第87回:「愛知県 新型コロナ禍での障がいのある人の生活実態調査」報告、冊子できました
●日時:2022年7月12日(火)16時00分~17時00分
●場所:WEB 会議(Zoom)
●参加団体:19 団体(運営 8 団体含む)
●参加人数:28 名(運営スタッフ名 11 名含む)
■情報提供
〇種村氏(おたがいさま会議事務局:レスキューストックヤード) ・「ウクライナ避難者支援のための情報共有会議」第2回について
7 月 15 日(金)18:30~20:00 オンライン開催
ZoomURL:https://us02web.zoom.us/j/85981731424?pwd=emk4Z3dFTUJNQ1ZxZlpQSWlLaU1Hdz09
ミーティング ID: 859 8173 1424 パスコード: 326859
第1回には、70 名を超える方々にご参加いただき、みなさまの支援の取り組みと課題を共有し ました。第 2 回では、愛知県内各地で受け入れをされている自治体担当者、地域の支援団体の取り 組みをお話頂き、課題の共有、連携の可能性を探りたいと思います。
1.話題提供
■テーマ: 『「愛知県 新型コロナ禍での障がいのある人の生活実態調査」報告、冊子できました』
■スピーカー: 浅野美子氏(よかネットあいち)
・いつもはこの時間、子どもを送るため聞くだけ参加しかできていなかった。皆さんとお目にかかって お話できるのを嬉しく思います。
〇「よかネットあいち」について
・障がいのある子どもの利用できるサービスがほとんどなかった2001年、(当時日本福祉大学教授)近藤直子先生の呼びかけで始まり、参加団体・個人を募り3回の準備会を経て結成をしました。2003年 結成総会は、これから利用できるサービスがふえるのでは?という期待いっぱいの支援費制度開始 前年であり、今では想像できない100人を超える参加があり、リレー形式のシンポジウムで保護者・ 研究者・支援者の連携を方向付けました。毎年、学習会や交流会開催。愛知県や名古屋市に要望書 提出・懇談を行っています。
・これまでの取り組み
全国放課後連に2004年発足時から加盟、研修会等への参加や地域講座の運営協力
2013年度、全国障害者問題研究会東海ブロック研究集会in愛知では放課後分科会担当(東海4県の福祉課にサービス量調査実施)
2015年度、愛知県障害者(児)の生活と権利を守る連絡協議会と愛知県教育委員会懇談に参加
2016年度、父母ネット(障がいのある子どもの父母のネットワーク愛知)と共催で近藤直子先生と ランチ会開催、子ども&まちネット・STEP(愛と性の学び教材づくりプロジェクト実行委員会)主催、「障がいのある子ども・若者の思春期」どう捉え支援するか?~保護者・支援者向け講座 ~運営協力
名古屋市公立保育園父母の会障害児(ひまわり)部会 交流会の運営協力
2021年度は、
6月 交流会「子どもの権利を考える!~誰が子どもの権利を守るのか?」&総会
12月 交流会「アンケート結果報告~時代とともに変化するニーズを考える~」
3月 交流会「子どもの権利を考える!~どうなる放課後等ディサービス~」
対外的には、
9月「名古屋市福祉タクシー利用券 実態調査」回答161
「名古屋市日常生活用具に追加希望 実態調査」回答91
12月 地域療育センター早期建設を実現させる会の団体広聴に参加
2月 「愛知県 新型コロナ禍での障がいのある人の生活実態調査」
上記の情報はFacebookページで公開している。ぜひそちらもご覧ください。
〇今回のアンケートについて
・名古屋市こども福祉課、障害者支援課と話をした。コロナという緊急事態において、障害を持った子ども、保護者の環境が大変だったと伝えた。
・名古屋市としてはコロナ禍が落ち着いたら、検証をして改善に向かうと思うとの回答を得た。しかし、緊急事態はいつ終わるかわからない、また今困っていることも多くあるので随時改善していってほしいとの要望を出した。
・今困っていることは、もともと困っていたことが緊急時にそれが顕在化したものです。
〇コロナ禍の問題
・最初は風評被害、個人情報の関係で情報が全く手に入らなかった。
・私自身は南区に住んでいるが、南区は一番初めにクラスターが発生し、風評被害が発生した環境 にあった。その為全くと言っていいほど情報が出てこなかった。
・また緊急時になると、家族会、担当者会議等の会合は一切なくなった。その為、障害者さんの情 報が入ってこなくなり、福祉サービスも利用できなくなり、ワンオペ状態になったご家庭が多く あった。我が家もそうだった。
・この状態が1年、2年続き、これは何か行動を起こさないといけないと感じた。
〇宿泊療養
・特に、オミクロン株の流行に伴い、爆発的に感染が拡大して時には、私の家族も感染をし、宿泊 療養にいくという状態になった。
