第16回:有限会社トーキング

会議レポート

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●日時:2020年9月15日(火)16時00分~17時00分
●場所:WEB会議(ZOOM)
●参加団体:26団体(運営12団体含む)
●参加人数:32名(運営スタッフ16名含む)

1.課題提起
介護事業所のコロナ事情

■有限会社トーキング/竹上勝氏

名古屋市南区で高齢者、児童デイサービス、訪問看護、訪問介護などの事業を行っている。通所介護(デイサービス)の休業要請が出た後、どうしていくかを色々な人の意見を聞きながら考えていった。普段から横の連携を大切にしてきたので、休業要請にもいち早く対処できたと考えている。

高齢者施設では、どこも施設の中にコロナウイルスを入れないことを考えていると思う。3月には2~3のデイサービスをかけもちしていた方が濃厚接触者となり、別の施設にも広げてしまった。老人ホームなどの施設では家族の面会を禁止したり、訪問マッサージは別の部屋で行う、従業員は感染対策を徹底して出勤してもらっている。

今月、名古屋市から通達があり、高齢者が様々なサービスを利用することを妨げてはならないということになった。今まで利用を控えていた人も利用するようになり、各地でクラスターが発生してしまうことを危惧している。

施設で感染者が出てしまったら、職員も出勤できなくなる事態が予想される。外部からの応援も期待しづらく、どう対応していくかが頭の痛い課題である。

 スタッフのストレスも大きくなっている。消毒を徹底しているため、手荒れもひどい。ストレス等の心因性のものなのか薬剤によるものなかのか分からないが、全身に湿疹が出ている人も。働く人のケアをどうしていくか。このままではサービスの質も低下してしまう。この状態がいつまで続くのか先が見えない不安もある。  高齢者が外出できない、外との交流ができないことが課題となっている。デイサービスに通ったり、ヘルパーと一緒に買物に行ったりといったことができなくなっている。外部のボランティアに来てもらうことも中止している。孤立し、日々の楽しみを見つけることが難しい人が増えている。児童デイの子どもたちも出かけられないストレスを抱えていた。感染者や濃厚接触者となってしまった人は隔離しなければいけないが、人とふれあわない期間中に認知症が進むなどADL(日常生活動作)が落ちるのをどうしたらいいか、アイデアがほしい。リモートで交流ができるといいと思うが、スマートフォンなどを持っている人が少ない。まずは助成金などを利用してそうした機器をそろえるのがいいのだろうか。

□質問・感想など

・NPO法人ゆめはーと・木全氏:守山区で介護事業をしており、同じようなことで悩んでいる。最初にクラスターが発生した緑区、南区では施設が閉まり家族が長く仕事を休まざるをえなかったという話も聞いた。また、介護事業所の多くは中小企業。施設を開けないので経営が厳しい状況にあるということも考えてもらえたら。

・みどり災害ボランティアネットワーク・岡田氏:後見人をしている。一時は被後見人との面会ができなくなってしまった。今はフェイスシールド、手袋をして面会している。施設の利用者さんはマスクの着用も難しい。散歩にも連れ出せず、施設の職員のストレスもたまっているようだ。

・名古屋市社協・野川:介護事業所の中で、オンラインで交流をしているところはあるか?

・竹上氏:まだ聞いたことがない。個室ごとに機器を入れるのは難しいが、施設の大部屋にモニターを置いて交流したりというのはあるかもしれない。

・NPO法人ゆめはーと・木全氏:スマホをベッドサイドまで持って行って面会するのはやっている。デイサービスではオンラインで模擬海外旅行みたいなことをやっているところも。端末を持っている/持ってない、使える/使えないの差も大きい。自分のスマホを使ってつないであげたりと、現状ではスタッフの好意に頼っているところがある。

・コーディネータ・萩原:家族がいる施設に頼んでZOOMを入れてもらった。豊田市の山間部ではタブレットを配ってLINEやZOOMを試している。スタッフが設定さえすれば、ZOOMで友だち同士話したりしている。

・コーディネータ・濱野:愛知県と一緒にリモートで支援するイベントをやってみた。上手くいったので10月も開催するので、成果を共有したい。

 スタッフの確保が現在とても困難になっている。有資格者で今は仕事に就いていない人に復帰してもらえたらと思う。人材バンクのようなものがあるといいのだが。

・NPO法人ゆめはーと・木全氏:当社では3月頃、友人とカラオケに行ったことをSNSにあげた社員を厳しく注意した。専門職としての自覚が足りないのはいけない。逆に、少しの発熱でも慎重になり手間が増える部分もある。自分が家族や利用者にうつすかもしれないと、スタッフは追い詰められている。

・コーディネータ・小池:介護の専門的なスキルがなくてもできることはありますか?

・竹上氏:利用者さんの話を聞いてもらえるだけでもよいと思う。施設の中にいるだけでも、お茶をいれるだけでもいい。「あの人、誰?」というのが利用者さんにとっての刺激になる。

2.グループセッション・感想

・あいち防災リーダー会・岡田氏:施設に植物を入れるグリーンセラピーや、犬や猫を入れるアニマルセラピーができるといいのではないかと思った。

・コーディネータ・関口:タブレットを配って、双方向的なコミュニケーションができるといいのではないか。一日テレビをつけっぱなしよりはいい。

・コーディネータ・石黒:介護職員さんが愚痴を言いあえる場があるといいのでは。

・コーディネータ・栗田:介護の現場の実態を知り本当に大変だと思った。しかしどうしていいか全くアイデアが浮かばない。1つはこうした実態を社会に知ってもらうため発信していくこと。もう1つは、検温を徹底する等してボランティアを受け入れていく方法を考えてもいいのでは。

・竹上氏:参考になる意見もあり、施設のスタッフと話し合いながら取り入れていけたらと思う。施設の実態を知ってもらえたことがありがたい。

3.次回の予定

2020年9月29日(火)16時00分~17時00分

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