第6回:名古屋市社協(特例貸付・住居確保給付金)

会議レポート

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□日時:2020年6月23日(火)16時00分~17時00分
□場所:WEB会議(ZOOM)
□参加団体:32団体(運営10団体含む)
□参加人数:40名(運営スタッフ14名含む)

1.課題解決セッション
特例貸付・住居確保給付金の現状

■緊急小口資金特例貸付について(名古屋市社協:染野氏)

社協では、低所得者などに突発的な支出があったなど生活のためのお金が困難になった方を対象に日常から生活福祉資金の貸付を行っている。コロナ禍においては、3月25日から休業や失業者に対して特例の貸付を開始している。お近くの市区町村社協で受け付け、県社協が審査をして送金するしくみ。

2つの種類があり、一つは「緊急小口資金」。主に休業された方向けで、20万円以内で貸付、無利子で保証人も不要。名古屋市内で1万2千件から申し込みがすでにあった。

二つ目は「総合支援資金」。主に失業された方向けで、まずは緊急小口資金で対応し、さらに必要な方に、例えば単身世帯の場合は月15万円以内を3ケ月間貸付し、償還期間も10年と長めに設定している。同じく1700件以上利用されている。飲食店やタクシー運転手など、一時的に収入が下がった方の利用が多い印象で、5月15日から要件が緩和され、ネパールやフィリピン人など外国人の相談・利用が増えている。中区は9割が外国人で留学生も多い。また、引きこもりの方がいる世帯や精神疾患がある方、今までの生活もギリギリな方からの申し出が目立ち、社協も現状の対応だけで手一杯の部分は否めない。しかし、こうした方々を積極的に見出して支援していかなければならないとも感じている。

現在の相談件数は少しずつ落ち着いてきた。7月以降、仕事に戻れそうだとの声もある。一方で、離職者はなかなか仕事が見つからない、現状維持でも精一杯な方も多い。社協としても引き続き何らかの支援ができたらと考えている。

□質問

●多文化共生リソースセンター東海・土井氏

グラフは全区ですか→全区です。外国籍の方が多いとのこと→区全体は3割、中区は9割。外国籍の方にも貸付されているのか→貸付している、総合支援資金も必要に応じてさらに貸付している。

申請記入例を愛知県社協が英語で出した。ネパール人が多いがネパール語はない→ネパール語の翻訳は県では難しい、名古屋市社協版として作っていきたい。

●コーディネータ・萩原氏

日本の方と外国の方が利用されている、情報源はどこか→HPも載せているが、見ている人は少ないと感じている。新聞掲載やYouTube、学校や職場での口コミが多い。

過去と比較してどうでしょうか→東日本大震災のときよりの件数よりも、比較にならないくらい件数が多い。見えない中で、生活の中にコロナ禍が浸透し、蝕んでいるような様。

●RSY・浦野・浜田

情報について教会やスーパーなどにチラシなど貼ったり置いたりすることで広がるのではないか→できていない。社協も手一杯な状況。周知の支援もありがたいが、通訳ができる方に同行いただくなどの支援があればなおベター。

土井さんで当事者に付き添う可能性はあるか→留学生であれば、その支援は学校がすべきで、職員が学校に出向いて説明した事例もある。同行支援は難しいが、通訳はNICなどの電話対応サービスもある。

■仕事暮らし自立サポートセンター(伊藤氏)

生活困窮者自立支援法に基づき、名古屋市で生活保護を受けていない人の相談にのるセンター。国籍・年齢・障がい・病気等関係なく、経済的な困窮にも絞っていない。自立のための相談支援をしている。主な事業としては、仕事が続かない、仕事につけない、仕事したことない方への「就労準備支援事業」。仕事探しの準備支援で、個別面談をして生活のリズムを整えるところからはじめ、本人の向き不向きを振り返りつつ、仕事探しの準備を行う。登録事業所で最低賃金を得ながら試す「就労訓練事業」を通して、働く練習の支援をしている。また、滞納や借入金がある場合や家計のやり繰りが苦手な方への「家計改善事業」。来所や訪問により、家計表などを作成支援や税の分割納付の伴奏支援、弁護士や司法書士への無料相談にもつないでいる。名古屋市の委託事業で、名駅と大曾根、金山の3箇所ある。対象がとても広いので、いろいろな方が来所される。

コロナ禍においては「住居確保給付金」を受付している。2~3月当初はさほど相談は増えなかったが、4月20日以降の対象者の拡充から問い合わせが殺到している。4月20日までは離職・廃業が対象であったが、以降は、「本人の責任ではない理由で収入が減り、生活保護基準まで下がった方」が対象となった。この給付金は、仕事をして自立してもらうことが目的で、その間、家賃3か月分を支給。それでも就労できない方は、最長9か月まで延長可能。自営業やフリーランスの方からの相談も増え、相談の9割がこの給付金関連で、1600件にも上っている。これは1年間の相談を優に超える数。電話も鳴りっぱなし状態。現在は郵送やメール等でも対応しているが、新規相談とその受付の対応もあり、大変な状況が続いている。ほかの事業は取り組めておらず、課題となっている。