・私の息子たちは障害を持っているので、一人では宿泊が難しい。そのため、福祉避難所のよう に、障害を持っていても安心して療養できる場所を作って欲しいと2年前には行政に提案してい た。
・感染時に保健センターに、宿泊療養のことを問い合わせたが、保健センターの担当者も宿泊療養 についてあまりわかっておらず、こちらから周りで聞いた情報を問い合わせてみたら、現在はファミリータイプの宿泊療養もあると回答を得た。
・しかし、これらの情報は聞かないと出てこない、担当者もきちんとわかっていない状態だった。また、他のご家庭に宿泊療養について聞いてみたが、他のご家族は宿泊療養自体を知らない方 が、ほとんどだった。多くの家庭が在宅療養をしていたが、隔離や行動制限が理解できるお子さ んの家庭はうまく療養できたが、やはり家庭内感染してしまったという家庭も何軒かあり、在宅 療養の難しさを感じた。
・我が家の場合、自営業の夫を感染させないため、また息子たちが自宅の一室での隔離が難しいた め、宿泊療養を選択した。
〇WEBアンケート調査
・上記の様な困っているご家庭は多くあるのではないかと考えWEBアンケート調査を行った
・一般社団法人発達支援協会も参加してくれ、データ集計も行ってくれた。
・WEBアンケートはネットに慣れている若い保護者は参加してが、ご高齢でWEBが苦手なかた電話や対面で回答をしてくれた。
・回答数としては 244名。これはWEBアンケートのみの数字で、電話や対面でご意見をくださった方は、上記の数字には反映していないが、アンケートの意見には取り入れている。
〇アンケートで感じたこと
・今までは、多くの制度によって支えられていたものが、緊急時になり学校、事業所が閉鎖。そう いった中で、ご本人にきちんと情報が伝わらに状況が見えてきた。
・障害の本人たちには、どうやってこの状況を伝えていくのか?本人たちに伝えることをしない と、選択することも出来ないと感じた。
・もともとマスクが出来ないと言っていた障害を持った子どもたちが、マスクをつけれるようにな ったりと、ご家庭や福祉事業所で様々な工夫をしていることもわかってきた。
※アンケートについてはFacebookのページをご覧ください。
〇アンケートの協力者
・名古屋市の方が多い
・各自治体を網羅しいてるわけではないので、是非アンケートをご覧いただき、うちの自治体はこうだったよ、等のご意見をいただきたいです。
〇アンケートに対しての行政の反応
・愛知県と名古屋市にアンケート結果を送付し、懇談の要望を行った。
・愛知県に関しては、自治体任せな部分があるので、うちの方からお話しできることはないと言われた。その為、愛知県の障害福祉課,感染予防課との懇談はできなかった。
・名古屋市はこども福祉課、障害者支援課から必要なことは感染症対策室に報告を上げていくとの回答を得た。
・声を出して、上げていかないと伝わっていかないことを実感した。
〇アンケートの結果で分かったこと
・シングルのお宅が多いこと。
・きょうだい(ヤングケアラー)や祖父母と同居のダブルケア、トリプルケアの可能性もあるお宅も多い。
・障がいのある子どもの休校、事業所閉所により保護者が就労できなくなっている(所得保障)
・休校や事業所閉所により福祉サービス利用もストップし、家族のみの支援になっている可能性
・福祉サービスがストップすることで、ワンオペになりがち。
〇平時に困らない状態を作り上げる必要
・よかネットは平時から上記のような問題にたいして声を上げてきていたが、なかなか聞いてもらえない状況があった。
・今はもっと困っている状況なので、こういった事を形にしてあげていく必要がある。
・保護者、支援者側も創意工夫をし、本人たちが混乱しないように伝える工夫をし、底力を上げていく必要がある。
〇アンケート結果をつたえつる工夫
・アンケートをしただけでは意味がない、それをどのように展開し、伝えていくかが重要
・よかネットとしてはFacebookで情報を伝えているが、Facebookを利用している人は年齢層が高いことが分かった。
・インスタグラム・Twitterで情報発信しようにも,よかネット自体が20年継続している団体なので、若い方がいない。
・今回のアンケートは若いママたちが回答をしてくれた。回答をしてくれた若い世代にもアンケート結果を展開していき、情報を拡散させる必要がある。
〇障害のあるなしではなく、困っている人に情報を伝える
・アンケートの情報は障害を持っている方だけではなく、様々な方にお伝えする必要がある
・障害を持っていなくても、一家全員でコロナになってしまったり、家族の中でおばあちゃんが配食サービスを使っているが、コロナの影響で使えなくなった事例もあった。
・情報の格差が、かなりあるので、伝えているつもりではなく、いろんな形の報告集や発信のしかたの工夫が重要だと思います。
〇知ることが重要
・私のボランティアデビューが「ぼらみみ」情報局から。
