必要な方だと、1か月744時間派遣し、利用者だけで120名いらっしゃる。常勤40名、登録ヘルパー265名がおり、規模の大きいヘルパーステーションになる。

現状は、新型コロナに感染したスタッフは、0名。濃厚接触者と認定された利用者の2名は、幸い陰性だった。これまでのコロナ対策は、特別なことをやっておらず基礎的なことを徹底している。検温や消毒、名前と連絡先の把握をはじめ、ジャパンハートの協力を経て、コロナ対策研修会、感染者発生時のシミュレーションなどを行っている。その取り組みの一つにコロナに感染した場合の「ゾーニング」も、すべての利用者に準備をしている。レッドゾーンは、利用者が感染者した場合の生活の場、イエローは感染した利用者と場所を共有する場、ブルーはヘルパーの着替えなどをする感染リスクが低い場で色分けして、ヘルパーが意識できるよう行っている。濃厚接触者2名についても、自宅にゾーニングを取り入れた。ただ、中にはスペースの問題からゾーニング自体が難しく、ブルーは部屋から外へ出るしかないのが現状。ヘルパー自身も手指消毒など感染症対策や利用者と接する時の気を付け方など研修を通じ、対策をしているが、やはり「怖い。感染したくないためヘルパーとして入りたくない」という声もある。感染者発生時のための装備品でゴーグルやフェイスシールド、マスク等を準備しているが、サージカルエプロンは現在も入手しにくく、レインコートや袖ありエプロンで代用してる。着替え用のジャージ、ウェットティッシュなど、1セットとして使いやすいようにしている。一時期は、タイベック(全身の防護服)の導入も検討したが、いくら装備品を取り入れても使いこなすことが出来なければ、かえって脱衣する時に感染リスクを高めてしまうという専門家からのアドバイスがあり、取り入れていない。

残された課題は3つあり、1つ目は利用者(障がい者)がコロナ感染になった場合についてだ。名古屋市に問い合わせをしてみると、障がいがある方は重篤になるリスクが高いため、感染が分かった時点で入院になる可能性が高いとの回答だった。しかし、受け入れ先の病院や本当に入院できるのかは疑問に思っている。専門家からコロナは風邪のようなものと言われているが、障がいがある方は、風邪をひくといえど命にかかわる。とてつもなく苦しい。私自身も頸髄損傷という障がいがあるが、成人男性の平均の肺活量が6,000程度だが、1,000もなく、痰を出すことが出来ないため、肺炎になる場合もある。これは筋ジストロフィーの方も同じ。入院した場合は、まずナースコールを押すこと自体が出来ない。在宅であれば、長時間利用の方だと24時間ヘルパーの見守りがあるが、過去には入院したことにより、亡くなった方もいらっしゃった。入院中の介助は、一時宿泊施設は利用できると聞くが、そこはバリアフリー対応なのか、平常時から支えてくれているヘルパーさんは入れるのか、様々な疑問はたくさん残っている。

2つ目は、デイサービスや就労等の日中活動する場が閉所また規模縮小した分、ヘルパー派遣は増え、以前からの業界の人手不足も追い打ちをかけるように、ヘルパー不足はますます深刻化している。ヘルパーからは、コロナが収束まで活動休止したいという方も。登録ヘルパーは学生が中心で、大学からバイト禁止されており、常勤ヘルパーも本人が働きたい思いが強くありながらも、家族による反対があり、働けない事情もある。

 その他にも、いまだに手に入りづらい感染予防品(非接触型体温計など)や、障がい者の在宅ワーク時のヘルパー利用不可(https://www.sankei.com/region/news/181229/rgn1812290002-n1.html)の課題がある。

コロナに関する差別や偏見が増えている。放課後等デイサービス事業所の例だが、2020年3月、近所で感染者がでた。全くの無関係だが、これを理由に「A事業所からコロナが出た、職員も含めて、みんな感染している」という噂が広がった。近所の目が怖く、通所を止める利用者や、職員が自宅訪問しようとすると利用者家族から遠慮してほしいと断られてしまった。今年5月にも、利用者が利用しているスーパーで、いつものように店員にお手伝いをお願いすると、感染リスクから、店として手伝えないと言われた。入店時にマスク着用、アルコール消毒を行っているのになぜか。買い物にいくことさえ困難になってしまった。

感染対策の交付金事業が始まったが、大小の事業所規模に関わらず、同じ上限金額のため、大きな介護事業所にとっては、焼石に水で、法人全体で費用を賄っている状態。事業規模に応じた支援策を講じてほしい。一番大切だと感じるのは、マスコミからは感染者数の報道に集中しているが、危機感だけを煽るのではなく、正しい情報と対策、必要以上に恐れずに済むという安心を、何度も報道することで、差別や偏見を減らしてほしい。障がい者にとってヘルパーさんが来れない状況は、生命に直結する事態に繋がりかねない。知障害フォーラム(ADF)でも、なぜ障がい者ばかりにしわ寄せが来るのか、非常に心苦しい。この現状を社会に対し、声にして伝え、一人でも多くの方に知っていただき、皆さんと一緒に考えていきたい。