一方、対象拡大で相談は増えたが、収入要件で対象外の方も多い。また色々な国籍の在留の方の相談が多く、就労ビザの方でも、職を失い、家も失った深刻な方もいる。しかし、ポルトガル語やタガログ語では職員は理解できない。やさしい日本語、ローマ字で書くなどの対応をしつつ、日本語のわかる人にきてもらうようお願いしている。トリオフォン(三者通訳)も活用している。なお、電話や対面で、心無い言葉を投げつける人も結構多く、職員の心労も無視できない状態になっていて、精神面での職員のサポートも必要だと感じている。また、給付金の窓口はこちらだが、受付は名古屋市の保護課。1カ月で800件を名古屋市も限られた人数で対応されていて大変な状態にある。相談してくる方は、TwitterやYouTube、口コミで知る方も多い。この制度はリーマンショックから始まったが、その時と比べられないくらい大変な状況にある。

□質問

●多文化共生リソースセンター東海・土井氏

住居確保給付金の申請書の翻訳は考えているか→市社協では現状考えていない。

今後、夏から秋にかけてさらに外国人の困窮者が急増すると支援者の中では危惧しているところ。早い人は昨年末、年度末で仕事を失っている。現在は失業給付金や特別定額給付金でしのいでいる状態。その方々が夏以降にセーフティーネットを利用することになり、今の大変な状況が秋以降まで続かないように、ローマ字でルビ打ちするなどのお手伝いはできる。ただし、通訳の手配はなかなか難しい。本人が友人を頼るなどの場合も、無料とはならず、困窮している人がさらにお金を払って通訳を雇うことにならないような配慮が必要。

2.前回からのアップデート
帰国困難者と大学生の協力によるオンライン語学教室について

■愛知淑徳大学CCC・秋田氏

前回の徳林寺さんのお話を受け、土曜日の午前中に徳林寺さんに伺った。2名増えて49名、ちょうど支援の食材を使って釜でごはんを煮炊きし、並べて食べるというところだった。年齢的にも学生たちより少し上で、楽しそうだった。今までは感染拡大の懸念でこうしたこともできなかったが、今は少しずつできるようになり、コミュニティがつくられていた。食事のお手伝いをしている近所の方は、楽しそうにみえても、一人ひとりは悩みを抱えていて、母国にも帰れず、いろんな支援が必要だと話された。みんな片言の日本語で話はできるが、日本語を学びたいということで、オンラインで学生による日本語教室の開催や、学生たちがベトナム語を習うという形で謝金をお渡しすることも可能。渡航費が一人9万円かかるので、その資金にもなればいい。早速、開催したいと思っている。

3.質問・ご意見など
「おたがいさま」で何ができるか考える

●トヨタボランティアセンター・窪田氏
オンラインでの日本語教室の開催は興味深い。一方で、先生を固定させる必要があるなど継続性の課題もある→学生の日本語指導免許取得の実習先としても考えている。すでに9番団地で実績積んだ学生のノウハウも生かし、中には将来、日系企業に務めたい意欲的な子や、すでに習っている子もいたりして個人の能力差はある。上級は同じ先生、初級は毎回異なっても、大学が間に入って引き継ぐなどしている。今後、この取り組みにトヨタがどう関われるか、可能性は探りたい。

●名古屋みなみ災害ボランティアネットワーク・伊藤氏
徳林寺さんへの支援は、自治会や自団体で検討するも、まだ具体的には動けていない。早くやりたいとは思っている。

●ボランタリーネイバーズ・青木氏
できることは前向きにやっていきたい

●名古屋みどり災害ボランティアネットワーク・岡田氏
災ボラとして動くのはまだ共通理解が得られていない。言ってくださればチラシ配布などできることはやれると思う。お店にチラシを置いてもらうなど。

●つなぐ子ども未来・小塚氏
子ども食堂はまだできず、お弁当を届けることができるようになったが、届ける先がなかなか見えない。個人情報の壁で公的機関からは教えてくれない。それでも来月から30食程度準備し、一人親の方に届けたい。当事者の人にどう必要な支援を届けるか、本当に難しい。

●愛知淑徳大学・秋田氏
愛知県長久手市の県営住宅に、生活困窮世帯の学習支援で2年くらい通っている。一人親家庭で多人数の子ども、家庭環境の複雑な方も多い。こうした世帯は常にご飯を求めているが、学習支援もコロナ禍により中止となり、様子がわからない。名古屋市でも同様な事例があるのではないか→子育て支援団体や保育園に食材を渡すなどはしている。一方で、お弁当の支援は、調理したものをお渡しするには、時間が限られている。公営住宅の何軒かは知っているが、30食を定期的に配るのは難しい(小塚氏)。

なお、学習支援については再開し、週3回・25人の子どもたちが来ている。子どもたちへのマスクが必要で、どれだけあっても足りないくらい→事務局預かりでマッチングしたい。

4.次回の予定

2020年6月30日(火)16時00分~17時00分

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