・もともとボランティアに関心が無かったが、様々な活動をしている方々を知り、自分自身はボランティアできなのかと考えてみたら、自分でもできることがあると気が付き、「ぼらみみ」の配達スタッフと新規開拓のボランティアを行った。
・動くことは誰でも出来ると気づきを貰い、大人になってからも変化は出来ると感じた。
・まずはそういった事を「知る」ということが大事だと感じたし、「知って」楽になる方もいることが分かった。
・一人で抱えず、みんなで「知って」みんなで考える世の中になればいいと考えています。
・アンケートの報告集もまもなく出来上がるので、色々な人に広めて頂けると助かります。
■質疑等
〇野川氏(名古屋市社会福祉協議会)
・グループ内の感想として、コロナ禍の状況でないと行政等に聞いてもらえないのでアンケートを作 ったというのが非常に重要だ、という意見や、未来の 20 年後、30 年後のために今の活動が繋がっ ていくことがわかった、という意見がありました。
・自分自身が当事者でないとわからない事が多いとは思うが、今日のような場所で情報を得ることで 災害が起きた時や、いざという時の理解者として動けるんじゃないか、という意見がありました。
〇関口氏(フリーライター)
・当事者との接点を日常的にいかに作るかという課題が以前からあると思うが、それを今回の件で改めて意識できるようになったと感じた。
・子どもの問題として、お金の問題も大きいのかなと思った。施設、家庭でも資金的な余裕がない中で、どのようにして、新しいサービスを作ったり、制度に結び付けたりできるのかを教えてくださ い。
→浅野氏(よかネットあいち)
・福祉サービスは、現在は利用したらお金が行政から入る仕組みになっている。例えば、コロナが怖いから、福祉サービスを利用しない選択肢をすると、福祉事業所にお金が入らなくなり、閉所して します事業所もあった。また、ヘルパーさんが、コロナが怖いから仕事を辞めてしまったり、そう いった意味で、福祉サービス全体が手薄になってきていると感じている。
・よかネット自体は、障害児の放課後支援を考えようという団体。連絡会なども、親の参加がとても 多い団体のため、親の意見を多く出す団体である。
・時代によって制度はどんどん変わってくるが、当事者が使ってみてどう感じたかの視点が欠けてい るように感じる
・子育てを支える仕組みや、子どものように支援が必要な方を支える制度がきちんと出来ていないと いうのが、このコロナ禍で分かってきたこと
・お金の問題も一度見直していかないといけないと感じるが、昔のような制度に戻るのもどうかと考 えているので、きちんと検討して、どう改善していくのかを話し合える土壌を作っていく必要があ ると思います。
〇浜田氏(レスキューストックヤード)
・放課後のサービスがバラエティーに富みすぎてして、当事者のことを考えていないことが、課題だと考えているのでしょうか?
→浅野氏(よかネットあいち)
・学齢のお子さんに関しては、保護者がどの事業所を使うかを選ぶ。思春期以降になって子供がここ嫌だと言わない限りは、保護者がここに行きなさいと子どもに伝える。
・学童部会にも、障害児が何人以上いると助成金が入る時代になったので、学童保育にも障害児部会があるし、保育園にも障害児部会があり、よかネットと交流をしている。その中で、普通の子たちの中で、障害のある子どもたちが生きていくのは、相変わらず葛藤があるなと感じている
・障害児だけが通える、放課後デイは、塾のような習い事であったり、スポーツを教えるように事業 所もある。それは、障害を持った子どもたちは一般の塾などに通いにくいからであり、現行の放課 後デイは保護者の要望に沿った事業所運営がされていて、選択肢が増えたので、いい時代になった と感じている。ただし、放課後デイに通える、6.3.3 の 12 年間のみ。それ以降の、年代の福祉サー ビスは不足していると感じている。
〇菊池氏(日本福祉大学)
・浅野さんが行っているのは、アドボカシー活動といい、声を集めて社会に訴えいく活動だったと思います。後半の話で、親の組織化が難しいとのの話もお聞きし、私も授業で学生に教えるときに、 当たりませを当たり前と思ってはいけないと教えている。家族で支えるのが当たり前という常識に 疑問を持ったり、当たり前のことに疑問を感じないと、組織化は難しいと思いました。
・その中で、浅野さんが意識されていることがあればお教えください。
→浅野氏(よかネットあいち)
・当たり前は、100 家族あれば 100 通りある。みんなで困っていることを共有し、声を出しあってい くことが重要だと考えているので、それをいろんな方に伝えている。待っていいても、困っている 声は集まらないので、色々な場所に出向き情報を集めるようにしている。また、そういった場でおたがいに語り合うことで、いろんなことを考えてもらい、当たり前に疑問を持ってもらうように促している。
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