□質問

・RSY浦野:全然みえてなかった課題にふれて、大変な状況を知った。感染予防のガウンは、ゴミ袋でも代用できることが分かり、ボランティアから募って集めている。もしこちらでよかったら、お送りしたい。
→辻氏:大変助かる。よろしくお願いします。

・中日新聞社・大森氏:はじめて知ることばかりで驚いている。ヘルパーを利用できないのは制度的な問題だと感じた。そういった運動はされているのか?
→辻氏:昔からの問題。通学はヘルパーが使えないが、通勤では使えるようになった、昔は使えなかった。10月からは補助金の率が少しあがるが、在宅の場合は検討とのこと。

・RSY浦野:サマリアハウスで学生のときにボランティアをしていた。各部屋でゾーニングすることは、みなさんの配慮をとても感じました。ヘルパーを希望する方向けの研修などあるのか?
→辻氏:重度訪問講座(講座3日間+実習6時間程度)という簡単なヘルパー資格がとれるものを毎月行っており、コロナ対策も盛り込んでいる。今はオンラインで行っている。

・コーディネータ・濱野:ボランティアは、具体的に必要な人数は何人?
→辻氏:多ければ多いほどいい。コロナになる前、去年と比べると、ヘルパーになる資格講座が半分以下で、主力となる学生が確保できない。オンラインで、という教授もいますが、こちらも、まだオンライン教育に慣れていない。福祉系の大学生や、音楽の専門学生もヘルパー登録されている。このコロナのこともあり、幅広く呼び掛けをしている。専門外かと思っていた学生も興味を持ってくださって、大きな気づきを得ている。

2.グループセッション・感想

・グループ1:トヨタボランティアセンターの窪田氏からは、どうしても社会的弱者にしわ寄せがくる、具体的な影響について知ることができた、ガウン作りなど出来るところから協力したいとお話があった。

・グループ2:課題を整理して発信することで、より分かりやすくメディアに取り上げてもらい、市民の方に知ってもらうことが大切。

・グループ3:ワインの売り上げ減少の問題は、市民の共感が得やすく、ワインのキャンペーンが出来たらいいという意見が聞かれた。会社で買ってみたり、団体で買ったり。

■ゲストから一言
おたがいさま会議にお声がけくださりありがとうございました。外部へ発信することは苦手だが、販売ルートを変えるなど、前向きな意見を聞けて嬉しかった。東日本大震災でも障がい者の死亡率は、2倍と言われている。コロナの状況も同じと考えた。しかし、普段から知ってもらうことがとても大切で、時間をかけてでも、一つずつ進めていけたらと思う

3.その他

・会議の最新情報は、Facebookからも発信中https://www.facebook.com/groups/otagaisama.aichi/

・名古屋市社協「ポストコロナ社会で私たちができることを考える講座」受講者募集中(ぜひ広報にもご協力ください!)https://www.nagoya-shakyo.jp/news.php#info_cmspj_news_674
・NPOおたがいさま会議の紹介チラシがリニューアル。(ぜひ広報にもご協力ください!)

4.次回の予定

9月は「福祉」を会議テーマに進めてきましたが、10月は「子ども」です。関心のある方はどなたでもご参加ください!

 NPOおたがいさま会議「10月 子ども月間」 

大人・経済が優先される社会構造のなか、置き去りにされる子どもたちの現状にスポットをあてる、NPOおたがいさま会議「子ども月間」。コロナ禍において地域コミュニティに属する私たちにできることのひとつは、地域社会の一員である子どもの心に寄り添う意識を持つことかもしれません。

日時報告テーマ(予定)スピーカー/報告テーマに関連したスピーカーの立場・肩書
10月6日コロナ禍の子どもの声を拾うしくみづくり・まちづくりへのチャレンジ根岸 恵子
NPO法人こどもNPO 事業責任者・事務局
中川区地域福祉活動計画推進委員
NPO法人こども理事
10月13日中高生の今~置き去りにされる困窮 学習支援の現場から~山田 恭平
NPO法人こどもNPO 学習支援事業責任者、副理事長
10月20日コロナ禍 乳幼児親子への影響 ~生活・あそび・心とからだ~沢井 史恵
NPO法人てんぱくプレーパークの会 理事長
10月27日災害時における子どもの最善の利益とは~コロナ禍の今と東日本大震災の経験から~塚本 岳
あいち森のようちえんネットワーク代表
よさみプレーパーク代表(リトルハウス副代表)
NPO法人こどもNPO 緊急期の子どもの最善の利益の保障事業責任者、副理事長

※いずれも毎週火曜日16時00分~17時00分

会議レポート