『フードバンク』の現状(セカンドハーベスト名古屋)

現場の課題

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『食の支援』の課題(セカンドハーベスト名古屋)
☆7月時点の現状をきく

■認定NPO法人セカンドハーベスト名古屋(山内氏)
・コロナの影響でフードバンクに食品が集まってないと思われがちだが、そうではない。通常、月に30~50トンの入荷量があるが、今年度は昨年度実績を上回っている。
・学校給食の余剰品提供は、業者が利益確保で転売もするため多くはなく、転売不可な食品提供や、市教委など転売しなくても財政的に問題ないところが多少提供してくれる程度。

・当団体は、生活困窮者自立支援法に基づく相談窓口からの依頼で、個人支援として食品詰合せを発送しており、個人向けの缶詰等の市販品を必要としている。しかし、集まる食品はケチャップ3㎏など個人支援へは不向きな業務用が多く、品薄感がある。
・備蓄食品のアルファ米やパン缶詰は、電気やガスが使えない人でも食べられるため重宝している。企業の社会貢献活動で備蓄品提供が広がっていたが、コロナで活動縮小となり、提供が減っている。企業からの新規寄付の動きも4~5月はほぼなかった。
・一方で個人支援は東海3県からの依頼を受けており、昨年度は月300~400件だった依頼が、今年度は4~5月で1.5倍~1.7倍に増加した。

・5月の一日当たりの詰合せ発送件数をみてみると、昨年度は19の相談窓口からの依頼であったが、今年度は37に増えた。コロナの影響により依頼急増で、依頼件数も高水準を維持する傾向となっている。
・既存の企業や個人からの寄付など、応援してくれる方は多い。個人からの食品寄付に関しては、今年度は昨年度の4~5倍あった。しかし、個人寄付は年間で扱う全430トンのうち1割程度で、企業が9割を占めている。そのため、個人寄付が増えても必要なものがすべて賄うことは難しい。
・当団体では団体支援も行っている。緊急事態宣言下では基本的に団体支援はストップしていたが、コロナ禍においてもホームレス支援や児童養護施設など、活動を休止できない団体には例外的に食品提供を継続していた。この例外的な支援も増加傾向で、結果としては前年度とほぼ変わらない提供状況になっている。

・一方でボランティア参加は、健康な方のみの少人数対応としているため、ボランティアや事務局一人当たりの負荷が非常に大きい。
・現状は、食品が届き過ぎて困っている。倉庫は100坪で、限りあるスペースでの活動であるため、食品が収まりきらない。他にも倉庫が欲しい。企業から提供された食品をいったん倉庫に集めてから団体や個人へ提供していくが、この倉庫を介する方法に限界がきている状況である。
・また、当事者の課題を解決するために、食品を渡したその後、例えば就職に向けた支援などは、自団体だけではできないため、多様な団体と連携していく必要があると考えている。

Q:名古屋みどり災害ボランティアネットワーク・岡田氏
過剰となっている食品は何か?人手不足の部分は、災害ボランティアからの協力は可能か?
A:企業からジュースや菓子類の提供傾向があるが、ホッと一息つく分としては必要であるが、たくさんだと困る。今はお米やパスタ、ご飯のお供になる食品が不足しており必要。フードバンクは、食品の仕分け・ピッキング・整理作業が中心で、倉庫作業となる。限られた場所でもあるため、活動人数がどうしても限定されてしまい、協力を得づらい部分がある。例えば、困っている団体に食品を運ぶという物流部分で力をかしていただけるとありがたい。

Q:コーディネータ・栗田
フードバンク団体同士で食品の過不足を補うなど、横の連携は?
A:
運賃も必要となるため難しい。熊本地震では、自衛隊が大量の食糧支援をしている一方で、フードバンク鹿児島からはコーヒーや菓子類しか提供できなかったことから、今では主食品をストックしているとの話があった。普段から福祉施設等のつながりがある強みを活かし、細かく配る部分で力を発揮して役立つことができれば。サロン活動など、孤立を防ぐ活動にお茶やお菓子を提供するなど、集まる場づくりに食品を活かしていただけるようにも努めている。

Q:多文化共生リソースセンター東海・土井氏
外国人支援団体からの情報で、名古屋・西尾・東浦・豊明・豊橋で困窮している外国人が多く、食糧提供情報が必要とされている。一方でフードバンクの情報は一覧化されておらず、困っている人がいつどこで支援が受けられるかわからない状況。情報の一覧化の必要性を感じており、おたがいさま会議でも検討事項の一つとしていただきたい。
A:
セカンドハーベスト名古屋は問屋業に注力しており、細かく配ることは得意としていない。配布は草の根団体にお任せしており、各団体の動きまでは把握が難しい状況。

コメント:コーディネータ・萩原氏
中部リサイクル運動市民の会では、場所確保は難しいため、情報の流通として不用品データバンクを実施したことも。倉庫に集める方法もあるが、別の方法での実施もあるといい。

Q:コーディネータ・関口氏
若い方が活動に関わっている印象があるが、学生や大学との連携の可能性は?
A:
ボランティアは平日対応が必要であるため、平均年齢65歳の高齢者が多い。若者に関しては、広報目的の月1回の休日活動に参加いただくこともあるが、現状上手く巻き込めていない。

コメント:コーディネータ・根岸氏
子ども食堂をしていた団体は、パントリーとして食品配布している。子どもから情報が入りにくいため、スクールカウンセラーからアウトリーチしていただき、個別にお宅に届ける案件が増えている。そのため、地域での配布場所や時間を決めるのが難しい状況もある。

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