『住居確保給付金』の現状(仕事・暮らし自立サポートセンター)

現場の課題

Pocket

■仕事・暮らし自立サポートセンター(伊藤氏)
・生活困窮者自立支援法に基づき、名古屋市で生活保護を受けていない人の相談にのるセンター。
・国籍・年齢・障がい・病気等関係なく、経済的な困窮にも絞っていない。自立のための相談支援をしている。
・主な事業としては、仕事が続かない、仕事につけない、仕事したことない方への「就労準備支援事業」。仕事探しの準備支援で、個別面談をして生活のリズムを整えるところからはじめ、本人の向き不向きを振り返りつつ、仕事探しの準備を行う。
・登録事業所で最低賃金を得ながら試す「就労訓練事業」を通して、働く練習の支援をしている。
・また、滞納や借入金がある場合や家計のやり繰りが苦手な方への「家計改善事業」。来所や訪問により、家計表などを作成支援や税の分割納付の伴奏支援、弁護士や司法書士への無料相談にもつないでいる。
・名古屋市の委託事業で、名駅と大曾根、金山の3箇所ある。対象がとても広いので、いろいろな方が来所される。

・コロナ禍においては「住居確保給付金」を受付ている。2~3月当初はさほど相談は増えなかったが、4月20日以降の対象者の拡充から問い合わせが殺到している。
・4月20日までは離職・廃業が対象であったが、以降は、「本人の責任ではない理由で収入が減り、生活保護基準まで下がった方」が対象となった。
・この給付金は、仕事をして自立してもらうことが目的で、その間、家賃3か月分を支給。それでも就労できない方は、最長9か月まで延長可能。自営業やフリーランスの方からの相談も増え、相談の9割がこの給付金関連で、1600件にも上っている。これは1年間の相談を優に超える数。
・電話も鳴りっぱなし状態。現在は郵送やメール等でも対応しているが、新規相談とその受付の対応もあり、大変な状況が続いている。ほかの事業は取り組めておらず、課題となっている。

・一方、対象拡大で相談は増えたが、収入要件で対象外の方も多い。また色々な国籍の在留の方の相談が多く、就労ビザの方でも、職を失い、家も失った深刻な方もいる。
・しかし、ポルトガル語やタガログ語では職員は理解できない。やさしい日本語、ローマ字で書くなどの対応をしつつ、日本語のわかる人にきてもらうようお願いしている。トリオフォン(三者通訳)も活用している。
・なお、電話や対面で、心無い言葉を投げつける人も結構多く、職員の心労も無視できない状態になっていて、精神面での職員のサポートも必要だと感じている。
・また、給付金の窓口はこちらだが、受付は名古屋市の保護課。1カ月で800件を名古屋市も限られた人数で対応されていて大変な状態にある。相談してくる方は、TwitterやYouTube、口コミで知る方も多い。
・この制度はリーマンショックから始まったが、その時と比べられないくらい大変な状況にある。

◎質問

◆多文化共生リソースセンター東海・土井氏
・住居確保給付金の申請書の翻訳は考えているか→市社協では現状考えていない。今後、夏から秋にかけてさらに外国人の困窮者が急増すると支援者の中では危惧しているところ。早い人は昨年末、年度末で仕事を失っている。現在は失業給付金や特別定額給付金でしのいでいる状態。その方々が夏以降にセーフティーネットを利用することになり、今の大変な状況が秋以降まで続かないように、ローマ字でルビ打ちするなどのお手伝いはできる。ただし、通訳の手配はなかなか難しい。本人が友人を頼るなどの場合も、無料とはならず、困窮している人がさらにお金を払って通訳を雇うことにならないような配慮が必要。

現場の課題